某月某日、パリは今週、３７度を超えるようだ。
ボルドーは３９度を超えるというので、猛暑のフランスである。
ぼくは田舎にいるので、そこまで暑くはないけれど、それでも、ここも３０度近くにはなるだろう。
三四郎は生まれて初めての夏を経験中で、
「パパしゃん、なんなのよー、この暑さ。うだるわ～」
と夏バテを経験中。笑。
なにせ、田舎のアパルトマンは最上階の屋根裏部屋だから、めっちゃ、暑いのだ。
フランスの家庭には基本、冷房機はないので、笑、床にごろんとして、暑さが引くのを待つしかない。

今日は三四郎と海の散歩のあと、連れだって田舎のマルシェに行き、野菜とかお肉とかお魚を買った。
マルシェはやっぱり安い、庶民の味方なのである。
あまりに暑いし、夏バテを解消するには、あれしかない。
夏野菜をグリルし、オリーブオイルに漬けて冷たくして食べるイタリアの料理がある。
名前は知らないけど「野菜のグリル」頂戴というと出てくる。
ぼくは牛肉のタリアータと一緒に食べる。
牛肉も熱々を食べるのではなく、火を入れたらアルミホイルに包み込んで休ませる。
長い時間休ませると味が染みわたるという仕組みで、この冷たくなった野菜とお肉をお皿に盛り付けて「夏バテ定食」と父ちゃんは呼んでいる。
赤ワインに氷をぶちこんで、一緒に飲む。ぜひ、やってもらいたい。

とくにレシピはないけれど、グリルパンにちょっとオリーブオイルを振ったお好きな夏野菜を並べ、裏返しながら、しなしなになるまで炒めて、タッパーとかに詰め、塩胡椒し、オリーブオイルやちょっとバルサミコなどをふりかけ、ひっくりかえしていきわたらせて、冷蔵庫で寝かせて置けば、翌日にはめっちゃおいしい冷製野菜グリルが出来上がる、という仕組み・・・。
イタリアレストラン、とかで出てくる、あれ、である。
お肉は、骨付きのステーキとかを買い、（フランスはマルシェだと一キロ弱で１５００円くらいだけど、日本はとんでもなく高いですね）同じグリルパンをびんびんに熱して表面を焼いて、中は赤身が残るくらいレアな感じで。すぐにアルミホイルに包んで休ませ、放置。
これだけ。
切り分けてお皿に盛るとこんな感じになる。冷たくて、身体に優しい夏のプレートの出来上がりである。お肉を食べるというよりも、野菜を食べるお皿かな・・・。

三四郎はぐったりしていて、あまり食欲がない。
そりゃあ、そうだ。彼は毛皮を着ているわけだから・・・。
かわいいベロをだらりと垂らして、あちゅーい、とうだっている。笑。
田舎の生活なんて、辻さんらしくない、という意見もよく聞くのだけど、ぼくはぜんぜん楽しんでいる。
パリに比べたら友だちも少ないけれど、もともと一人遊びの好きな子だったから、その延長にいるような感じで、のんびりと一日が過ぎていく。
暑さが引いた夜、といっても明るいけど、２２時くらいに夕陽を見に、三四郎と海まで散歩した。
沈む夕陽を背にする愛犬は幸せそうであった。
ぼくは毎日、三四郎の散歩に３時間程度は費やしていることになる。
愛犬を眺めるだけの黄昏れ人生ではあるが、ぼくはこれでいい。
ところで、犬がなぜ、好きなのか、自分に問いかけてみた。
走りまわる三四郎を見ながら、なんで、好きなんだろう、と考えてみた。
以下、思いついたことを箇条書きにしてみる。
１，ぼくを裏切らない。
２，ぼくを心の底から必要としてくれる。
３，ぼくがいることでこの子は幸せになる。
４，ぼくも寂しくない。
５，世話好きだから、一生世話する相手がいることの幸せ。
６，誹謗中傷、悪口陰口、誰かの噂話などは一切しない。
７，永遠に無垢な存在なのである。
８，もはや愛の塊でしかない。
９，ぼくの話や歌をだまって聞いてくれる。（嫌かもしれないけれど・・・）
１０，余計なことは言わず、ただ、傍にいてくれる。

ということで、今日も読んでくれてありがとうございます。
まず、やはり「横浜ビルボード」はSOLDOUTでした。大阪は最終チェックをしているので、間もなく、結論が出るみたい。大人の世界なので、・・・ぼくにはわかりませんが。わかり次第ご報告します。
そして、１７日、いよいよ、NHKBSの新作「ボンジュール！辻仁成のパリの春ごはん、２０２２春」が放送になります。
春のパリで生きる父ちゃん一味のお話になります。お楽しみに。
詳しくは、番組のHPでご確認ください。
https://www.nhk.jp/p/ts/6XW8NZ748V/

NHKーBSを視聴できない場合、以下からご覧いただけます。　
【NHKオンデマンド】６月１８日１８時〜２週間配信
https://www.nhk-ondemand.jp/#/0/
そして、３０日には待望の「パリの空の下で、息子とぼくの３０００日」が発売となります。
はい、その前に、６月２６日、日曜日、地球カレッジ、父ちゃんのオンライン文章教室がありますよ。現在、準備中です。
文章をもっと楽しく学びたいという皆さん、ぜひ、ご参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックください。