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ロンドン最新情報「エリザベス女王の国葬に向けた英国民の強い絆」 Posted on 2022/09/19 Design Stories
9月8日、エリザベス女王が96歳でお亡くなりになられ、国民は10日間喪に服してきました。9月19日、最後のお別れの時が来ます。
エリザベス女王の逝去に関するニュースが世界中を駆け巡っていますが、ニュース映像や写真とは別の角度で市民の日常をお届けしたいと思います。
エリザベス女王は最後まで、威厳と優雅さを持って国に尽くされました。そして、身近に感じられる、親しみのある女王でした。ちょうど6月に在位70年を記念するプラチナ・ジュビリーをお祝いしたところだったのです。その日は公休日となりました。100歳の誕生日を祝うことになるだろうと、誰もが思っていたに違いありません。今から思えば、健康上の問題でいろんなイベントをキャンセルし、ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃がロンドンのケンジントン宮殿からウィンザー城に引っ越ししたことにも、大きな意味があったのかもしれません。
<ハイストリートケンジントンのバス停の電光掲示板>
女王ご逝去のニュースがあった翌日、ロンドン市中のあらゆる電光掲示板、バス停、地下鉄、店先に、エリザベス女王の写真が溢れかえりました。若かりし頃から現在のものまで様々な写真が選ばれました。そして、喪に服す10日間、いろんなイベントがキャンセルとなったのです。予定されていた列車とロイヤルメールのストライキもキャンセルとなりました。市民レベルでは移動式遊園地、地域のアンティーク・マーケット、区主催の日曜ヨガまでが中止となりました。
9月19日のお葬式の日は、公休日となり、学校は休校となります。
<ノッティングヒルのチャーチル・アーム・パブ、半旗が掲げられた>
<ドレスメーカーの店先>
<お土産屋>
<チャーチ・ストリート、アンティークショップ>
日常生活においても、変わるものがいくつかあります。国歌の一部が変わりました。歌詞は女王が即位する前に使われていた「God Save the King」に戻ったのです。クイーンからキングと歌わなければなりません。そして、英国の紙幣と硬貨の肖像画が変わります。現在はエリザベス女王の肖像画が使われていますが、チャールズ国王の肖像画に置き換わることになります。さて、数ある女王陛下の写真の中で、いったい、どの写真が使われるのか、気になるところです。
9月16日の午後、エリザベス女王の棺が置かれているウェストミンスター寺院に行ってきました。地下鉄ウェストミンスター駅を出ると目の前に、5年もの歳月をかけて修復を終えたばかりの「Big Ben」が現れます。プルシアン・ブルーと黄金色が美しく、ハッとさせられました。
<5年の歳月をかけて修復された「ビッグベン」とエリザベス女王が安置されるウェストミンスター寺院>
<ウェストミンスター駅>
前日には皇室のメンバーによるパレードが行われたせいか、弔問まで最高35時間待ちと発表されていました。午後2時ごろ、寺院の各所に配置されている警備員に待ち時間を聞くと5−6時間で中に入れるということでした。列の流れも思った以上に早く、立ち止まるということはなさそうでした。
同じ頃、デイビッド・ベッカム氏が午前2時から一般列に並んだのです。13時間待ったと報道されていました。ベッカム氏はVIP扱いで、列に並ばずに弔問することが出来たのに、国民と同じ気持ちで参列したかったのでしょう、その特別待遇を拒否したのです。イングランド代表としてキャプテンとして、「God Save The Queen」を歌ってきました。ベッカム氏は2003年にエリザベス女王から大英帝国勲章を授与されています。その時、王室ファンとして育ててくれた祖父母を一緒に連れて行ったのです。その思い出話を懐かしそうに語っていました。
ウェストミンスター寺院からバッキングハム宮殿に向かってみました。Union Jack Flag と呼ばれるイギリス国旗が美しく飾られていました。普段は観光客でごったがえすバッキンガム宮殿ですが、今は、市民で大混雑しています。
<バッキンガム宮殿>
<バッキングガム宮殿>
バッキンガム宮殿の隣にあるグリーンパークに設けられた献花スペースへと向かってみました。献花の場所は日本大使館のすぐ近くにありました。警備は緩く、列もありませんでした。人々は、じっくりとエリザベス女王への感謝とお別れを告げる事ができます。手紙や絵、写真、パディントンのぬいぐるみなどが花と一緒に捧げられていました。ちなみにエリザベス女王が好きだった花はすずらんだそうです。その花が咲く季節は、春から初夏なので、献花スペースではすずらんを見つけることはできませんでした。
<グリーンパークに設けられた献花スペース>
<献花スペースの近くにある日本大使館、半旗を掲げる>
<グリーンパーク駅で花を持つ人>
その日、アンティークマーケットで、私はウィリアムと名付けられたヴィンテージテ・ディベアに出会いました。ウィリアムは2枚のポストカードを腕に抱いていました。一枚目はエリザベス女王の結婚式の、もう一枚は、女王が愛したスコットランドのバルモラル城の写真でした。
エリザベス女王は、その城で、お亡くなりになられたのです。
<アンティーク・マーケットで出会ったテディベア、エリザベス女王の結婚式とスコットランドのバルモラル城のポストカードを抱く>