PANORAMA STORIES
“q.b.” レシピのないレシピ帳 Posted on 2017/01/31 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア
イタリア料理と言えば、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。
ピッツァマルゲリータにカルボナーラ、ラザニア、イカ墨のリゾット、ボロネーゼ、ティラミス、バーニャカウダ、、、、日本で定番となった料理も数多くありますよね。
それらはもちろん本場イタリアでもよく食べられるし、それぞれの地方を代表する一品でもあります。
でも、日本人がいつもお寿司や天ぷら、すき焼きやお好み焼きを食べているわけではないように、イタリア人だって普段は色々なものを食べています。
実を言うとイタリアに来る前は、イタリア人は毎日ピッツァやスパゲティを食べていると僕は思っていましたが、、、じゃあ、彼らは普段どんなものを食べているの?
そこで、ここでは飾らない、いつもの食卓に上るような料理の数々をご紹介していきたいと思います。
時には料理とは言い難い、ただ煮たり焼いたりしただけの、いや、そういうものが大半になるかもしれませんがイタリア料理とは、もともとそういうものなのかもしれません。シンプル限りない、だからこそ奥深い。
タイトルのq.b.とは適量を意味する言葉quanto basta(クアント バスタ)の略で料理本でもよく見かける表現です。家庭料理に決まりなどないように、大体の分量で、材料が足りなかったら代わりのもので、という位の感覚で読んでいただけたら、という思いを込めて。
イスキア島があるカンパーニア州の料理がメインになると思いますが、時には他の州から来た友人をゲストに、その地方の料理を紹介したり、イタリアの食事情をお伝えできたらいいなと思っています。
できる限り日本でも手に入るような食材を中心に取り上げていく予定です。
華やかな一品はありませんが、何かの参考にでもなったら幸いです。
さて、前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは冬が旬の野菜、カリフラワーを使った付け合わせ。
カリフラワーはイタリアでもよく食べられる野菜の1つです。
~カリフラワーと松の実、干しブドウの煮込み~
●材料(大体6人分)
・カリフラワー1個(イタリアでは、日本より若干大きめのものが多いです)
・干しブドウ(スルタンレーズン)、松の実 各20g位ずつ(大体)
・オリーブオイル、ニンニク、唐辛子は、、、、q.b. !!! そう、クアントバスタ、適量で。
●作り方
① 鍋にオリーブオイルとニンニクひとかけを入れて熱します。ニンニクがきつね色になったら取り出し、小房に分けて洗ったカリフラワーを加えます。(オリーブオイルが少なすぎると、ただの蒸し煮のようになるので、いつもよりほんの少し多めに入れる感じで。)
② 木べらなどで混ぜ、オリーブオイルがひととおり絡んだら、干しブドウと松の実を加え塩で味付けします。好みで唐辛子を加えます。蓋をして、水分がなくなったら少量水を加えます。
③ 時々混ぜながら、カリフラワーの形が崩れるくらいまで煮たら出来上がり!
松の実のコクと干しブドウの甘みがほのかにする、シンプルな一品です。
これは一般的にcontorno(コントルノ=付け合わせ)と言われるものになり、メインの肉料理などに添えます。
でも何かパスタなどを食べた後に、あり合わせのチーズなどと出せばそれでも十分ですし、こんがりと焼いたパンに添えて出せば、ちょっとしたワインのお供にもなるかもしれません。
つまりは、、、その場次第、あなた次第で色々立ち回ってくれる脇役さんなのです。
さて第一回目、こんな感じで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
飾らない普段着の食卓に、次回もよろしければ是非どうぞ。
Posted by 八重樫 圭輔
八重樫 圭輔
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シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。