某月某日、父ちゃんは毎日、欧米のニュースに耳を傾け、いろいろと世界情勢を眺めているのだが、この先、この世界がどういうところに向かうのか、今、ますます、見えなくなりつつある。
その前に、円の急落がすさまじく、日本から送金があるたびに、ぼくは悲鳴を上げているのだ。
わずか2週間ほどで、1ユーロに対して10円も価値が下がった。二週間ほど前、1ユーロ、128円だったのに、今、137円なのである。
円が下がれば日本の輸出業は儲かるというけれど、原油やあらゆるものが高くなるので市民生活を直撃する。
しかし、不思議なのは、戦争でドルが強くなるのはわかるが、欧州の端っこでの戦争なのにユーロが高騰している理由がわからない上に、円がここまで下がるのは、不気味だ。
戦争と経済の関連性には複雑な要素が関係してくるのだろうが、あのルーブルにさえ負けている円というのが理解に苦しむ・・・、ちょっとこの動きは読めない。

それにしても、フランスは現在、大統領選挙の真っただ中にあるが、現職のマクロン大統領と極右政党国民戦線のマリー・ルペン氏の選挙結果が欧州に与える影響は決して小さくない。
ルペン氏の勢いが凄いのである。
フランスの一部の国民はマリー・ルペンに熱狂している。
同時に、若者たちの多くは左派のメランション候補を強く支持しており、フランスは分裂気味にある。
ともかくルペン候補はロシアとの平和的な関係を打ち出しており、そもそも現状のＮＡＴＯにも否定的で、彼女が大統領になった場合、フランスがＮＡＴＯを脱退する可能性すらある。フランスの抜けたＮＡＴＯを想像できるだろうか？　ＮＡＴＯの解体？
ここのところゼレンスキー大統領のＮＡＴＯ各国へのさらに強力な戦争支援要請についても、最初は理解を示していた人たちの中から嫌気をさす人々が続出しはじめているのも事実で、これは見逃せない傾向かもしれない。
トランプ氏もプーチン大統領に理解を示す発言をして世論を揺さぶっているし、インドはアメリカに靡かないし、中心にいるバイデン大統領だが、発言が空回り気味で、その尻ぬぐいに報道官が冷や汗をかいている絵を見るにつけ、こういうどこかコミック漫画のような世界は、劇場の一幕としては面白いのだけど、真実の戦場で人が死んでいる痛みもまるで戦争ゲームのように届かなくなりつつあって、戦争が長引いていくうちに、ぼくらはもっともっと麻痺してしまうのじゃないか、自分らの生活の方が大事になり正しい決断が出来なくなるのではないか、と思ってしまうほどだ。

ぼくはこの日記で最初からずっと言ってきた通り、この戦争は長引く気がする。
実際、開戦2日程度でキーウ（キエフ）が占領されると言われていたが、今、キーウからロシア軍は撤退した。
南や東はロシアが奪う可能性が高いけれど、黒海艦隊の旗艦モスクワが撃沈されるなど、何が起こるのかわからない世界が続きそうだ。
これも、歳月のみが答えを知っている。
ぼくはウクライナがアメリカにおけるアフガニスタンみたいになるのじゃないか、と侵攻の日に語ったけれど、ますます、そうなる様相を呈してきた。
ウクライナという国が意外に情報戦に強いこと、近代化が進んでいたこと、そして、戦争を続けるシミュレーションをきちんとやっていたことなど、次第に、分かって来た。
この情報戦の勝者が、時代を制するような気もしないではない。
そこで、この男の登場である。
イーロン・マスク氏がプーチン氏と戦うと発言をし、スターリンクをいち早くウクライナに提供した、それはなぜか。
マスク氏がウクライナと手を組んだらどうなるだろう。
戦争の形態が、国家対国家から、変質していくような予感さえ孕んでいる。
これは、結構、興味深い想像である。
なぜなら、マスク氏は筆頭株主だったツイッター社の取り締まりの就任を辞退し、5兆4千億円でのツイッター買収に乗り出した。
彼はビジネスではなく、公共世界の秩序を変えたいのじゃないか。その一方で、不適切投稿への規制を強化するツイッターに対して言論の自由を持ち出すマスク氏の意図が何か・・・。
三四郎の悪戯にうんざりしながら、そんなことを思う、パリの父ちゃんの今日この頃なのであーる。

つづく。

ということで、今日も日記を読んでくださって、ありがとう。


父ちゃんのライブ日程ですが、
8月8日がどうやら、関西のどこか、
8月12日が関東のどこか・・・。
決まり次第、ご報告します。
さらに、NHK「冬ごはん」の再放送が決まりました。
NHKBSプレミアム　「ボンジュール！辻仁成の冬のパリごはん」
【再放送日時】　2022/４/１９ （火） １４:４４～１５:４３