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パリ最新情報「仏首相、『動画より政策を重視』フィンランドのサンナ・マリン首相へ支持を表明」 Posted on 2022/09/14 Design Stories
世界最年少での首相就任、NATO加盟などで注目を集めるフィンランドのサンナ・マリン首相。
確かな政治手腕が評価されるマリン氏だが、プライベートで踊る動画が流出してしまった事件は記憶に新しい。
動画は瞬く間に世界中に拡散された。
しかし炎上の傍ら、激務をこなす女性首相に理解を示す声が数多く寄せられたというのも確かである。
フランスの首相エリザベット・ボルヌ氏もその一人であり、8月末にはフィンランドのマリン首相を支持する意向を明らかにした。
ボルヌ首相はマリン首相を「全面的に支持する」とした上で、「プライバシーに対する攻撃と、それが引き起こした不毛な議論を断固として非難する」と述べている。
34歳で世界最年少の首相として選ばれたマリン首相は、スピード出世を果たしたキャリア政治家でもある。
しかしメディアはパーティー動画を広く報じ、与野党からは薬物検査を求められる結果になってしまった。
これらのニュースはフランスでも大きく報道された。
ただ一連の報道の後にはマリン首相を支持する女性たちがSNS上で次々と現れ、「マリン首相は皆と同じようにプライベートを楽しむ権利がある」と主張。
北米ではヒラリー・クリントン元米国国務長官も連帯を示すなど、首相を支持する声は今も続いている。
またボルヌ首相は 「プライバシーを守り保護することは、最も基本的な権利である」とも述べ、「フィンランドのコロナ対策、ウクライナ支援、NATO加盟の歴史的決定など、動画より政策に目を向けるべき」と断言している。
エリザベット・ボルヌ首相は就任以来、フランス国内で大きな注目を集めている。
なおフランスの世論調査ではボルヌ首相の支持率はマクロン大統領を上回るほどであり、特に18歳から24歳の若い世代で支持されているという。(総合支持率41%、若年層では49%。8月Ifop調べ)
イギリスではリズ・トラス氏が史上3人目の女性首相として新たに就任したばかりであり、ハンガリーでは初の女性、最年少の大統領にノバーク・カタリン氏が就任している。
逆風や新風など、さまざまな風を受けつつも数多くの女性たちがリーダーシップを発揮するヨーロッパにおいて、今回の動画はプライバシー保護問題に繋がる新たな議論を巻き起こした。
フランスでは「私生活は尊重されるべきである」と定めた民法第9条によって、政治家でもプライバシーは保護されている。
金銭スキャンダルは許されるべきではないが、犯罪でない限りは仕事と私生活を別として考える人が多い。
ボルヌ首相は今回マリン首相が受けたいくつかの批判が女性差別的であることを強調し、「女性と男性の平等に向けてまだ長い道のりがある」 とも述べている。
これは、彼女が首相交代式で語った「女性の地位向上への闘いを止めるものは何もない」という決意表明を思い出させるものでもあった。(内)