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パリ最新情報「今年はどれにする?美しすぎる、パリのガレット・デ・ロワ特集2022!」 Posted on 2022/01/04 Design Stories
フランスの年始は早く、パリも1月3日から動き始めた。
クリスマス時期はフランス中のパティスリーが賑わっていたが、その勢いはまだまだ止まらない。
というのも、フランスでは1月6日の公現際(エピファニー)にガレット・デ・ロワと呼ばれるケーキを食べる習慣があり、どのパティスリーも活気づいているのだ。
現在では6日に限らず、1月中であればいつでもOK。
家族や友人たちとガレット・デ・ロワを囲んで、中に隠された「フェーヴ」(Fève)という小さい陶器の人形が誰に当たるか、楽しみながら食べるのがフランスの伝統的な習わしとなっている。
パリのパティスリーでは1月3日に全てのガレット・デ・ロワが出そろい、個性豊かで美的センスあふれるものが多く登場した。
パリの一流パティスリーが発表する、2022年の美しすぎるガレット・デ・ロワをここで一挙ご紹介したい。
まずはフランス・パティシエ界の重鎮ピエール・エルメ。
こちらは「Jardin de l’Atlas」(ジャルダン・ドゥ・ラトラス)と名付けられた、ローズ風味のフレッシュなガレット・デ・ロワだ。
さらには定番のアーモンドペーストに、オレンジブロッサム、ハチミツ、レモンが加えられ、エレガントな仕上がりに。
表面はバラのモチーフで、庭園で摘み取られたバラをイメージしたのだとか。
そして2つ目は、ブリオッシュ生地のガレット・デ・ロワで、南フランスでよく見られるタイプのもの。
今年、ピエール・エルメはイランのピスタチオを使い、プラリネ仕様でトッピング。
エルメ自身も「最も官能的なガレット・デ・ロワ」と紹介する、フランスらしさがギュッと詰まったガレットとなった。
パリの新進気鋭の若手パティシエ、ヤン・クブルー(YANN COUVREUR)からは 、ナッツがふんだんにあしらわれたガレット・デ・ロワが登場!
ヘーゼルナッツ、アーモンド、キャラメリゼしたピーカンナッツで埋めつくされたユニークなガレットは、オリジナリティを求める人にうってつけ。
そしてキツネがトレードマークのヤン・クブルーでは、可愛いフェーヴも別売りで手に入れることができる。
このフェーヴがガレットの中に入っていた人は1年を幸せに過ごすことができる?!と言われているので、手作りでこしらえるフレンチマダムはフェーヴだけを買うことも。
モンブランでお馴染みのアンジェリーナからは、シンボリックなマロン風味のガレット・デ・ロワが。
マロンペースト×チョコの、アンジェリーナらしいスイートなガレット・デ・ロワだ。
写真では隠れてしまったが、プレートチョコの裏にマロングラッセがちょこんと乗っている。
こちらは若くしてピエール・エルメと並ぶ、パリのスターパティシエの一人クリストフ・ミシャラク。
2018年には東京の表参道にも出店して話題となった。
他とは同じものは絶対につくらない、というミシャラク氏のスイーツは美形でモードなものばかり。
そんな彼が手がけた2022年のガレット・デ・ロワは、「パリブレスト・ピスタチオ」!
「素材本来の味を隠してしまわないよう、糖分やゼラチン、小麦粉もできるだけ減らし、果物と野菜をベースにした天然色素を使っている」とのことで、罪悪感の少なめな、ヘルシーなガレットが味わえる。
最後に、パリ最古のパティスリー、ストレー(Stohrer)からシンプル・イズ・ベストなガレット・デ・ロワをご紹介。
ストレーはパリ2区にあるパティスリーで、創業はなんと1730年。
ババ・オ・ラムやタルト・オ・シトロン(レモンタルト)が有名で、地元パリジェンヌも足繁く通う老舗店である。
こちらは王道の、パイ生地の中にアーモンドペーストが入っているタイプのガレット・デ・ロワ。
ちなみに、うずまき状のグルグルした曲線は「Le soleil」(太陽)の模様で「生命力」を意味している。曲線を同じ幅で入れるのがパティシエの腕の見せ所だという。
ベーシックながらも美しいガレット・デ・ロワと、ストレーらしいアンティークな王冠がとても素敵だった。
伝統を守りながら、近代的なビジュアルも魅力のストレーでは、柚子入りのレモンタルトも大人気だという。
アーモンドや甘すぎるガレットが苦手という方は、こんなタルト・オ・シトロンでさっぱりと。
幸せを運ぶかもしれない、フランスのお正月名物ガレット・デ・ロワ。
今年のパリでは、似ているようで全く異なる、パティシエの個性が光るものが多く見つかった。美味しいものをたくさん食べて、コロナに負けない免疫力をつけていきたい。(せ)