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パリ最新情報「フランスに降り注いだ流れ星のシャワー。なぜ私たちは願いを込めるのか?」 Posted on 2022/04/24 Design Stories
4月23日金曜日、一年で最も美しいとされる「こと座流星群」の流れ星が、フランス中に降り注いだ。
流れ星は太古の昔から、世界中で観測されている。
見られるのは運次第、と思われがちな流れ星だが、実は毎年同じ時期に地球を通過しているものだ。
フランスでは、こと座流星群の見頃は4月21日から26日まで。
通常は新月の闇夜で、快晴に近ければ近いほど、流れ星をはっきりと目撃できる。
時期的には下弦の月であったが、月の出が午前3時頃と遅いため、暗さ的には好条件だった。しかし、あいにく23日からは天気が悪くなるとの予報が。
そのため、快晴だった22日の夜22時~2時半のあいだに流れ星を目撃した人が相次いだのである。
実際に流れた星の数は、1時間に5〜20個、平均時速にして48kmであった。
フランス各紙によると、大きさも大小さまざまで、痕を残すものや、非常に巨大で明るい流れ星も目撃されたのだとか。
もちろん外灯の少ない地方で多く見られ、空気が濁り夜でも明るいパリでは実物を見ることが難しかった。
こと座の方向から降ってくる、ということで名付けられたこと座流星群は、フランス語でLyrides(リリデス)と呼ばれている。
先週末のピンクムーンに続き、この4月はフランスの天体ショーが熱い。
仏紙も多くの情報を載せており、天体観測に対するフランス人の高い関心を物語っている。
ところで日本では流れ星を見たら願い事をする、という習慣がある。
これはフランスでも同じ…というよりは、元々ヨーロッパで始まった古い言い伝えによるものだ。
では、なぜフランスでは流れ星に願い事をするのか、その理由と習わしをご紹介したい。
流れ星伝説の歴史は古く、キリスト教に関連したものが今のフランスにも根付いている。
そしてその伝説は大きく分けて二つある。
一つは、神様が下界の様子を眺めるために、ときどき天界と地球のあいだに空間を開けるということ。
この時に天から漏れた光として星が流れ落ちる。
星が砕ける前に願い事を唱えれば、それが神様の耳に届き、願いを叶えてくれる。
ただし、開いているのはほんの一瞬。
ということで流れ星が出現したと同時に、願い事は口に出して素早く唱えなければならない。
二つ目は、天国に行けない霊魂は、煉獄に留まって罪を償い続けているというキリスト教の考え方によるもの。
彼らは、地上の誰かが流れ星を見て、祈りを捧げてくれることを悩みながら待っている。
そこで流れ星が消えるまでに、誰かが『安らかにお眠りください』と3回唱えれば、その魂は天国に移ることができ、唱えた人にも幸運が訪れるとされた。
現在では、願い事は一つの流れ星につき1回までとされている。
しかし神様が聞いているというトリビアは今でも残っているため、やましい事はお願いしてはならない。
ということで流れ星へ願い事をする理由は、キリスト教的な魂の救済方法なのであった。
パリには、世界最大級の天文学センターの一つである「パリ天文台」がある。
フランス人宇宙飛行士のトマ・ペスケ氏も、仏国内ではヒーロー的存在で大人気だ。
と、意外と知られていないのだが、フランスの人々は大の天体好きなのである。
星や月・太陽についての言い伝えは、日本とフランスで似ているものもあれば、全く異なるものもある。これからも折を見て、季節の出来事に絡めてご紹介していきたい!(オ)