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パリ最新情報「75周年を迎えるパリのリド、デパートと初のコラボでシャンゼリゼを彩る!」 Posted on 2021/12/14 Design Stories  

シャンゼリゼ通りにあるパリの伝説的なキャバレー、リド(LIDO)が今年で75周年を迎えた。
リドといえばムーランルージュ、クレージーホースと並びパリの「3大キャバレー」とされ、フランスのショー文化を支えてきた偉大な存在である。

キャバレーとはいっても、内容は芸術的なスペクタクルショーで、過去にはエディットピアフやマレーネ・デートリヒ、エルトン・ジョンなど世界を代表する歌手がその舞台に立ってきた。
ダンサーたちがまとう衣装や舞台装置の豪華さにかけては、パリでも随一といって良いだろう。

パリ最新情報「75周年を迎えるパリのリド、デパートと初のコラボでシャンゼリゼを彩る!」



12月第2、第3の週末、ギャラリーラファイエット・シャンゼリゼ店では、リドの75周年を記念した華やかなコラボ企画が開催されている。

ギャラリーラファイエット・シャンゼリゼ店がオープンしたのは2019年。
従来の百貨店とは異なる陳列方法、ユニークなポップアップストアなど、デパートというよりは「セレクトショップ」に近いのが特徴的だ。

今回のコラボ企画は、店内にあるアールデコ調の大階段を使って、リドの伝説的な演目を披露するというもの。
75周年記念というだけでなく、コロナ禍で不況に立たされたリドを応援するという、ギャラリーラファイエットの粋な計らいだった。

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2020年初めから続くコロナ禍で、パリのショービズ界が大打撃を受けたことは言うまでもない。
3度のロックダウンを経験したパリ、飲食店や劇場がようやく息を吹き返したのは今年の5月19日から。しかし、パリのキャバレーは大事を取って、その多くが再開日を9月16日からとした。

それから3か月あまり、今度は第5波とオミクロン株の流行でまたしても深刻な事態に陥ってしまった。
キャバレーはぎりぎり営業が許可されているものの(フランスではナイトクラブが当面のあいだ閉鎖となる処置が発表された)、フランス政府はできるだけクリスマスのショーを控えるように要請。
コロナ前は毎日、1日2回のステージが行われていたが、今では週に3回しか見ることができないという。

こうしてリドは、総勢50名にも上るダンサーの給料問題、舞台装置のメンテナンス費など、戦後最大の財政難を抱えてしまった。

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12月7日、仏紙Le Parisienが報じた内容によると、リドはパリホテルチェーンのアコーグループに売却を決定したという。
リド自体が無くなるわけではないが、1946年から続いた伝説的な演目やディナーショーが続けて行われるかどうかはまだ発表されていない。

しかし実は、リドが存続の危機に追い込まれたのは今回が初めてではない。
古き良き時代のパリの社交場として、1930年代に人気を集めるもブームが早く過ぎ去ってしまい1度は破産。その後すぐに買い手が見つかるも、第二次世界大戦で2度目の閉鎖を余儀なくされた。

そして今回のコロナ禍だ。こうして社会情勢に翻弄されるリドだが、やはりその芸術性の高さ、パリの輝きともいえるキャバレー文化を葬るわけにはいかない。
七転び八起き、といった感じで何度でも生まれ変わるのがリドの強さだ。

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他のキャバレーと違うのは、その圧倒的な完成度の高さだろう。
ブルーベルガールと呼ばれる、身長175cm以上という条件を満たした美しいダンサー達。
そして600点の衣装代は総額何と300万ユーロ(日本円で約3億円以上!)にも上るという。
今回、ギャラリーラファイエット・シャンゼリゼ店で見ることができたのは約10分ほどのステージだったが、その短い時間でもリドの素晴らしさが十分に伝わった。

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2021年のギャラリーラファイエット・シャンゼリゼ店のクリスマステーマは、「PLAY」。エントランスホールでは、オスマン通り本店のツリーに追い付け追い越せとばかりに巨大なツリーが飾られている。
そんな「PLAY」というテーマにぴったりと合った、豪華で楽しいショーであった。

リドの料金はパリに住む人にとっても高額なのでなかなか足を運べないが、あらゆる人に門戸を開放するパリの芸術を、こういう時こそ応援したいと思った。(聖)

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