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滞仏日記「急遽、日本行きが確定し、再び、三四郎問題に直面する」 Posted on 2022/10/11 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、日本行きが確定した。
10月の後半に福岡入り、「中洲のこども」残り20シーンの撮影をやり、そのまま、東京に移動して、編集からの仕上げ、そして11月後半に初号(完成試写会)となる。
ギリギリのスケジュールなので、10月は台風が多いから、どうなるかわからない。
オーチャードホール、生誕60年コンサートは台風直撃で中止となった。あれは酷かった。翌日の台風一過の青空が目に染みた。
他にも、何があるかわからないので、初号までは気を抜けない父ちゃんなのであった。
しかし、エアーのチケットが届いた。
日本に向かうことになった。皆さん、行きますよ~。るんるん。

滞仏日記「急遽、日本行きが確定し、再び、三四郎問題に直面する」



ということで、問題は三四郎である。
再び、一月ほどパリを離れることになる。ドッグトレーナー、ジュリアのところから戻ってきた三四郎は(大型犬と一緒の真夏の訓練合宿がきつかったのだろう)激やせしていたので、今回は彼がリラックスできる居心地のいい環境を作ってあげたい。
今回は、三四郎の世話係をやってくださっているマントふみこさんを中心に、幼い頃から犬と共に生きたライターのセギュール・ちえみさん(ドーベルマン、シェパード、チワワ、ビーグルなどと生きてきた犬マダムだ)そして、グランゼコール出身だと分かった仮弟子の長谷っちの三人態勢で挑む、という作戦であーる。
幸い、新しいアパルトマンは事務所兼自宅、(居住区は仕切られていて、ホテルみたいな感じ)、事務所スペースに三四郎のコーナーを作り、昼間は、長谷っちとセギュールさんなどに面倒をみてもらい、夕飯からマントさんの家で寝泊まりをする・・・。
今日、セギュールさんと長谷っちに事務所に来てもらい、父ちゃんが簡単な食事を拵え、それをつまみながらの、ミーティングとあいなった。※当事務所は食事付き。
「先生、もちろんでございます。なんなら、わたくしの妻、コリンヌ、にも手伝わせることが出来ますし、マントさんが大変であれば、我が家で寝泊まりも大丈夫です」
しょっぱなから、ものすごい真実が、あかるみにィ~!!!!
「えええ! き、君、独身じゃないの? 前に独身って、言ってたじゃん!!!」
「いいえ、わたくし妻帯者です。言いました? 独身だなんて」
あれれ、言わなかったかなぁ。ぼくはそもそも、イメージで人を決めつけるところがある。よくない癖だ。この人に奥さんがいるわけがないとか、勝手に妄想をしたのかもしれない。あわわ、やば・・・。いたのか、しかも、コリンヌ! フランス人、かよ!!! 衝撃的な展開であーる。
ともかく、不意に、仮弟子長谷川が妻帯者だと分かって、妙に、安心をした父ちゃんであった。あはは。
前にも言いましたが、父ちゃんは「男性恐怖症」なのであーる。
それにしても、不意に出現し、ものすごい存在感で、デザインストーリーズ・フランスの中核になりつつある、おっさん、恐るべし。妻は、コリンヌ。おお、まいが!

滞仏日記「急遽、日本行きが確定し、再び、三四郎問題に直面する」

※ まだキッチンがちゃんと使えないので、バゲットにサーモンやアボカドを挟んでもらうランチ。ちょっと足りないのでスパゲッティサラダもちゃちゃっと作った父ちゃん先生です・。えへへ。料理、たのしい。



「ムッシュ、うちも三四郎君、預かることできます」
セギュールさんが負けずにおっしゃった。セギュールさんは仏人の旦那さんがいて、可愛いハーフのお子さんが二人、しかも、結構、大きなお子さんである。
「あ、助かります。でも、たぶん、マントさんがおひとりだし、面倒見ます、とおっしゃると思うので、彼女がダメな日とかを二人で分担してもらえると、ありがたいです」
となった。犬は一人に預ける方がいいのだ。頷く、二人・・・。
実は、ライターのルイヤール・聖子さんからも「主人ともども、ワンちゃん好きなので、預かりますよ」というメッセージを頂いている。※ ルイヤールさんの「日本とこんなに違う、フランスシリーズ」エッセイは大人気です。
しかし、肝心のマントさんからまだ返事はまだない。(マントさーん、これ読んだら、連絡くださーい)
というか、この作戦はマントさん無しでは実現できない。
マントふみこさんはぼくより一回り年上で、一人暮らし。安定感のあるマダムなのだ。24時間体制で三四郎の面倒をみていただくことが、かのう、かのう、かのうしまい。
でも、さすがに24時間、一月は、申し訳ないので、朝9時から夕方の19時までは事務所で長谷っちなど、スタッフが、交代で三四郎の面倒をみる! これが、ベストであろう。どうじゃああああ。
あ、一本線野郎のデザイナー、やなさんもいた!!! 

滞仏日記「急遽、日本行きが確定し、再び、三四郎問題に直面する」

※ 食後、ギターを弾いていると、三四郎が横に来て昼寝。それを長谷っちが激写! おい、勝手に撮るなよ! 君、今日はもういいから、お疲れさまでした。笑。



ということで、事務所の方はスタッフに任せ、居住区の方の片付けは日本から戻ってから年末、じっくりとやる。
なんとか、ここを乗り切って、コロナで中断していた映画「真夜中のこども」改め「中洲のこども」を完成させないとならない。
受け入れ側の博多の皆の衆、頑張ってね。辻監督、飛んでいきますよ。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
身体が一つしかないので、しかも、気が付くと、60歳を超えている後期中年なのですが、ううう、気管支炎からも回復し、パワフルに頑張っています。三四郎も周囲の愛に囲まれて、幸せに生きているので、きっと、あとひと月、頑張ってくれるはずです。

滞仏日記「急遽、日本行きが確定し、再び、三四郎問題に直面する」

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