JINSEI STORIES
退屈日記「白アスパラとグリーンアスパラで、今日も健康な辻家の食卓」 Posted on 2022/04/26 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ということで夕飯は何にするか、と悩んだ父ちゃん。
ダンチュウ祭りで好評だった父ちゃん作「フランス風豚汁」と、パリの有名寿司店「仁」のたくシェフが開発したという白アスパラの土鍋ご飯が話題だと聞きつけ、どちらも旬のアスパラ(緑と白)を使うので、トライしてみた。笑。
たくさんのレシピでまずは白アスパラ土鍋ご飯を作ってみたのだけど、めっちゃ美味しかった。レシピはインスタでゲット。
出来立ての一膳目よりも、ちょっと冷えて味が広がった二膳目の方が個人的にはやられてしまった。醤油をちょっと垂らしてもおいしかったけれど、バターもあった。
白アスパラというとオランデーズソースがかかった濃厚なイメージしか思いつかなかったので、この土鍋ご飯に広がる白アスパラの風味には、心底やられてしまった。
ダシとか使わないで、昆布水で作るところが見事だった。
昆布を浸した水はとろみが出て、それで炊くからこその美味さが秀逸。しかも、白アスパラの旨味の広がりもそこに加わり、噛むほどに旨味が広がる幸せご飯だった。(おこげがね、さらにやばかったです)
生姜も効いて、小食のぼくだが、二膳をぺろり。
寿司「仁」には行ったことがないけれど、いつか行ってみたいなぁ。
で、ダンチュウ祭りで500色を完売した「フランス風豚汁」こと「トンジール」はケーキなどの香辛料として重宝されているティムート胡椒とバターを使った味噌仕立てのスープなのだけど、通常の豚の三枚肉で作った豚汁の中に、季節の野菜をふんだんに入れることでバリエーションと季節感を出している。
作り方は簡単で、普通の豚汁を作る要領でやればいいのだけど、野菜がこの時期だとアスパラガスとかズッキーニなどちょっと洋風の季節野菜になる・・・。
とくにフェンネルは重要である。
フェンネル独特のハーブ感は季節に関係なくこの「トンジール」には欠かせない。
仕上げにバターを少々載せる。味噌バターラーメンのような具合に。その上に、これが重要なのだけど、ティムート胡椒をふりかけるのだ。
グレープフルーツ香の強い独特のティムート胡椒と北海道の大地を想起させるバターの競演は体験したことのないハーモニーを奏でるのだ。
ぜひ、試してもらいたい。
ただし、ティムート胡椒は一般的ではないのでネットで買うしかないし、フェンネルはハーブ専門店で買うしかないので、ちょっと敷居が高いのが申し訳ない。
詳しいレシピはweb版dacyuで検索できるので、ぜひ。
たまに食べたくなる一品である。
ということで今日は奇しくも、白アスパラとグリーンアスパラをたっぷりと摂ることが出来た辻家の夕飯であった。
そういえば、先日、やはりパリで有名なレストラン「ES」のたかシェフのところで食べた巨大なグリーンアスパラのメインのような前菜も最高であった。「茹でただけですよ」と謙遜されていたけど、アルデンテなのに、優しく噛むことのできる、茹で時間、・・・難しいよね。
ともかく、白と緑のアスパラで、今日も、超元気な父ちゃんなのであった。
巡る季節を心と舌で味わいながらの一年一年、間違いなく、生きる喜びが満載なのであーる。
つづく。
今日も読んでくださって、ありがとう。
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ
Jinsei Tsuji Acoustic Serenade From Paris
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