欧州最新情報

ロンドン最新情報 「クリスマス間近、オミクロン株ロンドンで大暴れ」 Posted on 2021/12/21 Design Stories  

ロンドン市長のサディク・カーン氏はコロナ感染拡大のため、とうとう12月18日に「重大事態」を宣言した。
*「重大事態」テロや大規模火災など安全保障や公衆衛生上、深刻な結果に陥るおそれがある場合に出される。

12月20日現在、連日、英国のコロナ感染の記録が更新中である。
ほんの1か月前にオミクロン株が現れたのに、英国ではもう半数以上がデルタ株からオミクロン株に入れ替わり、ロンドンでは87%以上となっている。
遅かれ早かれ、誰もがオミクロン株に感染する勢いである。

先週末、ロンドンの主要劇場の半数(22劇場)が、コロナ感染のため公演を中止せざるを得なくなった。その中にはその中には、ハミルトン, マチルダ, ウィケット, ライオンキング, シンデレラ, キャバレー, カムフロムアウェイが含まれている。

サウスケンジントンにある、ロンドン自然史博物館が1週間、12月21日から27日まで休館となった。スタッフのコロナ感染と自主隔離により、人員不足となった。

医療機関でも同じことが起こっている。
NHS職員の間でコロナ感染者が急増し、自主隔離を10日間余儀なくされた結果、ベッドが閉鎖され、病院職員が他の専門分野をカバーしなくてはならない。
保健相のサジド・ジャヴィド 氏は、NHSの人員不足危機に対処するためコロナ感染による自宅隔離期間を数週間以内に10日から7日間に短縮することを提案した。
*NHS国民保健サービス。医療費は無料。

ロンドン最新情報 「クリスマス間近、オミクロン株ロンドンで大暴れ」

<ロンドン自然史博物館>



地球カレッジ

学校でもコロナ感染が拡大し、休校になった学校、感染者を出しながら持ち堪えた学校と様々だ。
そして、そのままクリスマス休暇に入った。

筆者の中学生の息子は期末試験が終わり、気が緩んだのか風邪気味となったため、抗原検査とPCR検査の両方を受けてみたところ(自宅で抗原検査をしたところ、見えるか見えないぐらいのうっすらした線が出た)、陽性という結果が出た。ちなみに、PCR検査をしてもオミクロン株に感染しているかどうかの記載はなかった。
12歳―15歳枠で11月にファイザー社のワクチンを接種したばかりだ。

ロンドン在住なのでオミクロン株の感染者であるのは間違いないだろう。
症状は、風邪のように疲労感、鼻水、喉の痛み、吐き気、くしゃみ、熱なし、咳なしと言ったところで、2、3日で症状は改善された。

ロンドン最新情報 「クリスマス間近、オミクロン株ロンドンで大暴れ」



コクラン・レビューでは「コロナ感染が確定された人のうち、抗原検査でコロナの感染が正しく確認されたのは、症状がある人の平均72%、症状がない人の平均58%。P C R検査では95.1%の感染症が正しく診断され、99%が正しく除外された」とある。
抗原検査は自宅で15分程度で結果が出るのに対し、PCR検査は検査機関に送らなければならず、結果が出るまで最低でも数時間、多くの場合は数日かかる。

コロナ感染の兆候や症状を持つ人々では、ウイルス量が最も多い1週目に感度が最も高くなることと、抗原検査の結果が陰性であっても、感染している可能性はあるということだ。
*コクラン・レビューとは、Cochrane Database of Systematic Reviews に掲載された、医療や健康政策に関する研究の系統的レビューのこと。

箱に7回分のテストキットが入っている無料のラテラルフロー検査(抗原検査キット)は市役所、図書館、薬局などで手に入る。
家庭や学校で簡単にできて、短時間で結果が判明するラテラルフロー検査が信用できないなら、どうやって感染を察知できるのか。どうやって感染拡大を食い止めるのか、大きな課題となる。

ロンドン最新情報 「クリスマス間近、オミクロン株ロンドンで大暴れ」

<ケンジントン&チェルシー市役所 移動テストユニット>



クリスマス後にロックダウンが発令されるのではないか、新年早々、学校が閉校となり、オンライン学習が始まるのではないかという懸念がニュースで報告されている。

連日、感染者は9万人を超えてはいるが、入院患者数や死者は2021年の1月の時に比べてかなり少ない。
1月のピーク時は入院患者数が4万人を超えていたが、12月20日の報告では7482人。新規の患者数は1日に919人。
死者数は2021年1月20日に最多の1,820人に比べ、12月20日は44人である。ただし週末の集計が月曜日に反映されることから数字は低めである。現在のワクチンの1回目接種は89.5%、2回目接種は81.8%、ブースター接種(3度目)は50%を超えている。
感染者数と入院患者数や死者数にタイムラグがあるので、年末、新年にかけて数字となって現れるだろう。(ユ)

ロンドン最新情報 「クリスマス間近、オミクロン株ロンドンで大暴れ」

<クリスマスライトで覆われたチャーチルアームズパブ、ノッティングヒル>
自分流×帝京大学