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パリ最新情報「フランスで流行が懸念されるインフルエンザ。第8波と同時進行する恐れも」 Posted on 2022/10/09 Design Stories
コロナ第8波が押し寄せるフランスでは、10月7日(金)、新たに61,121人の新規陽性者が報告された。
国内では東部と北部で流行が広がっており、年齢層では70歳以上の感染が顕著だという。
しかし気になるのは、感染性胃腸炎・インフルエンザといった季節性の感染症が、フランスでコロナウィルスと同時に増加していることである。
特に仏保健当局は、この冬にインフルエンザが大流行することを懸念している。
過去2年間、人々はマスクをし、手洗いやうがいなどを徹底していたためインフルエンザが流行することはなかった。
ところが南半球のオーストラリアでは今年に大流行が起こったといい、件数にしておよそ3万件もの報告があった。
オーストラリア冬期のインフルエンザの発生状況は、その後の北半球での発生状況と類似しているため、2022年は早い段階でインフルエンザの感染が始まるのではないかということが危惧される。
仏パスツール研究所は、南半球での流行、感染対策の緩み、そして過去2年間のインフルエンザ・ワクチン接種率の低下などさまざまな要因があり、人々はよりインフルエンザに感染しやすくなっていると指摘する。
ばらつきはあるものの、フランスでは毎年200万人から800万人がインフルエンザに感染すると言われている。
またインフルエンザによる死亡者数も毎年1万人から1万5000人と多く、主に高齢者や持病のある人が亡くなっていることから、仏保健当局は重症化を防ぐためのワクチン接種を現在強く推奨している。
なお仏保健大臣のフランソワ・ブラウン氏はインフルエンザとコロナワクチンの同時接種が可能であることを強調しており、高齢者や病気のリスクを抱える人たちから率先して予防接種を受けてほしいと訴える。
フランスではインフルエンザの予防接種キャンペーンが10月18日に開始されるが、懸念されるのは人々のワクチン疲れだ。
公共交通機関ではマスクを着ける人も全体の一割ほどといったところで、パンデミックに疲弊した様子が窺える。
しかし、もし昨年よりも多くワクチンを接種することができなければ、フランスでは明らかにインフルエンザが流行する恐れがある、と各専門家は仏紙において述べている。
フランス政府は、マスク着用義務の復活については現在「検討中」だと発表した。
ソーシャルメディア上では依然として「マスク反対」「私はそれでもマスクをしない」といった声も寄せられているが、仏保健当局は「手洗い、うがい、マスク着用などの基本的な対策を慣行することが、流行の抑制に決定的な役割を果たす」と繰り返している。(内)