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パリ最新情報「インフレ続きのフランスに明るい話題が。国産フルーツが絶好調に」 Posted on 2022/06/04 Design Stories
止まらないインフレ、長引く戦争、霜害と、フランスの食卓を脅かす状況がしばらく続いていた。今年前半のニュースでは肩を落とす農業者たちの姿が映し出され、どちらかというと暗い話題ばかりが先行していたように見える。
しかし、そんなムードを一掃する嬉しいサプライズが5月末に舞い込んだ。
4月から続く好天候の影響で、フランス産フルーツの収穫が絶好調だという。
たかがフルーツ、と思われるかもしれないが、フルーツの収穫はフランスの朝食に欠かせないジャムや、フランスが誇るワインの生産にも関わる重要な事案である。
加えて農業大国であるフランスは青果の生産が非常に盛んなため、人災・天災の影響をダイレクトに受けやすい。
絶好調なフルーツは主に、イチゴ、アプリコット、チェリー、桃の4つ。
春を迎えた頃にはフランス各地で起こった霜害に悩まされたが、それはあくまで限定的なものだったという。
現在はスーパー、マルシェの至る所で美味しそうな旬のフルーツを見かけることができる。
特にイチゴは豊作で、その生産量はこれまでにないほど順調なのだとか。イチゴはパティスリーに登場することも多く、フランス人が好きなフルーツの第一位となっている。
ただ、まだシーズンが始まったばかりなので、生産者は「天候から目が離せない」と慎重な姿勢を崩していないという。
一方消費者にとっては、産地よりも価格が気になるところだ。ある調査によると、今年前半では、フランス人の69%が節約のために定期的に野菜や果物を食べないようにしているとの結果が出た。
しかし5月以降に店頭に並んだフルーツにおいては、品質の高さに加え、価格帯も消費者に満足を与えているという。
さていよいよ9月、フランスではブドウの収穫の季節がやってくる。
ワインの品質を左右するブドウの状況はどうなのだろうか。実は、フランスのワイン生産者たちからも喜びの声が上がっている。
「もちろん天候には常に翻弄されますが、今年は非常に良い収穫に向かっています」と、ヴァントゥーワインの管理団体会長が先日発表した。
こちらも霜害の影響が最小限に抑えられ、木に実っている粒の数が昨年よりはるかに多く、今のところ非常に心強い結果だという。ただ雨量が少し不足しているため、サイズは例年より小さめとのことだ。
来週以降、フランスの天気予報では晴れマーク、雨マークが交互に続いているため天気が安定しないようだ。しかしこれは、農家にとってはさらに嬉しいニュースとなるだろう。
またこのまま気温が下がらない場合、8月の果実(メロン、スイカ、イチジクなど)も豊作が見込まれ、いつもより10日から12日早い出荷の可能性があることも分かっている。
天災は人災に比べてコントロールが不可能なだけに、恵まれた時の喜びが大きい。フルーツ絶好調というニュースはささやかながらも、フランスにとって久々に明るい話題となった。(オ)