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パリ最新情報「パリではパン祭りが開催中!ベストクロワッサンの発表も」 Posted on 2022/05/20 Design Stories
パン好きなら一度は訪れてみたい、春の「パン祭り」がパリに戻ってきた。
今年はパンデミック以来、2年ぶりのカムバック。25周年という記念すべき年にふさわしく、ノートルダム大聖堂の前に特設会場が設けられた。
このパン祭りは、実はパリだけでなくフランス全土で同時期に開催されている。
なぜこの季節なのかというと、フランスでは5月16日が「パン職人の守護聖人の日(サントノーレの日)」と定められているため。
ということで16日の前後一週間がお祭り期間となり、各地でパンに関するさまざまなイベントが行われるようになった。
パリの会場内ではパンの製造、販売、アトリエが開催されるほか、フランスで最も美味しいバゲットを決めるコンクールも開かれる。
特に職人たちによるパン作りの手さばきは見惚れるほどで、焼きたてのバゲットサンドイッチやパンオショコラなどが贅沢に並んでいた。
そんなパン祭り2022のテーマは、「伝統的なノウハウの継承」。
先祖代々のノウハウを受け継ぎながら、新しい味や技術を生み出し、地域の活性化・ライフスタイルの向上を目指すという。
そのため若手職人とベテラン職人が一堂に会するという、素敵な光景も見られた。
サントノーレ当日の16日には、イル=ド=フランス(パリを中心とした首都圏)におけるベスト・クロワッサン賞が発表された。
クロワッサンといえば、フランスを代表する食べ物のひとつである。
フランス人はバゲット同様、クロワッサンの味に非常に厳しく、一人ひとりが審査員と言っても過言ではない。パン屋さんもそれに応えるように、レベルの高いクロワッサンを置いているところが多い。
高レベルなパン屋さんがひしめき合う首都圏において見事No.1に輝いたのは、パリ10区の人気店「Carton Paris(カルトン・パリ)」のクロワッサンだった。
カルトン・パリは、1956年創業の家族経営のお店である。昨年のオンラインコンクールでは7位だったが、今年は一気に順位を縮めてグランプリを獲得した。
審査基準は主に、バターの風味、外皮の焼き加減、割いた時の見た目、香り、形について。
カルトン・パリのクロワッサンは薄い層が丁寧に重なっており、感触も花びらのように繊細である。食欲をそそる、パーフェクトな焼き色が特徴だ。
スーパーで買えるクロワッサンはフランスにも多く出回っているが、それとは到底比べものにならない。
バターの風味も濃すぎるということはなく、外側のパリパリ感と、内側のもっちり感のギャップに大変驚かされた。
クロワッサンはやはり、フランス人の朝食の主役である。
とはいってもクロワッサンを毎日食べるという人はほとんどおらず、多くが週末のゆっくりできる日にチョイスするという。(毎日だとバターの摂取量が多くなってしまうため)
そしてタルティーヌ同様、ここでもカフェにクロワッサンを浸して食べるフランス人が多い。午前中に訪れたカルトン・パリでもその光景が見られたのだが、あれほど美味しいクロワッサンをカフェ風味にしてしまうのはもったいないのでは、とお節介ながら思ってしまった。
※クロワッサン・フランボワーズもフランス人の好む味。
小麦の価格上昇が止まらないフランスでは、苦境に立たされているパン職人が少なくない。
夜中に仕事が始まるなど、重労働で非常にストイックな職業でもある。
しかし、今回のパン祭りやクロワッサン・コンクールで老若男女が活躍するのを見て、「パン職人はフランスの誇る職業である」と、改めて気づかされた。(せ)