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退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」 Posted on 2022/09/19 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、いよいよ、「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022 夏」が、この金曜日に放送となるのであーる。
2021年の春ごはん、からはじまり、今回で、5回目になるのかな。(間違えていたらごめんなさい)
一回だけ頼まれ、喧々諤々やったら、続編の撮影が決まり、気が付くと、5回目で、毎回、これが最後と言いながら撮影している父ちゃんなのであーる。
しかし、すでに、秋冬ごはんの撮影も始まっているということは、最低でも、6っ回目までは放送が続くという、全然、シリーズでもなんでもない状態でここまで来たことを、父ちゃんは、「奇跡」と呼んでいる。あはは。
前置きが長くなったが、この金曜日に2022年の夏編が放送されるということで、めでたい。
よくもまァ、ここまで日常を晒せるよな(生き恥を晒している?)、と自分でも自撮りしながら、驚いている始末であーる。

退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」



見どころというと、本上まなみさんが、今回もまたナレーションをしてくださったようだが、本上さんは出てないけど、彼女の温かいナレーションが見どころ(聴きどころ)かもしれない。
実は、普段、ぼくは映像の一部を確認しなければならず、部分的にチェックをすることがある。制作過程のナレーションは当然本上さんではなく、ディレクターの義和さんが野太い声で語っている。
けっこう、痺れる。なかなか味があるけれど、別の番組のようで、感情移入が到底出来ない。(先日、横浜ビルボードのライブに制作スタッフさんが全員駆けつけてくれたのだ。録音技師さんも来ていて、嬉しかった。チーム、パリごはん、であった)
しかし、義和ナレーションの断片部分だけだと、なんか、物足りないなあ、と思うのだけど、本放送の日に送られてくる完成版を観ると、そのテスト映像で感じたまどろっこしさがなくなっている。
義和は毎回、本上さんに負けている。(違うか、あはは)
本上さんのナレーションがないと、パリごはんという番組は成り立たないのは事実であーる。多謝。

退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」

退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」



先日、2022年の春ごはんの再放送があったようだけど、その頃はまだ受験前で息子との関係も相当にぎくしゃくしていた。
そして、いよいよ夏ごはんは受験などが押し寄せ、辻家は新たな局面に飛び込んでいくのであーる。
それは見てのお楽しみという感じなのだけど、フランスで、シングルファザーで、息子を大学に送り出すまでのドキュメントとしては、個人的に、いい記念作品に仕上がっているのじゃないかなァ、と期待もしている。
見どころ?
いや、そんなものはない。
でも、個人的に悪ふざけをしている場面がある。
今回も田舎のアパルトマンで父ちゃんシェフが父ちゃん扮する常連客に料理をふるまう「父ちゃん仁成劇場」が収録されている。
えへへ。収録って、1分くらいのものだけど、父ちゃん扮する常連客が辻食堂の角っこに座って、「大将」と呼ばれる謎の父ちゃんシェフにいろいろと語る小劇場なのだが、ちょっと、ちょっと、想像してみて頂きたい。
三脚をたてて、カメラを自分に向け、自分でボタンを押して、走ってキッチンカウンターの反対側へと周り、お客を演じて、再び、走って録画をとめて、カメラを移動させて料理を撮影し、と、・・・ばかばかしい一人舞台なのであーる。
去年のパリごはんのどこかでも、一度やったことがあるのだが、実はあれ、普段、カメラが回ってない時にも個人的にやっている遊び。
一人でご飯食べている時って、寂しいので、つい、
「ねー、大将。今日の鯛の塩焼き、うまいねー。ぼくはね、白ワインとこの鯛塩がたまらなく好きなんだよねー」
なんて、自分を相手にくだをまいて、遊んでいるのだ。
ちっとも寂しくないもーん、とか言いながら、酔っていくのは実に壮大な孤独感満載で、楽しい。おおお、父ちゃんにも、春よ、来い!!! 
一人遊び、なのだけど、人間、死ぬ時はみんな一人なので、その時に、寂しくならないように、今から訓練しているという次第なのであった。あはは。

退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」

退屈日記「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022夏、本放送のみどころ」



ともかく、今回の「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022 夏」がどういう仕上がりになっているのか、実は父ちゃん、金曜日にならないとわからない。
義和ディレクターはきちっと仕事をする人なので、ま、大丈夫でしょう。
で、いつも、ぼくはその日に観ないようにしている。だから、返事をしない。すると、義和の嫁の恵子さんから、辻さん、御覧いただけましたか、と慌てた連絡がくる。
寂しがり屋の父ちゃんは、そう言われないと観ないのだ。恵子さんに言われて、しゃーないな、観てやるか、と腰をあげる、なんとも態度のでかい寂しん坊のおっさんなのであった。この壮大な孤独との闘争こそが制作秘話なのであーる。←あほか!
ぼくはすでに、「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022~2023 秋冬」を少しずつ撮影しているので、夏ごはんがどんな内容だったか、今一つ思い出せないのは事実。なので、実は、こっそりと本放送を愉しみにしておきたい。
コロナ禍の渦中に撮影がはじまり、一回目は、第三次ロックダウン下での撮影であった。感染症のパンデミックという時代から、今は宇露戦争の渦中に移行し、世界経済が混乱し始めている大変な時代に突入しようかという、しかも、パリでは2024年にオリンピックもあるわけで、いったい、世界がどうなるかわからない中で、ぼくの人生もまた翻弄されていくという裏側こそが、実は一番の見どころかもしれない。
でも、自撮りをして人生を記録していると、自分が世界とどう渡り合ってきたのかが、よくわかる。
息子は大学生になり、一人暮らしをはじめた。
ぼくはもうすぐ、引っ越しがあり、軸足を田舎生活に80%ほどシフトしていく。
秋冬編では、制作会社の反対を押し切って、仁成劇場をもうちょっと拡充させたいものであーる。
皆さん、23日の本放送をお楽しみに!!!

つづく。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。
秋冬編はもっともっと美味しい料理をと思っています。秋から冬にかけて、キノコやジビエなどがフランスの食卓に登場しますし、食材を探索する旅もやってみたいなァ、と思っているのです。放送がいつになるのかわかりませんが、まずは、夏ごはん編をお楽しみください。
■「ボンジュール!辻仁成のパリごはん2022夏」
 本放送:2022/9/23 金曜日 22時〜22時59分
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