JINSEI STORIES

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」 Posted on 2021/12/08 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日も朝から、うっすらとした頭痛に悩まされた。
眠れなかったので、それも一因ある。眠れないし、頭痛持ちだし、身体は痛いし・・・、最悪じゃないか。
で、頭痛薬を買いに近所の薬局に行ったら、薬局のマダムに、
「あなた、私を信じますか?」
といきなり言われた。
初対面のマダムなのだけど、眼力があったので、ウイ、と答えたら、ペパーミントのエッセンシャルオイルを差し出された。
「だまされたと思って、数滴指先に塗って、それでこめかみをぐりぐりしてみて、いっぺんで治るから」
ぼくは「だまれさたと思って」が昔から好きだったから買ってやってみたら、あら、不思議、本当に一瞬で痛みが消えたのだ。
(ところが長続きはしなかった。でも、うっすらと続いていた頭痛から一時間ほど解放されたのは事実、効果はあった)

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」

※ これが本当に楽にあるのであーる。

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」

※ ちなみに、今日は健康志向な生姜葱蕎麦にした。
生姜とニンニクの効いた体の芯から温まる蕎麦にしたのである。これは、本当に美味しかった。
美味しかったと思えることが、健康を維持する第一歩かもしれない。



ちょっと頭痛が治まったら、玄関にマットを引いて、ローラーで後頭部や背中やふくらはぎのコリをほぐした。
これは、本当に生き返る。
前は、マッサージ屋さんに通っていたのだけど、コロナで行けなくなり、ローラーに切り替えたら、しゃんとした。
このローラー健康法はコロナ禍の2020年春くらいからやり続けている、苦しい時のローラー様なので、ぜひ、同じような悩みをお抱えの皆さん、過去日記をご一読願いたい。
こちらから↓

https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-1054/

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」



とくに、このローラーが有効なのが、後頭部の潤滑である。
頭を使う仕事なので、頭痛が酷い時に、後頭部、側頭部などをこのローラーでほぐすと、痛みが和らぐ。
物書きのぼくにはなくてはならない便利な健康器具ということになる。
で、話しが脇道にそれるけれど、携帯を見ていたら、「これが出来れば、あなたの身体年齢は18歳」という動画があって、それはどういうものかというと、正座をし、腕を後ろに組んで、その状態でジャンプして瞬時に立つのだけど、え、これならできるわ、と思ってやってみたら、出来た。(運動に自信のない皆さんは、ケガしますから、マネはしないでくださいね)
正座をし、腕を後ろで組んで左手で右手首をつかむ感じ、で、せーの、でその状態からジャンプして立ち上がるのだ。
できた、とスタッフさんらに言ったら、みんな嘘だというので、今度、動画でもとって、インスタに上げるよ、と言ったら、やめてください、ケガしますから、と窘められた。
信じてもらえなかったのがめっちゃ悔しい。
そのことをNHKの制作会社のLさんに話したら、ぜひ、撮影してください、と返事が来た。しかし、そんなもの、誰が見たい?

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」



ともかく、ぼくは作家だけれど、ロック歌手でもあるので、やっぱり、健康じゃないと、2時間歌いきるのは難しいのである。
常に健康状態だけは気を付けるようにしている。
いつ、何が起きてもおかしくない年齢なので、やはり、ほぐしていくことが若さというか、健康を維持するのに、最重要な気がする。

地球カレッジ

17歳の息子とぼくの間には45歳の年齢差がある。
ぼくはどんなに頑張っても、若返っていくことはできない。
でも、いつまでも、元気で、しゅんとしたお父さんでいてあげたいので、背中が曲がらないように、常に気を付けている。
腰が曲がらないように、常に頑張っている。
足腰が弱らないように細やかに運動をしている。
誰よりも大きな声で歌えるように肺活量をつけている。
でも、一番大事なのは、固まった筋とか、骨と肉の間の塊とか、硬い部分をほぐして、柔らかくすることなのだ。
そして、常に背筋を伸ばして、いい姿勢でいることが、結局は、老けないコツであろう。
「辻さん、それにしても自撮りテク、最上級者ですね」
と先のLさんに褒められた。
喜んでいいのかどうか、なぞな誉め言葉だが、あの番組は、春、秋、そして、今、冬のシーズン3が撮影されているのだけど、ぼくが一人で、自分を撮影するという・・・。
そういう変なおやじに呆れて、息子が逃げていく、実はそういう哀れな番組でもあるわけだ。
一時間番組のだいたいの部分をぼくが自撮りしていくのだけど、毎回、これ、誰が見てるのだろう、と思いながら、寂しく撮影をしている。
なんのために??? ・・・知らない。
しかも、クリスマスの時期や、正月まで撮影しないとならないのだけど、ぼくはそんなに寂しい人間なのだ、と思い知らされて、日本で撮影の終了を待っている人がうらやましい、と思わない日はない・・・。笑。
みんな、ここに何を期待しているのだろう、と思って、自撮りしているのが、正直なところ頭痛の種なのだ。
確かに、自撮りテクはかなり上達したのだけど、それがぼくの人生の何に役立つというのか、と考えてしまい、自撮り棒をつかんでいる自分が恥ずかしくなる瞬間もある。
夏の回とか、冒頭、でかでかと「62歳」とか書かれて、そういうぼくを化け物みたいに扱って、面白いんだろうな、と思う場面もよくある。
テレビって、そういうものだから、出演している以上、文句を言うのは筋違いなのだけど、いずれにしても、大きな恥さらしをしているのは間違いないし、そういうのが息子は嫌なのだろう。
彼は、日本のメディアに自分は出たくない、とはっきりと言った。残念だけど、今回のシーズン3にカルボナーラの場面はない。

滞仏日記「45歳差がある息子を育てるのに、一番大事なものは若さなのか?」

※ ちなみに、今年、ぼくが買ったオーナメントはこちら。クリスマスツリーに飾り付けるのはもう少し先になるけど、なかなか、可愛いよね~。こういうものを探す力も、健康維持に欠かせないエネルギーになるのだ。



ともかく、老い、というものとは違うけれど、人間は誰もが生まれた時から、日々、死へと向かって突き進んでいる生き物であるから、そのことを自覚すること自体が、年々、多くなることをぼくは「老い」と定義している。
その「老い」に抗うことが、「若さ」だとするなら、ぼくに出来ることは、誰もがやったことのない人生を生き切って見せた時に完結するのじゃないか、と思うのだけど、さて、そんな人生、やだなァ・・・。あはは。
夕飯の準備をしなきゃ、今日はここで筆を置くことにする。

つづく。

自分流×帝京大学