JINSEI STORIES
退屈日記「文房具、インテリア、アンティーク!父ちゃんの仕事場が出来てきた」 Posted on 2022/10/12 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、まだ寝室とか生活するスペースは手付かずなのだけれど、一方で、仕事場周辺は仕事が出来る環境が整ってきたのであーる。
本と書かれた段ボールの数、40箱超。一番大変な本の整理が終わり、本棚になんとなくおさまった。
このあと、ぼくが日本にいる間に、ソファとか事務机とかが搬入される予定だけれど、それは長谷っちに任せた。(マジ、仮弟子の存在、助かっております)
ぼくの仕事場には机が二台あって、二つの仕事を同時にやることが可能となった。
小説とエッセイは時間配分や執筆速度が違うので分けた方が効率がいい。
小さい方の机で今は小説「動かぬ時の扉」を書き、大きい方で日記とか依頼されたエッセイなどをやっている。
本棚もいくつかに分けられていて、今はまだ乱雑に入っているのだけど、徐々に仕事にあわせて、分別していくことになる。
仕事場には中央に一人掛け用のソファがあり、そこでぼくはものを読む。
今は、長谷っちとDSライターさんが書いた長編作品などを読みこんでいる。(中身は内緒。いいとか悪いとかは直接本人にいいます)。
どちらも新人賞を狙っているようだから、厳しく、審査員になったつもりでダメだしをしながら・・・。
地球カレッジに送られてくる小説もここで読んでいく。
集中して読むことが出来る。
下のカーペットはイラン帝政期のもので、ぼくの宝物。息子の旧友エミール君のお父さんのお店で10年前に購入したのだ。えへへ、高かった。
机の引き出しの中が凄いことになっている。
作家だから、「文房具フェチ」なので、どうでもいいようなものがもの凄くあって、でも、どうでもいいのだけど、ないとこまるものばかりで、笑、なんとか引き出しに詰め込んでみた。
引き出しを開ける瞬間って、でも、楽しいねぇ。
ぼくは万年筆とかボールペンを旅先でよく買う癖があって、ここに入りきらないくらいの万年筆がある。
でも、万年筆なんか普段使わないので、なんのために買うの、と昔、息子に笑われたことがあった。男の飛び道具さ、空想世界への・・・。
財布とか筆入れとか各種ハンコとか消しゴムとか切手とかいろいろ。
下の引き出しはホッチキスとかセロテープとか輪ゴムとか、でも、結構メーカーにこだわりがあって、イタリア製の輪ゴムとかドイツ製のクリップとか、集めてこっそり、楽しんでいる。にんまり。
観葉植物も増やしたいし、書棚ももっと必要になるだろう。
スタッフが座って、会議が出来る、大きなL字のソファが届くので、それが来るとだいたいイメージ通りのオフィスになりそうだ。
(長谷川の事務机はIKEAで小さいのを買ってあげた。本人が、弟子の机必要ですね、先生、とか偉そうにのたまうので、廊下に置いてやる・・・。いひひ)
前のところよりも光がうんと入る空間で、落ち着いて仕事ができそうだ。(廊下以外は明るい。いひひ)
三四郎はとりあえず、好きなところを移動できるようになったから、彼にとっては、ストレスがなく楽しそうで、あちこちに自分の匂いをつけて、縄張り化甚だしい・・・。
インテリアデザイナーの友人、クラウスさんに頼んで、コーディネートしてもらう予定だけど、年明けから本格的にオフィス業務が出来そうだ。
ここは主に、JapanStoriesの編集部と、ぼくのコンサート活動の拠点になるので、編集者やライターさんとミュージシャンが立ち替わりやって来る。
上の階に小さなスタジオを息子と作る予定で、機材などはそこに置く。(地下室もある。あまり怖くない、普通の地下室である)
今後は簡単なレコーディング、映像制作、映画の編集作業、などは上の階のスタジオで行う、というだんだん、思い通りのパリ事務所兼自宅になってきた。
ぼくは小うるさい野郎なので、63歳が自由に創作できる空間にしていきたい。
キッチンは実に使い勝手がいい。
NHKの「パリごはん」の撮影でも使いたいのだけど、まだ、ここは手付かず、寝室もお風呂場も、とにかく居住区は手付かず、日本から戻ったあと、年末かな、少し落ち着いてからゆっくりと整理をしていきたい。気管支炎がほぼ完治したので、今日からニューアルバムの歌入れに突入する予定。
「先生、気管支炎であれだけ咳をしていたのに、いきなり歌えるんですか?」
と長谷っちに言われた。
こればっかりは声を出すまで、わからないけど、炎症は収まったし、肺のぜーぜーもなくなったので、歌えるんじゃないかな、と思っている。
じゃあ、行ってきます。
つづく。
今日も読んでくれてありがとう。
三四郎のあの肘掛け椅子は噛まれてボロボロになったので捨てました。噛まないようになってきたので、今はソファに上る許可も与えています。少しずつ、やっていいこととダメなことを学ばせていきますね。ストレスを与えなければ噛まないことがわかってきました。人間と一緒なんですね。あはは。