PANORAMA STORIES
三四郎合宿日記「りんかんがっこうってなーんだ?」 Posted on 2022/07/06 三四郎 天使 パリ
近頃、なんだか、ムッシュがすごく忙しそうで、家がばたばたしていたんだ。
大きな箱を広げて、その中に服とか靴とかなんでもかんでもどんどんぶち込んでて、でも、とっても面白そうじゃない?
ボクもそこに入ってみたくて、邪魔していたわけじゃないけど、近づいて中を覗き込もうとしていたら、
「さんしー、あっち行ってなさい」
と怒られちゃって、いつものことだけど、腕組みして、怒るムッシュ、逃げるぼくみたいな・・・。
ぼく、好奇心旺盛な子犬なんです。
それがひと段落すると、ムッシュはボクの部屋にやって来て、ボクのゴハンを小さな袋に詰めはじめた。もの凄い数で、変じゃない? 何してんの? と思うから、ぼくまた、ムッシュの足元に行って、飛び上がろうとしたんだ。
ぼくのごはんなのに、何してんのー、って!
「さんしー、邪魔だから、あっちに行ってよ」
って、ムッシュったら、どうしちゃったのさ? やれやれ。←ムッシュの真似。
そしたら、この前、ムッシュは、ボクとゴハンがいっぱい入った大きい袋を車にのせたんだ。
車はあまり好きじゃなかったけれど、毎日、車でどっかに行くから、だんだん、少しずつ、仕方なく、笑、慣れてきた。
車は生き物じゃないのも、わかって、吠えても無駄だとわかってきた。
それに、車にのったらボクの大好きな海にも行けるんだ。
車は海に行くためのものだって、わかってきた。
海が好き。海を走り回るのが大好き。
今日はどこに行くのかな?
海だったらいいなぁ・・・。
でも、なんとなく、景色が違う。ビルの間をムッシュの車は走っていった。
そして、到着~。
車を降りたら、そこは海ではなかった。でも、あれれ、ボクがよく知っている匂いがする。それに見たことある家・・・。
ジュリアの家のガレージだ!
あ、ジュリア!!!!
ジュリアが向こうから歩いてきて、甲高い声でボクを呼んだ。
「サンシー!」。
「サンシー、サンシー!」
ボクはとても嬉しくなって、ジュリアの足元まで走って、くるくるくるくる回ったんだ。
紹介します。ぼくの先生のジュリアだよ。
犬が大好きなお姉さんで、彼女の家にはぼく以外にも何匹も犬が暮らしているんだ。
ムッシュが言ってた、犬の学校の先生なんだって。
「三四郎、お前は犬の学校の生徒だ。学生は夏の間は合宿をするのが普通なんだ」
ムッシュはジュリアと少し話しをして、ゴハンが入った大きな袋を手渡し、ボクの頭にキスをした。ぶちゅーって。
それから、ボクの頭を両手でぎゅっとして、車に戻った。
「サンシー、サンシー!」
ムッシュはいっぱい手を振っている。どうしたの、ムッシュ?
「サンシー、元気で頑張れよ。サンシー、サンシー」
ムッシュとムッシュの車は、ボクを残して離れていった。
ムッシュがいっちゃったけど、ジュリアがぼくを抱きしめてくれたので、そのことはだんだん、どうでもよくなっていった。
ムッシュがいなくなるわけじゃないし、また2,3日したら前みたいに迎えに来てくれるんだろう。
ま、いいよ。犬の生徒は「夏の合宿」とやらをしないとならないんだから、
しかし、「合宿」ってなーに??
ジュリアの家にはすでに他の友達が3匹いた。それはいつものことなので、もう気にならない。今回で三回目のお泊りだから、なれてきた。
これが「合宿」なのかな?
それにしても、あの大量のごはんはどういうことなの?
この子たちみんなで食べるのかな?
ぼくひとりじゃ食べきれないし・・・。
とりあえず、お気に入りの椅子によじ登って、自分の居場所を確保することから始めよう。そうそう、他の犬がいると、自分の家とは違って、ちょっと頑張らないとならない。のろまな犬はもらいが少ないんだ。
みんなと少し遊んだら、すぐにドド(ネンネ)の時間がきた。
ぼくの大好きな時間だよ。
ぼくは他の子たちよりも、優遇されているんだ。実は、ジュリアはぼくだけを特別扱いしてくれる。
なんと、ムッシュにはされたことがないけど、ジュリアはぼくと一緒に朝を迎えてくれます!!!
一緒に寝るんだよ、ジュリアにぴたっとくっついて。
あのね、ミニチュアダックスフンドは寂しがり屋だって、知ってましたか?
ジュリアは知っているから、朝まで抱きしめてぼくと寝てくれるの。
そりゃあ、好きになるよね?
ジュリアの部屋はとっても寝心地がいい。柔らかいお布団に上がって、ジュリアの左足に頭を置いて寝るんだよ。
想像してみて、天国でしょ?
ムッシュのところでは、床で寝てるんだもの。暑いから・・・。やれやれ。←ムッシュの真似・・・。
朝は、ボクがジュリアを起こすんだ。
ジュリアは「ボンジュール、モンルル(私の可愛い子)」と言って、ボクを抱きしめてくれるんだよ。
すごい高い声で、モンルルだよ。
羨ましいだろ? やれやれ。
ムッシュの家でも、毎朝ムッシュが「おはよう、サンシ」とやさしく言ってくれる。
ムッシュは胸とお腹をいっぱい撫でてくれる。ボクは目覚めのカラン(甘え)が大好きだ。カラン、カラン!!!
朝ゴハンを食べたら、ジュリアはボクらを車にのせた。
ちょっと走って車が止まると、大きいお友達が入ってきた。
柴犬のユメだ。何度か森で会ったことがある。ビーグル犬のスニーものってきた。
なにが始まるのかな?
ジュリアに抱っこをされて車からでると、そこは森だった。ああ、森か、海の方が好きだけど、森も悪くないよ。
みんなで一緒に歩きはじめた。
ジュリアは森に着くと、ぼくのリードを外して自由にさせてくれるんだ。正確にはリードはついているけど、その握った手をはなしてくれる。
なんでも、遠くにいった犬をおいかけて、足で踏んずけて行けないようにさせるのよ、わかった?サンシーだから、遠くにいかないなら、手を放してあげるって、ジュリアが言ってた。
ぼくは臆病だから遠くに行かないし、行けない。だから、心配しないで。
でも、自由って、素晴らしい。
自由って、そういうものだね。
ちょっと怖いけど、ちょっとドキドキ。
それが自由だと思う。
そう言えば、分かれる前に、ムッシュが言っていた。
「三四郎、そこはね、りんかんがっこうって言うんだよ」
へーと思ったけど、そんなこと言われてもね~、ぼくは犬だから、わかるわけないのに・・・。
でも、りんかんがっこうには、ソニアもラルフもトーキョーもいた。
でも、いない。
あれ?
ボクは不意に思い出した。大好きなムッシュのことを。
だから、探したけれど、そこにロン毛のムッシュはいなかった。
あれ、ムッシュいないよー。
「ムッシュ!」
返事もない。
「サンシー、モンルル」
かわりに、ジュリアがいた。
そういうことだった。
森の中を、いっぱい歩いて、いっぱい走って、ジュリアがボクを抱っこした。ジュリアの家に、また、帰るみたいだ。
ムッシュはどうしているのかな。ボクは森をたくさん歩いて疲れたけれど、元気にしているよ!
ムッシュも元気でね。
皆さん、今日はぼくからのお知らせだよ。
ムッシュの夏の人間向けの林間学校があるみたい。詳しくは下のいつものね、ひひひ、クリックしてね。わん♪
Posted by 三四郎
三四郎
▷記事一覧2021年9月24日生まれ。ミニチュアダックスフント♂。ど田舎からパリの辻家にやってきた。趣味はボール遊び。車に乗るのがちょっと苦手。