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パリ最新情報「フランスで広がるサル痘、パリではワクチンセンター開設へ」 Posted on 2022/07/28 Design Stories
フランスでは今年春よりサル痘の患者が増加している。
7月26日の時点で感染者数は1,749人となり、その半数近くがパリを含むイル・ド・フランス圏に集中しているとのことだ。
WHOはサル痘について「世界中に急速に拡大している」とし、23日夜に緊急事態を宣言。
現在フランスを含むヨーロッパ、北米を中心に感染者数が増え続けている。
フランスでは患者のほとんどが男性であり、年齢層では18〜44歳が症例の77%を占める。
主な感染経路は接触感染であったというが、今のところ重症例や死亡例は確認されておらず、ほとんどの人が軽症だという。
またサル痘の潜伏期間は7~14日とされており、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などの症状が数日続き、発熱1~3日後に発疹が出現、発症から2~4週間で治癒すると見られている。
ただ仏保健相は、新型コロナウィルスのように爆発的な広がりの可能性は低いとし、偏見を持たず、冷静に対応するよう国民に呼びかけている。
フランスでは早くも感染対策としてワクチンの接種が進められており、首都パリでは7月26日にサル痘専門のワクチンセンターが開設された。
センターの所在地はパリ13区にある。これまではイル・ド・フランス首都圏内12の病院でワクチン接種が可能だったが(7月18日より)、専門のワクチンセンターは国内初となる。
パリでは今週から4,000本のワクチンを確保しており、先週の約2,500本から大幅に増えた。
しかしパリ市議会は、これでもワクチン数とスタッフが「全く足りていない」としている。
そのためパリ市は臨時の看護学生なども動員を予定しており、今後は週1万本分が投与できるよう、国にも緊急措置を求めている。
なお希望するワクチン数と人員が確保できれば、近いうちにパリ市内で2か所目のワクチンセンターを開設する可能性があるとのことだ。
フランス国内では、これまでに約6,000人がワクチン接種を受けた。
接種に当たっては処方箋を発行してもらう必要はなく、費用は無料。
予約はコロナ時と同様、ドクトリブ(オンライン医療予約サービス)のアプリケーションで可能だということだ。
またサル痘に感染した場合、フランスでは次のような措置が取られている。
・ 少なくとも21日間、または皮膚や粘膜の病変が完全に治癒するまで、自宅にて隔離する
・ 妊婦、乳幼児、免疫不全の人への接触は禁止
・家族もしくは同居者がいる場合、他の人が触れる物品を消毒する(隔離終了時には、床、寝具、食器など家の中を徹底的に掃除すること)
・リスクゴミ(かさぶた、使用済みティッシュ、使い捨て食器など)は、専用のゴミ袋に入れ、二重の袋で処分する
なおこれらはパリ市役所ホームページでも確認でき、緊急時の診断センター連絡先なども明記されている。
サル痘の広がりを受け、こうしてフランスは早め早めの対応を行っている。
しかし仏保健相は「コロナとサル痘は異なる」とし、二つのウィルスの間には明確な線を引いている。(や)