欧州最新情報

パリ最新情報「フランスにラベンダーの季節が到来!南仏では伝統を守る声が高まる」 Posted on 2022/07/05 Design Stories  

 
フランスにラベンダーの季節がやってきた。
6〜7月は最も綺麗に花が咲くためラベンダーは今が旬。
フランスの街が深い紫色に染まり、爽やかな芳香がどこからともなく漂うようになった。
ラベンダーは南仏プロヴァンス地方が産地として有名だが、実は都会パリでも道路脇に咲く大変ポピュラーな花となっている。
 

パリ最新情報「フランスにラベンダーの季節が到来!南仏では伝統を守る声が高まる」



 
フランスは言わずと知れたラベンダーの生産国である。
ラベンダーは「洗う」という意味のラテン語から名付けられており、その名の通り、疲れた心を洗い流してくれる清潔感に満ちた香りが特徴だ。

歴史は古く、約1000年前にはすでに温泉やリネンの香り付けに使われていたという。
フランスでもその香りの良さから化粧品やアロマテラピーなどに広く用いられており、人気は全く衰えを見せない。
特にラベンダーの精油は国民的アイテムとも言えるほどで、BIOスーパーのレジ前にもごく普通に並んでいる。薬局で睡眠不足を訴えればラベンダーの精油を勧められるくらいだ。
育成も容易だということで、歴史的な産地(ドローム、ヴォークリューズ、アルプ=ド=オート=プロヴァンス)以外にも、パリ南部のボースなど各所で盛んに栽培されている。
 

パリ最新情報「フランスにラベンダーの季節が到来!南仏では伝統を守る声が高まる」

地球カレッジ



 
今、産地プロヴァンスでは標高600メートルから1400メートルの間でラベンダーが一斉に花を咲かせているという。
紫の絨毯を敷いたような美しいラベンダー畑の景色には、心打たれるものがある。
パンデミックで2年間は閑古鳥だったというが、今年は観光客も戻り地域全体が活性化しているとのことだ。

ただ南仏のラベンダー農家にとっては辛い時期が続いている。この植物の強い魅力により生産量が爆発的に増え、価格が下落しているというのだ。
昨年の価格は1キロあたり35ユーロ程度で、農家は生産コストをかろうじてカバーすることができた。
しかし今年はさらに価格が安くなり、1キロあたり8〜12ユーロまで下がってしまうかもしれないと各紙で報じられている。
 

パリ最新情報「フランスにラベンダーの季節が到来!南仏では伝統を守る声が高まる」



 
しかし南仏のラベンダーは中世の時代から地域の活性減となってきた。
そんなプロヴァンスのシンボルを守ろうと、今年6月には南仏3県の県会議員が声を上げた。
その3県とはラベンダー産地であるドローム、ヴォークリューズ、アルプ=ド=オート=プロヴァンスである。
内容は経済支援だけでなく、他の生産地域にラベンダー以外の植物を栽培するよう依頼するもの。
近く県議会を通して仏首相にも提案を行う予定だという。
 

パリ最新情報「フランスにラベンダーの季節が到来!南仏では伝統を守る声が高まる」

 
生命力も強く栽培しやすいラベンダー。
需要を上回る生産量に悩むフランスだが、プロヴァンスのラベンダー畑は守るべき存在だ。
7月下旬から8月下旬にかけてはそれぞれの産地で収穫祭も予定されている。
地域の人々が伝統の衣装を着て踊り、収穫を喜ぶ様はフランスの夏の風物詩とも言えるだろう。
南仏のラベンダー畑が100年後もそのままでいてくれることを願うばかりだ。(内)
 

自分流×帝京大学