PANORAMA STORIES
日本とこんなに違う、フランス流お風呂の入り方。 Posted on 2023/04/17 ルイヤール 聖子 ライター パリ
仏人夫と結婚し、フランスで暮らすようになってから4年経ちます。
30代後半での渡仏でしたから、フランス語はもちろん、フランス文化に馴染むのにも若い人よりちょっと時間がかかりました。
けれど住めば都、というのは本当で、3年目あたりからどんどん楽しくなってきました。
主人のおかげでこうして異文化を体験することができ、パリ在住の日本の方とも仲良くなれ、渡仏して本当に良かったと思います。
ただ、一つだけ慣れないことがあります。
これはおそらく、ほぼすべての日本人に「一生無理」と思われる習慣でしょう。
それはズバリ、湯船のつかり方です。
フランスの食文化や芸術に関しては多くの情報がありますが、バスルーム事情についてはメディアで流れているのをあまり見かけません。
「猫足バスタブ」「アロマキャンドルを灯して優雅に入浴」というイメージからはほど遠いのですが、フランス人が習慣として身に着けているリアルなお風呂の入り方をご紹介したいと思います。
フランス、特にパリのアパルトマンでは、バスタブが備わっていない所が多いです。
シャワー派の人が圧倒的に多く、入る時間も朝。
朝にシャワーを浴びるのは、人と会う前のエチケット的な意味だそうです。
ところがパリでも家族用の大きなアパルトマンや、郊外の一軒家にはバスタブが設置されています。
それでも毎日湯船につかる人はおらず、真冬の冷える時期だけなのだとか。
映画や雑誌でよく見かけるのですが、ヨーロッパのバスルームには洗い場がありません。
バスタブの横に洗面台があり、その隣にはトイレがあって…一体どうやって身体を洗っているの?と小さな疑問が沸くところです。
これ、フランスの人はバスタブに湯を張って、そのお湯で髪と体を洗って、洗った湯とともに入浴しているのです。
身体を洗ったボディシャンプーや髪の毛と一緒に、です。
その際シャワーは使いません。
私はシャワーがないとシャンプーもリンスもすすげない、と思いました。
しかしフランスの家族から教わったのは、頭を思いっきり後ろに反り返らせて、湯船に頭ごとつからせて泡を流すという方法です。
「ひええ」となりました。
これだけはどうしても真似できないと今でも思っているのですが、フランス人いわく、お湯を流しっぱなしにするのはエコじゃないそうです。
日本のような追いだき機能はありませんし、電気で湯を沸かしているフランスのその理論は分かります。
特に10代から20代のフランス人のエコ意識はとても高く、シャワー派がどんどん増えているそうです。
この“フランス流”湯船のつかり方は、当然終わったらお湯を捨てますし、もし家族4人であれば確かに電気代も高くなるでしょう。
そこで私はまず、冬場は先にシャワーで一気に髪と体を洗い、最後に腰くらいのラインまでお湯をためて、綺麗な体と湯で気の済むまで半身浴しています。
そうすることで全体的なお湯の量が同じとなり、フランス人に叱られなくて済みます。
一方、フランス人も日本のお風呂の入り方に興味津々のようです。
現在『テルマエ・ロマエ』のNetflixアニメがフランスでも配信されているのですが、それを見た主人は「シャンプーハットって今でも買える?」「外のお風呂(露天風呂)が最高」「温泉たまごを食べてみたい」と、日本独特のお風呂文化に感銘を受けていました。
各話の最後には、作者のヤマザキマリさんが草津温泉を訪れるミニコーナーがあります。
湯もみや、湯の花の話は特に面白かったらしく、コロナ後に日本の温泉街を巡るという新たな目標ができたそうです。
フランスの入浴文化は日本人にとって、他のフィールドよりかなりハードルが高いです。
逆にフランス人は日本の温泉に、裸で他の人と入るのが無理なのだそうです。
国際結婚あるあるですが、こうしてお互いがストレスにならないように、日本とフランス文化のちょうど良いところを見つけている次第です。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。