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滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」 Posted on 2022/01/15 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、テレビの中で科学者の人が「このまま行くと、近い将来、欧州人全員がオミクロンに感染することになりそうです」と言った。
ニコラも感染の疑いがあるという連絡をお母さんからもらったし、どこもかしこも、コロナ陽性者か濃厚接触者だらけなのである。
で、昨日のフィガロ紙とかに、「スペインは軽症のオミクロンを風邪みたいに扱う可能性が出てきた。もう何もしない方向に向かいつつある」という記事を読んで、ひっくり返った。あまりに斬新過ぎるスペイン、でも、たしかに、と考えさせられる記事でもあった。(詳しくは昨日のパリ最新情報をご参照ください)
ぼくもここまで頑張ってきたけど、罹らないでいるのは難しいのかな、と思い、観念しはじめた。そのくらいすさまじい感染力である。
友人のヨニさんから先ほど「ツージー、今日、40度の熱が出て苦しいよん」とメッセージが入った。軽症という言葉だけ信じるのも危険かもしれない。
昨日、息子も、「罹らないでいるのは無理かもね」と苦笑しながら言っていた。
学校での感染は想像を超えてすごいらしい。



とにかく、この日記を書いた後、父ちゃんは3時間くらい仮眠をして、日曜日の地球カレッジに向けて、ドルドーニュ県を目指すのである。
休憩などをいれて、安全運転で、8時間を見込んでいる。
ドルドーニュでトリュフ犬と初のトリュフ狩りを経験した後、一泊してから、ぼくを待つ三四郎を迎えにイブリン県まで行き、ピックアップして、パリに戻るのだけど、そこからいきなり二人と一匹の生活が始まるので、今日はその準備に大慌ての一日となった。
息子に一週間分の食糧を準備し、ペット用品店に犬の餌?を買いに、しかも、ブリーダーさんからの指定のものがかなり珍しい子犬用消化しやすいBIOフードらしく、とりあえず、それを探すのが一苦労で、でもなんとか見つけることができ、買った。
そのあと、旅の準備とか仕事の残りがてんこ盛りで、とにかく、部屋の掃除は掃除ロボットの五郎に任せることにしたのであーる。ところが・・・

滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」



五郎を稼働させて、ぼくはエッセイを書いていたら、30分ほどして、急に携帯に、以下のメッセージが入った。
「GOROが助けを求めています」
これにはびっくりした。
GOROって誰? え? うちの五郎ちゃんか!!!
父ちゃん、慌ててサロンに顔出すと、五郎ちゃんがロッキングチェアの脚の部分に引っかかって、顔が赤くなっている。おおお、五郎、大丈夫か、お前!
ということで、父ちゃん、慌てて救出をしたのであった。

滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」

滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」

五郎を床の広い場所に置いて様子を見ていたら、赤かった顔が白くなり、青になり、再び、正面ライトを照射しながら、動き出した。
人騒がせなロボットである。
しかし、なんとも人間っぽくて、可愛いいじゃないの~。えへへ。
ということで、ぼくは再び、机に戻り、エッセイに向かったところ、ピンポーン!!
「はい。どなた」
「あまぞーん」
また、また、また、であーる。
世界がコロナでこんなに大変になっても、Amazonだけは休むことがなーい。
一人で儲けてどうすんだ!!! 笑。
階段を駆け下りたら、おおおおおおおお、届いた、待ちに待ったの、三四郎のお散歩バックである。
まだ赤ちゃんなので、いきなり、外を散歩させない方がいい、というパトリックのアドバイスを貰い、慌てて昨日ポチった散歩バック。もう、着いたァ!!!
きゃわいいいいいいいいいい・・・

滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」



このメーカー、日本語に訳すると「王様のようだわー」という感じかな、デザイン、悪くない。
さっそく、バッグを抱えて鏡の前でポーズをとって、楽しんだ。
その足元を五郎が移動していく。ぴ、ぴ、ぴ・・・・。21世紀を生きてる父ちゃん感が出てるでしょ? あはは・・・。
ちょっと、いじわるをしたくなり、照射するライトの前に足を突き出してやったら、ぴたっと、止まって、しばらく考え、悩んでから、方向転換をして再び掃除しはじめた五郎ちゃん、あへ、優秀じゃああああん。
本当に、三四郎の糞を避けて通れるのか、試す日が待ち遠しいぞよ。と、コロナ禍なのに、個人的に人生を楽しんでいる父ちゃんなのであった。あのね、人生って、楽しんだもの勝ちだからね、文句を言ったり泣いたりしても、楽しもう・・・。



ということで、18歳を迎えた息子くん、ぼくは夕飯に、「牛肉の煮込みハンバーグ」(息子の大好物、辻家の超定番料理)と、付け合わせはジャガイモのエクラゼ(潰しじゃが)に、友人のシェフ、チャールズ(英語読み)から習ったブール・ノアゼットを載せたガルニチュールを添えた一皿を作ったァ。
横文字にすると豪華だけど、ようはハンバーグ定食を作ってあげたのだった。あへ。
星付きレストランは拒絶されたので、ならば、家庭料理でいつも通り決めてやろうという算段であーる。
本人が希望した、たこ焼きでもよかったのだけど、なんかね、・・・一生に一度の18歳の誕生日なのだから・・・

滞仏日記「三四郎を迎えに行く前夜に息子と誕生日会を開催したの巻」



ということで食事の前に、じゃじゃじゃじゃー――ん。プレゼントの贈呈式を行った。
「はい、おめでとう。プレゼントだよ」
「えええ、マジか。すご」
「開けて着てみろ」
ということで、馬子にも衣裳、バーバリーのジャケットがぴったんこ。
うわ、かっこいい。
ちょっと顔がBTSっぽい気がする。(父ちゃん、BTSさんのことあまり知らないから、BTSファンの皆さん、ごめんなさい)
「似合うなァ」
「そうかな」
「似合うよォ」
「ありがとう」
嬉しそうで、何よりであった。
とにかく、あのクールな息子にしては、本当に珍しく、大喜びしてくれたのである。
この子は本当に嬉しいと、鼻の下がながーくなるのであーる、いひひ・・・。
※ 元バレーボール部のキャプテンで、肩幅広くて、BTSっぽくて、目は切れ長で歌舞伎役者さんみたいで、父ちゃんに、ちょっと似ている、おおおおお、そりゃあ、ハンサムだろうが!!! ←ここ、笑うところね。
ということで、今日のところはここまで。

ぼくは食器を洗い、この日記をアップしたら、夜中に、ドルドーニュ県を目指すのであーる。
日曜日、トリュフ犬たちと、広大な農園の中を走り回り、大きなトリュフを見つけてみせます。トリュフ狩りというものはなかなか経験できるものではないので、百聞は一見にしかず、というが、コロナ禍の中でこのオンライン・ツアーはきっと貴重な経験となるはず。ぜひ、ご参加あれ!!!!

つづく。

ということで、最後のお願いに参りましたァ。
トリュフ狩り、オンラインツアー!!!
ムーケ・夕城(トリュフ栽培士)×辻仁成「ブラックダイヤモンド、黒トリュフの魅力」辻仁成がトリュフの聖地ドルドーニュにて、トリュフ狩りに初挑戦
2022年1月16日(日)20:00開演(19:30開場)日本時間・90分を予定のツアーとなります。
【48時間のアーカイブ付き】
※アーカイブ視聴URLは、終了後(翌日を予定)、お申込みの皆様へメールにてお送りします。

この講座に参加されたいみなさまはこちらから、どうぞ

チケットのご購入はこちらから

※ フランス南西部に位置するドルドーニュ地方の山奥に位置するトリュフ園からトリュフの魅力を御覧頂く予定の生配信を準備しておりますが、天候など様々な理由で一部変更になる可能性もあります。山奥にある、広大なトリュフ園からですので、電波が乱れる可能性もございます。最大限の状況を模索しながら、当日、トリュフ犬と栽培士さんらと力を合わせ、挑む形になります。嵐にならない限りは決行いたします。
当日はZOOMではなく、映像の綺麗なVIMEOで配信をします。

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