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愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」 Posted on 2022/07/02 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

 
フランスの7月は別れの季節。
新学期は9月から始まるが、学校は7、8月が夏休みで、子どもたちにとって、7月は学期末なのだ。
お世話になった担任の先生たちとは、これを最後に新学期からはクラス替え。
そんなわけで、この時期、保護者たちの間で話題なのが、先生たちに何を贈るか、だ。
去年、娘が3歳で保育園を卒園する際、フランスには学期末に先生に贈り物をする文化があると聞き、登園最終日前日に慌てて箱入りチョコレートを買いに走った。
今回は、学年が繰り上がるだけだが、担任の先生は娘のクラスを最後に定年を迎える。
これは、何か特別なことをしなければならないかもしれない。
個人的に何か贈るべきか否か。
 

愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」

※フランスで贈り物に迷ったらチョコレート



 
そんなことをママ友、パパ友に聞くと、「そのうち誰かが仕切り始めるから待ってたら大丈夫だよ」と。
最終登校日まで残り10日を切った頃、参加登録自由の保護者会からメールがきた。
日本のPTAのような会だが、有志が中心に活動し、何か強制されることはない気楽なグループだ。
そこに記されているリンクをクリックすると「○○学校△△組の先生たちへのプレゼント集金」という名前のWEBサイトに飛び、クレジットカード、もしくは電子マネーで、希望金額を払えるようになっていた。
こういったサイトはいくつかあり、「leetchi」や、「lydia」という集金サイトがよく使われている。
これは共同積立金という意味の「cagnotte」と呼ばれる。
サイトでの集金は比較的新しく、以前は封筒が用意され、そこに現金を入れていった時代もあった。
 

愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」

※送別以外でも、結婚祝い、出産祝いなどを共同で贈ることも

地球カレッジ



 
難しいのが金額だ。
サイトに一番乗りでアクセスしてしまうと、いくら出したら良いか全く想像がつかない。
フランス人の同僚に聞くと「気持ちだから金額は自由」というが、それが簡単ではない。
そこで、思いついた方法が、少し遅めにアクセスして、その時点で集まっている金額を参加人数で割り、ひとりあたりの平均支払額を予想する方法。
だいたい10-20€ぐらいのことが多い気がする。
狡いなぁと思いつつも、今までそれで金額を決めてきてしまった。
実際は、人によって支払う金額が大きく異なる。
以前、退職する同僚のために「cagnotte」を主催したときは、5€から100€と幅があった。
仲が良ければ金額は上がる傾向にある。
 

愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」

※右上に集まった金額と参加者数の表示



 
驚きなのが、誰がいくら支払ったか、プレゼントの受け取り手は知ることがないのに、結構な大金を払う人が現れることだ。
もし100€も払ったら、受け取り手には、ちょっと知ってもらいたい気持ちが生まれると思う。
でも、そこは全員分まとめて合算した金額を元にプレゼントが選ばれる。
フランス人がそこにこだわらないのは、寄付の精神が根付いているからかもしれない。
教会の礼拝で回ってくる献金も想像させる。
 

愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」

※送別会では各々作りのお菓子を持ち寄ることが多い



 
さて、ここで集まったお金で選ばれるものは何か。
私の今までの経験では、集金締め切り後に主催者が周囲の声を取り入れつつ、いくつか参加者に提案する。
その人が好きなものを中心に考えていくが、私の周りでは、何か体験できるものを選ぶことが多い。
今回、観劇が趣味の先生には、好きな演目を観ることができる、
パリの劇場チケットを家族の人数分プレゼントすることになりそうだ。
好きなものがハッキリとわからない人に向けては、「Wonderbox」や「Smartbox」、「vivabox」という、体験を贈るギフトカタログが人気だ。
料理教室、エステ、ワインの試飲クラス、スポーツ観戦、様々なものが選べる。
パリジェンヌの友人は車同好会の仲間たちから「ぜひスポーツカー体験やってみて!」とギフトカタログを送られたが、こっそりエステに行っていたという。
このギフトカタログの需要を実感した瞬間だった。
 

愛すべきフランス・デザイン「フランス人の送別プレゼントの贈り方」

※スーパーにもカタログギフトのコーナーがある

自分流×帝京大学



Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。