欧州最新情報

パリ最新情報「原点回帰?!2021年、パリ生まれの赤ちゃんに多くつけられた名前とは」 Posted on 2022/01/08 Design Stories  

 
パリ市は1月3日、2021年生まれの赤ちゃんの人気名前ランキングを発表した。
フランス人のファーストネームは日本ほどバリエーションが多くないものの、日本と同じように時代のトレンドや、社会情勢が大きく反映されている。
知れば知るほど面白い、フランス人の名前にまつわるストーリーをここでご紹介したい。
 

パリ最新情報「原点回帰?!2021年、パリ生まれの赤ちゃんに多くつけられた名前とは」



 
まずは、2021年にパリで生まれた赤ちゃんはどんな名前がつけられたのだろうか?
その男女別ランキングがこちら。


<女の子>
1位:Louise – ルイーズ
2位:Alma – アルマ
3位:Emma – エマ
4位:Adèle – アデル
5位:Chloé – クロエ
6位:Anna – アンナ
7位:Olivia – オリヴィア
8位:Éva – エヴァ
9位:Jeanne – ジャンヌ
10位:Rose – ローズ


<男の子>
1位:Gabriel – ガブリエル
2位:Adam – アダン
3位:Louis – ルイ
4位:Raphaël – ラファエル
5位:Arthur – アルチュール
6位:Noah – ノア
7位:Isaac – イザック
8位:Joseph – ジョゼフ
9位:Mohamed – モアメッド
10位:Léon – レオン
 



 
パリでは、ここ数年「レトロな名前」が人気再燃しているという。
ルイーズやジャンヌ、ルイ、ジョゼフといった名前はフランスの古き良き時代に流行したもの。それに加え、エマ、エヴァ、ノアなど短くて呼びやすい名前が人気となった。
またモアメッドはイスラム系、イザックはユダヤ系であることからも分かるように、パリの多様性がここで大きく表れた。


そして1位のルイーズちゃんとガブリエル君については、3年連続で首位をマーク。
フランス人の多くが「響きの美しさ」で名前を決定するといい、カトリックや神話に基づく「名の起源」も重視している。


例えば「ルイーズ」は歴史の長い名前で、フランス、ポーランド、ポルトガル、ロシアの女王の名前として有名。
19世紀までは、高貴な家に生まれた女の子によくつけらた。
フランス国王の名前によくある Louis(ルイ)の女性形となる。


また、「ガブリエル」は聖書に登場する、受胎告知の大天使ガブリエルに由来する。
フランスの男の子のあいだではとても人気のある名前で、天使のように可愛く生まれてきた赤ちゃんにガブリエルと名付けるのも、納得。
 

パリ最新情報「原点回帰?!2021年、パリ生まれの赤ちゃんに多くつけられた名前とは」



 
フランス革命以前、フランスでは教会が戸籍を管理していた。洗礼名が教区の住民登録として機能していたためである。
しかし、ナポレオンが1807年にこれを緩和。
とはいっても、名前はカトリックの聖人暦か歴史的人物に因んだものでなくてはならなかったので、フランス人の名前にバリエーションが少ないのはこれが理由だった。


そして意外にも、ネーミングが自由化されたのは1993年の法律改正後から。
特に1990年代はハリウッド映画やアメリカ文化が大きく影響し、ケヴィンやミカエル(マイケルの仏語読み)という名が多くつけられたという。
それからさらに名前は短くなり、今のティーンエイジャーにはテオ(Théo)、レオ(Léo)といった綴りもシンプルなものが多い。
いずれもワールドワイドで通じる名前が好まれた。
逆に60代以降の世代では、ジャクリーヌ、アンドレ、イザベル、ジャン=ポールといったクラシックな名前が多いようだ。
 

パリ最新情報「原点回帰?!2021年、パリ生まれの赤ちゃんに多くつけられた名前とは」

 
名前の自由化で、新しい「名前文化」が花開いたフランス。
2021年生まれの赤ちゃんの名前は、原点回帰+短くて綺麗な音の響きが特徴的であった。
今はスペルも自由なので、ひとつの名前から綴りの違う新しい名前も次々と生まれている。
日本名は漢字を使用するので奥深いものが多いが、こうして見るとフランスの名前もお国柄・社会情勢が表れていて面白い。
将来的にはジェンダーレス、ボーダーレスな名前が流行るのかもしれない。(ル)
 

地球カレッジ
自分流×帝京大学