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パリ最新情報「フランスアート界を揺るがすNFT、パリがヨーロッパの中心に」 Posted on 2022/01/18 Design Stories
フランスは今、ヨーロッパにおけるNFTアート(Non-Fungible Token=非代替性トークン)の中心地になりつつある。
これまでは、コンピューターグラフィックスや映像といったデジタルアート作品は簡単に複製できるなどの理由で、本物の絵画のように市場取引ができなかった。
しかし、NFTとはこれを可能にし、インターネット上の、アート作品含むデジタルデータの所有権を保証したもの。
そして売買取引には仮想通貨が用いられている。
今までコピーし放題にされてきたデジタル作品を「所有する時代が来た!」ということで、世界中のアーティストたちがいまこの恩恵にあずかっているというのだ。
フランスでは、NFTは2021年の最大デジタルトレンドとして位置し、年が明けた今も多くのメディア・企業から熱い視線が送られている。
違法ダウンロード・複製で困っていた人たちの多くが、オンラインをフィールドにしたいアートや音楽の所有者であった。
NFTの画期的なところは、これからは土地や家などと同じように、デジタル作品に所有者がいて取引できるということ。
言わずと知れた芸術の都パリではアートも多様化し、手描きのものだけでなくデジタルコンテンツが多く存在する。
個人はもちろんのこと、2021年にはNFTに参戦したフランス大企業も現れた。
例えばLVMHもその一つで、傘下のコニャックメゾン、ヘネシーはブランド史上初のNFTコレクションを1月12日に発表。
ヘネシーの限定プレミアムボトルが約22万6450ドル(約2600万円)で販売されるなど大きな話題となった。
購入者には実在するボトルの所有権も含まれていて、所有者はNFTでの売買ができる一方、実際の酒を楽しみたい場合には、ヘネシー社から本物のボトルを送ってもらうこともできるという。
さらに、現在行われているファッションウィークでもNFTを採用するブランドが現れたり、フランス一のゲーム会社「UBIソフト」がプラットフォームを発表したりと、この全く新しい価値観がフランス中に旋風を巻き起こしている。
また、フランスの経済専門家はNFTについて、「アメリカや日本に一歩遅れを取っているが、フランスはヨーロッパのリーダーになるだけのアート資産がある。今年は、芸術と技術革新の首都であるパリがこのトレンドに対応する番となるだろう」と分析している。
フランスは今、国を挙げてスタートアップの活性化に努めていて、1月22日にはパリのステーションF(ヨーロッパ最大のスタートアップ施設)で「NFTパリ」のサロン開催も予定されているという。
まさに、「アート革命」ともいえるNFTの新しい概念。
コロナの裏でフランスメディアはこの話題で持ちきりだ。
デジタルコンテンツを販売するクリエイターも購入希望者も、安心してオンライン上で取引できる環境ができた今、芸術大国であるフランスの流れは大きく変わろうとしている。
勢いよく刷新されるフランスのアートシーンから、これからも目が離せない。(大)