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自分流塾「地球を利用して身体と精神を整え直す、地球運動のススメ」 Posted on 2022/05/22 辻 仁成 作家 パリ

とにかく、ぼくは今、健康に気をつかっている。ぼくは作家でミュージシャンだが、そのどちらの仕事にも気力と体力が必要なのである。きっと、どのような業種の仕事であろうと、気力や体力がなければ乗り越えることが出来ない。62歳のぼくだが、そのためには若さやエネルギーや肉体や強靭な精神が必要なのだ。じゃあ、それはどうやって手に入れられるだろう。無理はいけないけれど、自分の肉体をつねに最高のコンディションに調整しておくことは必要だし、それ以前に、心が落ちたり、病んでは健康を維持することが出来ないので、肉体と心はつねにセットだと思って、双方から自分の健康を保つ生活を心掛ける必要がある。筋トレだけやっていても健康にはならない。明らかに言えることは健康的な精神は、最強の肉体を作る上での一番の土台となる。気力、精神力が充実していて、はじめて、健康的な肉体が出来るのだ。健康な身体を持つということは、心がまず健康でないといけない、ということだ。

自分流塾「地球を利用して身体と精神を整え直す、地球運動のススメ」



そこで最近のぼくは食べること、睡眠、運動の三つの柱を健康の維持のため日々の中心に添えた。食べることは野菜食を中心にした素食を心掛けること。生姜や胡麻、にんにく、根菜、青野菜などを必ず取り入れる。お肉も食べるが、鶏肉が多い。快眠のために9時以降の飲酒を控えること、電磁波から遠ざかること、カフェインは夕方以降摂取しないようにしている。
ぼくが数年前から続けている「地球を利用する運動法」をご紹介したい。これはどういうものかというと、青空が良く見渡せる広い地面のある公園とか浜辺などに行き、自分が地球と共存していることをイメージしながらの、腕ふり腰ふりの運動である。
この運動の一番大事なところは、自分が大地に立って、地球のエネルギーを受け入れていることを念じながら、同時に身体の余計な力を落とし、腕をふる。肩を回す、ウエストを左右にふるのである。
それだけの運動だけど、わずか5分で、身体の調子を整えることが出来る。
筋トレやランニングもやるけれど、それは対処療法みたいなものだから、その前に人間には準備運動が必要となる。
「地球を利用する運動法」はこわばった身体を緩め、思考も楽にさせてくれる。

自分流塾「地球を利用して身体と精神を整え直す、地球運動のススメ」



それでは「地球運動術」のポイントをここにまとめてみる。
1、 立つ。
自分が地球のエネルギーを受け取っていることを意識しながら、おおらかに大地に立つことが大事である。
2、 視線。
視線は常に水平の遠方を凝視する。地球と水平で対峙していることをイメージするといい。これが基本ポジションとなる。身体とともに頭も動くが視線の高さを変えない。
3、 力を抜く。
身体から余計な緊張を取り払い、だらりと抜けた状態を維持する。まず、その状態で肩を回す。この時、肩甲骨がごりごりと鳴る感じがいい。固まった血が動くことで溶けていくイメージ。こわばった筋肉が緩んでいくイメージが大事。続いて、腕を左右に振る。力を入れてはならない。ゆっくりと円を描くように振るのが大事。地球の対流が自分の身体の中で一致するようにゆっくりと大きく自分流で振り回していく感じでよい。そのまま、その回転運動が腰周辺を動かすことになるがウエストは動いても腰骨は動かしてはいけない。身体全体が揺らいで回転運動をしても、骨盤だけは動かないイメージである。足裏は大地と接続したまま、しかし、腰は水平を維持し、動かない。視線は頭や肩と一緒に動くが、常に同じ高さを見つめていることが大事となる。膝に余計な負担をかけないために、膝は骨盤や足裏と同じ方向を常にむいていることも意識してほしい。
4、継続が力。
この運動を毎日、5分やるだけで、身体の流れが意識でき無理なく、健康の手前を陣取ることが出来る。24時間のうちのわずか5分でいいので試して頂きたい。出来れば、朝一番で人のいない場所で(コンクリートは避けてほしい)、地面と身体を繋いで行って頂きたい。

自分流塾「地球を利用して身体と精神を整え直す、地球運動のススメ」



この「地球を利用する運動」は、地球に自分を接続し、緊張をほぐし、血流をよくし、地球エネルギーを吸収し、身体をリフレッシュする運動になる。ぼくは62歳だけれど、柔らかい身体を維持できている。解剖学者のフィリップ教授のところで時々、身体チェックを行っているが、
「辻さん、あなたの身体(筋肉)は水みたいで驚くほどに柔らかいけれど、何かしているのかい?」
と言われたので、「地球運動術」について説明すると、それはいい、と褒めて貰えた。
解剖学的な見地から、肉と骨と血の緩やかな関係が健康な身体を維持するコツなのだ、というこで、一致した。
ともかく、だまされたと思って、1、2度やってみて貰いたい。これはいい、と思ったら、ぜひ、続けてもらいたい。精神を研ぎ澄まし、邪念を振り払う運動になるので、心の安定にもつながる。受験生とか難しい仕事を抱えた会社員の皆さんにも役立つはずだ。解説図とかないけれど、自分流でやってみたらいいと思う。基本は上記のやり方をイメージさえしてくれれば、多少の自分流で大丈夫。あなたの身体はあなたのものだからである。
健康はまず、健康な精神に宿るのだ。

以上、これが地球運動の基本運動、ファースト・ステップになります。

自分流塾「地球を利用して身体と精神を整え直す、地球運動のススメ」

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posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。