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パリ最新情報「消えつつあるキス文化。フランス人の本音とは?」 Posted on 2021/11/13 Design Stories  

 
新型コロナウイルス第5波への警戒を強めるフランス。
衛生パスの期間延長、一定の年齢層における3回目のワクチン接種キャンペーンなど、気が休まらない日々はまだ続く。

新型コロナウイルスは私たちのコミュニケーションツールにも大きな影響を及ぼした。
特に衛生面に対しての意識変化は大きく、フランスでは今までの常識が覆るほど衛生観念が向上している。
わが身を守る、という点では良いことに変わりないが、ここに来てひとつの文化が衰退し始めているというのだ。

それが、「la bise(ビズ)」と呼ばれる、フランスのキス文化である。
「ボンジュール」の挨拶とともに、家族でも職場でも、初対面の人とも交わすビズ。
厳密には、相手の頬と自分の頬をくっつけながらキスのような音を口で鳴らす。
実はこの歴史は随分と古く、聖書が書かれた時代から受け継がれてきた文化だという。

昨年3月のロックダウン1が始まった時、仏政府は感染防止策としてこのビズを控えるように要請した。
あれから1年9か月が経った今でも、ビズ文化は戻っていない。
ワクチン接種が浸透し、衛生パスがあれば普段通りの生活を送れるようになった。
ただ、人との距離は相変わらず開いたまま。
ビズに代わる挨拶として、肘やこぶしを突き合わせる方法や、足を合わせるフットシェイクなどが取り入れられているものの、ラテン気質なフランス人達はこれをどう思っているのか。
意外な結果が調査会社Ifopによって明らかになった。
 

パリ最新情報「消えつつあるキス文化。フランス人の本音とは?」



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調査会社Ifopが10月中旬に公表した世論調査結果によると、質問されたフランス人の78%は「パンデミックが終わったらビズの習慣を放棄する」と答えたという。
そして回答者の71%が、「コロナ前のビズ文化に戻ることは決してない」としている。

主な理由としては、「時間がかかるから」「無くても困らない」といったもの。
なかでも多くのフランス人が、特に職場でのビズ文化を終了させたいと思っているようだ。
それはなぜかというと、例えば20人いるオフィスなら、毎朝「おはよう」のビズで始まり、退社前も「また明日」のビズを全員にしなくてはならない。
時間にして数分から十数分、文化慣習といえど、これを疑問に思っていた人は少なくなかった。
 



 
また、結婚式や誕生日パーティーといった集まりでもビズの挨拶はつきもの。地域によっては3回、4回と回数が多い所もある。
よくあるシチュエーションが、食事の席で友人がやってきて、一旦会話を中断しその友人とビズをする。その後会話が再開するが、また新たな友人がやってくると、もう一度会話を中断してまたビズをする、といった光景だ。
これが10人を超える大きな集まりだと、永遠にビズをすることになるので確かに時間がかかる。

年齢層としては、若ければ若いほどビズ文化が無くなることを気にしておらず、60代以降の世代では「ビズなしのフランスは寂しい」といった意見が多い。
子供や孫からの愛情表現が減ったことでより人間関係が希薄になったと感じているようだ。
 

パリ最新情報「消えつつあるキス文化。フランス人の本音とは?」



 
多くの人が家族や恋人、身近な友人といった関係内でビズ文化を「細く」続けたいとし、今までのような義務的な風潮を無くしたいと考えている。
ソルボンヌ大学の言語学者アヴァンジ氏は 「誰かにビズをすることは、私たちを再び信頼させ、人間関係における本当の親密性を示します。今日のビズは、いずれにせよ、以前よりも理にかなっています。」と仏紙LCIで語っている。

ラテン国フランスでビズ風景が見られないのは少し寂しい気もするが、近しい間柄ではより結束が深まった、という意見もある。
「義務」や「義理」で行っていた慣習が消え、今後は自分がしたい人、信頼する人に向けられるビズ。将来的にはこのビズの仕方で人間関係を推し量る、そういった新たな文化が生まれるのかもしれない。(ル)
 

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