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欧州最新情報「ウクライナ侵攻、フランスの日常へ影響が出始める」 Posted on 2022/03/02 Design Stories
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから1週間が経とうとしている。
ロシアに対する各国の経済制裁は続いており、世界は未だかつてない事態となった。
マクロン大統領率いるフランス政府は対露に強固な姿勢を取り続けているが、じわじわとその影響がフランス国内にも出始めた。
マクロン大統領は3月4日午後6時を期限とする大統領選出馬への正式表明が未だにできないでいる。
そのため、3月5日にマルセイユで予定されていた選挙キャンペーンも開催が危ぶまれているとのことだ。
核をちらつかせるロシア牽制に追われ、マクロン大統領は立候補のタイミングを逃してしまったのだ。
ドイツのメルケル首相も退任し、フランスの大統領選挙が目前となった今、プーチン大統領はこのタイミングを狙っていたのだろうか。
またウクライナ危機により世界の食料貿易に影響が出ることが懸念されていたが、3月1日には欧州市場で小麦とトウモロコシの価格が新記録を更新した。
製粉用小麦とトウモロコシの価格は、2022年3月の先物価格がそれぞれ1トン当たり351.25ユーロ、340ユーロとなり、過去最高値で取引を終了した。
2021年度のロシアの小麦輸出量は世界最大の3500万トン、ウクライナは2400万トンであり、両国だけで世界全体の約3割を占める。
フランスの小麦輸出量は世界6位となっている。
しかし、各国がロシア・ウクライナから小麦を輸入できなければ他の国に頼ることになり、輸出国・輸入国どちらにとっても価格の高騰は免れない。
ロシアに進出するフランス企業も多い。
大手では自動車会社のルノー、食品メーカーのダノン、スーパーマーケットのオーシャングループが現地に子会社を置いている。
こういった企業に及ぼす対露経済制裁の影響は計り知れず、例えばルノーの現地工場では、部品不足により今週初めから閉鎖している。
フランス国内の中小企業においては、ノルマンディー地方の名産品カルバドス(酒)が売り上げの15%を占めるロシアへの輸出を停止しているとのことだ。
こうしてロシアに対する厳しい経済制裁は、欧州にも痛みを伴うものとなった。
一方、2月28日にはフランス国内で初となるウクライナ難民がマルセイユに到着した。
今でもバスでフランスに向かう人々が多数いる、と報道されている。
時間の経過とともに一層身近になるウクライナ危機、長期間にわたっての影響が懸念される。(内)