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パリ最新情報「3月1日はマルディグラ。フランス生まれの『おやつの日』とは?」 Posted on 2022/03/01 Design Stories  

2022年3月1日は「マルディグラ」と呼ばれ、フランスでは「美味しいおやつをたらふく食べる日」となっている。
マルディグラとはあまり馴染みのない言葉だが、これはフランス語で「肥沃な火曜日」と訳され、キリスト教の暦ではイースターシーズンの幕開けとなる重要な日である。

イースター(復活祭)は最近、日本でもじわじわと存在感が増しているイベントだ。
実はイースターの日付は毎年異なるもので、「春分の日以降、最初の満月から一番目にくる日曜日」と定められている。
マルディグラもイースターから「47日前の火曜日」と決まっているので、今年2022年は3月1日となったというわけである。

古くは、キリスト教徒はこの2つの行事のあいだ、結婚式などのお祝い事を避けるとともに祈りと節制(断食)を行っていた。
マルディグラはそんな断食が始まる前の、「脂肪の多いものをたっぷり食べましょう」という伝統的かつ公式な(?)チートデイ、なのである。

パリ最新情報「3月1日はマルディグラ。フランス生まれの『おやつの日』とは?」



慣習的には、断食直前のこの日にバターや卵を使い切ってしまおうという意図があった。
そのため、マルディグラが近づくとフランスの情報誌ではおやつのレシピが紹介されたり、「パリで美味しいおやつが食べられるお店」を発信するようになる。

ちなみにマルディグラはフランス人なら誰もが知っているのだが、クレープの日やイースターに比べると少しイベント性が控えめ、といった印象だ。
この期間に断食を行っているという人もいなくなり、今日ではシンプルに「ドーナツ、ワッフル、べニエ(砂糖をまぶしたフランスの揚げ菓子)などを美味しくいただく日」となっている。

パリ最新情報「3月1日はマルディグラ。フランス生まれの『おやつの日』とは?」

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それではフランスではどんなものが人気かというと、やはり先述した「ベ二エ」だろう。
ベ二エは、フランスの伝統的な菓子パンである。丸いパン生地を揚げたもので、中にジャムやチョコレートクリームがたっぷりと詰まっており、表面には粉砂糖がまぶしてある。
フランスの地方によっては呼び方や形も変わり、中身もフランボワーズや蜂蜜、アプリコットなどさまざまなフレーバーがある。
ただ、お気づきの通りかなりの高カロリー・高脂質な食べ物なので、フランス人でさえ頻繁に食べることは避けているようだ。
たまに背徳感を感じながら美味しく食べるベ二エ、ということで、マルディグラに最適なおやつの1つとなっている。

パリ最新情報「3月1日はマルディグラ。フランス生まれの『おやつの日』とは?」



そしてもう1つがドーナツだ。少し前までは、パリでドーナツを見かけるのはチェーン店のコーヒーショップだけだったのだが、このところフォトジェニックなドーナツ屋さんが増えている。
ローズ風味、レモン風味、ピスタチオ、キャラメルなどのフレーバーが置かれ、店構えも可愛らしい。若い世代のパリジェンヌを中心に、じわりと人気が広がっているようだ。
アメリカ風のドーナツがパリで受け入れられているのは正直意外だったが、スイーツの世界も国際色が豊かになっている、というのは事実だ。
最近ではこうしてドーナツもベ二エと並び、「マルディグラのおやつ」として紹介されている。

パリ最新情報「3月1日はマルディグラ。フランス生まれの『おやつの日』とは?」



マルディグラはフランスから世界に広まり、アメリカやオーストラリアでも派生イベントが開催されるようになった。
季節的な伝統行事が風化されつつある現代だが、こうして異国の習わしを知るのは面白い。
2月のシャンドラー(クレープの日)、3月のマルディグラと、季節に根付いたイベントが続くフランスでは、春へのカウントダウンが始まっている。(セ)

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