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誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム Posted on 2022/06/04 ウエマツチヱ プロダクトデザイナー フランス・パリ

誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム

私が密かに「プレゼント通り」と呼んでいる路がある。パリ7区のバック通り(rue de bac)は、世界最古のデパート「ボン・マルシェ百貨店」の2つの建物の間にある。そこを抜けると、文房具店、雑貨店、生花店と、瀟洒な路面店が立ち並ぶ。誰かに贈りたいちょっと良いモノに溢れていて、プレゼントのアイデアには困らない場所だ。フランスで贈り物に迷ったら、チョコレートを選べば間違いない、とアドバイスされたことがあるが、ショコラティエとパティスリーが充実しているのも、私が「プレゼント通り」と呼びたくなった所以だ。

誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム



そんなバック通りで、2軒紹介したいお店がある。このふたつは隣同士、相乗効果でお互いの価値を高め合っているように感じる。というのも、ひとつは生花店、もうひとつは茶葉専門店で、花束を持った人が茶葉専門店にいたり、茶葉専門店にいた人が次に生花店に入っていく様子をよくみる。贈り物でなくとも、可愛いお花を飾って、美味しいお茶を飲む、そんな素敵な一日を演出してくれる2店舗なのだ。ここに、ジャポニズムが潜んでいた。

誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム

※隣り合う2店舗

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※花束を持った、茶葉専門店で買い物をする人

まずは、生花店。これまでに何度も前を通っていて、パリらしい素敵なお店だと思っていた。今回、改めて店名を気にしてみたら、驚いたことに「青山フラワーマーケット」。日本の店舗同様、店前に小さなブーケが並ぶのが特徴だ。この売り方を考えた伯野さんにお話を伺った。パリでこういった気軽に買えるミニブーケは、それまではなかったそう。確かに、出来上がったブーケを販売している生花店はあれど、どれも立派な花束で、価格も20€ぐらいからだ。こちらの小さなブーケは5€からとワンコイン感覚。パリのショッピングエリアに来て、特に買うものがなくても、ここに寄って小さなブーケを持ち帰ったら、幸せ度が上がりそう。

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地球カレッジ

パリっぽいブーケとはどんなものか、と伺うと「野花を積んできたようなシャンペット(champêtre:田舎風)な雰囲気かな」と、伯野さん。花だけでなく、ミントや、カシス、ラズベリーの葉などとまとめられていて、パリの中心地にいながらにして、野原で摘み取ってきたような可憐さだ。最近の流行りは、小さなブーケを複数個、小瓶にいくつも並べて生けるスタイルだという。ブーケを買った後に、丁寧に保水処理をしてくれるのも、日式だ。フランスで花束を買うと、切り口がそのままのことがほとんどなので、急いで帰って生けなくてはならないのだが、ここではそんな心配は不要。

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※伯野智司さん

また、目を引いたのが、石から生えたように見える植物たち。これらは、石の植木鉢に植えられていているのだが、日本の侘び寂びを感じさせて、とても人気だそう。確かに、パリではあまり見ないタイプのものだ。

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次に、茶葉専門店の「コンセルバトワール・デ・ゼミスフェール(Le Conservatoire des Hémisphères)」。自然派化粧品ブランドのビュリー(Buly)と経営系列が同じということもあり、クラシカルにまとめられた店舗デザインが似ている。ビュリーでは、日本人から講習を受けたという繊細なラッピングと、記名サービスが人気だが、ここでもそれは踏襲されているようだ。



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壁にズラッと並ぶ、金色の丸い金属は引き出すと、茶葉の香りを試せるテスターになっている。オリジナルの茶筒に合わせたアイコニックなデザインだが、店名の「Hémisphères(地球の半球)」を彷彿させ、さながら大航海時代の計測器のような雰囲気だ。

誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム

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※金色の美しい缶と、上質な紙缶が選べる。

和紙の包装に水引を連想させるラッピングも。
茶葉の種類が豊富で、何から試したら良いかわからずにいると、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。茶葉自体にこだわったものと、味の組み合わせが楽しいフレーバーティーの、2つのランナップがある。特に印象的だったのが、スリランカ産の手で形作られた茶葉だ。薔薇の形だったり、リング状だったりする。



誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム

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そもそもは中国古来の技法で、痛みのない上質な茶葉でしか実現できないという。この形にできるということが、茶葉の品質証明になるそうだ。ひと手間が、見た目の美しさにも寄与し、茶葉に更なる価値を与える。茶葉の販売価格を上げることで、生産者たちに還元できるという、エシカルなアイデアだ。そして、フレーバーティーは、アーモンドが入った風味豊かな「l’Ambroisie」、お茶にしたときにメレンゲが溶け、甘さを足される「Anna Pavlova」などが、個性的。



誰かに贈り物をしたくなっちゃう、パリのプレゼント通りで見つけたジャポニズム

※メレンゲ入りの「Anna Pavlova」

ふと、台の下をみると、日本の茶道具が陳列されていた。お月見でお馴染みの「三方」という台や、ヒノキのお盆も店舗ディスプレイのそこかしこに。もちろん、玉露や蕎麦茶などの日本茶コーナーもある。フランス人のハレの日のアイテムに、日本の精神が息づきはじめていることを嬉しく思う。

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※日本の茶道具

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自分流×帝京大学

Posted by ウエマツチヱ

ウエマツチヱ

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tchie uematsu
フランスで企業デザイナーとして働きながら、パリ生まれだけど純日本人の娘を子育て中。 本当は日本にいるんじゃないかと疑われるぐらい、日本のワイドショーネタをつかむのが速い。