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滞日日記「腫瘍マーカーとかCTスキャンとか、・・・結果が出るまでドキドキの巻」 Posted on 2022/08/20 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、とにかく、健康は大事なので、母さんのアドバイスをしっかり聞いて、撮影の合間の時間を利用して、笑、済生会病院で定期健康健診を受けたのであーる。
なんと、過去十数年分のぼくのデータが済生会病院のコンピューターの中に残っているのだ。どうじゃ、すごかろうもん!!!
再来窓口というところに行き、
「検査に来ました」
と伝えた。
「お名前と生年月日をください」
と言われたので、
「辻仁成、1959年10月4日生まれ」
と伝えたら、ちゃんと今日の検査順番などが出てきた。ほー。
「辻さんは、2階の脳卒中センターで受付をされてください」
「えええ? 脳卒中じゃないです」
「いいえ、脳外科の大倉先生がおりますので」
大倉先生というのはぼくの主治医で、友人なのであーる。
納得して、2階へ、・・・すると若い看護師さんが出て来て、
「お名前と生年月日をください」
と言われたので、
「辻仁成、1959年10月4日生まれ」
と言ったら、中に通された。
大倉先生がいた。
あはは。この間、一緒にご飯をしたばかりだったので、笑顔で、ご挨拶。
先生に、今日の手順を聞かされた。最後に、脳ドッグやっときましょう、と言われた。
「いらないですよ」
「でも、お母さまが、心配されていました。脳が商売道具だからって」
「あはは」



まずは、検尿と検血をやった。どのセクションに行っても必ず、名前と生年月日を質問される。ぼくの横で、答えられない患者さんがいた・・・。なるほど。
今回は腫瘍マーカーなどもやるので、結構、血を抜かれた。
受付にいくたびに、
「お名前と生年月日を」
と聞かれ、
「辻仁成、1959年10月4日生まれ」
と言い続けた。病院はどうやら、そういうところらしい・・・・。
最後に、再び大倉先生のところに戻り、
CTスキャンの映像を見ながら、ぼくの健康状態についての説明を受けた。
「問題ないですね。いいですよ」
「はぁ、よかった」
「大腸、膵臓、腎臓、大脳、小脳、まったく問題ありません。癌などもないですね」
「よかった」
「ちょっと脱水気味だから、ビールじゃなくて水を飲んでください。でも、健康そのものですよ」
「安心しますね。なんとなく。62歳、乗り切れそうです」
大倉先生が笑った。ぼくも笑った。
検査を受けてよかった。
「辻仁成、1959年10月4日生まれ、異常なし」

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※ 済生会病院の最新設備であるCTなのであーる。

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病院を出たちょうどその時、携帯に息子と弟の恒ちゃんから写真が届いた。
おお、雲仙の写真である。凄いところにいるものだ。
18歳の青年よ、君は世界中旅が出来ていいね。
「地獄温泉、十斗は初めてだから、盛り上がっている。地獄蒸し卵を食べているよー」
地獄蒸し卵とは雲仙温泉の地熱で作った卵で、「一個食べたら一年長生き、二個食べたら二年長生き、三個食べたら死ぬまで長生き」と言われる長寿の卵だそうだ。死ぬまで長生きって、いい言葉だなぁ、と思った。

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すると、三四郎を預けているマントさんからもメッセージが届いた。
「獣医さんに連れて行ってまいりました。先生曰く、健康そのものだそうでございます。森で、変なものを食べたり、汚い川の水を飲んだとしても、食欲があり、体調がよろしければ、犬は問題ございません。たしかに、虫くだしのお薬だけ出しておきます、とのことでございました」
ぼくより、一回りは上のマダム・マントさま、メールもご丁寧であーる。
そうか、三四郎も十斗もみんな健康なのか、世界各地で、辻家成員、頑張っているな。よかったよかった。



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帰り道、大丸の前の屋台で、後ろ髪をぐいぐいと引っ張れた、父ちゃん。なんとか振り切ったのだけど、路地を曲がったら、別の屋台が・・・
ビールと枝豆が、ううう、やばかー。
水分補給であったー。

こんな風に、ぼくは健康にだけは人一倍気を付けて生きてきた。人生、用心にこしたことはない。適度にびびって生きていくくらいがちょうどいいのであーる。
「死ぬまで長生きで、行こうじゃないのー」
と通りすがりの福岡の人たちにむかって、手を振る元気な父ちゃんなのでした。

つづく。

ということで、今日も読んでくれて、ありがとう!!!
福岡での生活が長くなってきたので、やたら、行きつけが増えてしまって、さぁ、大変な父ちゃんなのでした。でも、撮影後は、一人でこっそり飲める隠れ家のような場所に行き、声を潜めて、ちびちび、水分補給、やっておりまーす。えへへ。

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