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海外でがんばる日本企業!メガネのPARIS MIKI(パリミキ) Posted on 2021/11/03 Design Stories
不景気にコロナパンデミックの影響が重なり、フランスから日本人、日本企業がどんどん撤退していくなか、パリにはまだまだ元気な日本企業がある。そのうちの一社が、その昔、「メガネ〜の〜ミキ〜♪」というCMでお馴染みだったメガネの三城、パリミキだ。
パリミキは1970年代から積極的に海外へ進出。2021年現在、パリ、ロンドン、ハワイ、ベトナムなど世界で100軒以上の店舗を展開している。その海外店舗の第一号店というのが パリの一等地、オペラ大通りにあるパリミキオペラ店なのである。なんと、創業は1973年、もうすぐ50周年を迎えるという老舗。そんなパリの街に根付く日本企業「PARIS MIKI(パリミキ)」に、ここまでの軌跡、イマ、これからの展望を聞いてみた。
海外でがんばる日本企業!第一弾、メガネのPARIS MIKI(パリミキ)。
Design stories編集部(以下、DS) まず、フランスは2020年3月から度重なるロックダウンで、フランスの商店はまともに営業できない日々が続きました。パリミキはコロナ禍をどう乗り越えたのでしょうか?
パリミキオペラ店(以下、パリミキ) 1回目のロックダウンでは生活必需品を扱う店以外の全ての商店が営業停止を強いられましたので、パリミキも2ヶ月以上、店を開けることができませんでした。だけど、2回目のロックダウンからメガネ店は営業することができたんです。仕事ができるのは嬉しかったのですが、実際はオペラはパリの中心地、住人より企業の事務所の方が多い地区にあるので、お客様、特にフランス人のお客様がぐっと減りましたね。みんなテレワークになってしまったので・・・。住民の多い郊外のメガネ店などは繁盛したようです。今は少しずつお客さまが戻ってきてくれて、嬉しいです。
DS フランスでの商売で一番苦労することはなんですか?
パリミキ やはり社員教育ですね。日本と同じようなおもてなしの質を常にキープしてお客様にご提供することがポリシーです。なので、それを理解して、実践できるフランス人スタッフが大切になってきます。「教育」といったおこがましい言葉を使ってしまいましたが、実際はフランス人スタッフが個性を生かしながら、一人一人のお客様をリスペクトする事で、自然と気持ちの良い素敵な接客が出来ています。
DS 素朴な質問があります。なぜ、「メガネの三城」は、いつの間にか「パリミキ」になったのでしょうか?
パリミキ メガネの三城は1930年に姫路で創業しました。三つの城で三城というのは先代の名字なんですが、姫路から関東に進出をする際に、当時の代表だった多根良尾が、「関東にお店を出すなら先にパリにお店を出したい!」と、1973年、東京店より一年早くパリ店がオープンさせたんです。それがきっかけで、関東方面は「パリミキ」という名前で展開されることになりました。その後、2000年くらいから日本全国「パリミキ」で統一されています。
DS なるほど。そんなに昔からパリにパリミキがあったのですね! でも、どうしてパリだったのでしょう?
パリミキ 社長がフランスに憧れていた。それに尽きると思います。当時パリミキオペラ店ではフランスをはじめヨーロッパ製のおしゃれな眼鏡を扱っていましたので、日本で「パリの最先端ファッションを熟知している企業」というイメージをつけたかったようです。
DS 1973年のパリ、創業時はいったいどのようなお客様がターゲットだったのでしょうか?
パリミキ ターゲットはパリを訪れる日本人観光客でした。当時、このオペラ大通り界隈には免税店もたくさんありましたし、パリミキと同時期に三越パリ店ができたり、日本人観光客がとても多い時期でしたので。パリミキに来れば、フランスやヨーロッパ製のオシャレなメガネを日本語で購入できるというのが売りでした。早ければ翌日にはご用意できますし、時間のない方は日本に店舗がありますので、オペラ店でフレームさえ選んで頂ければ、レンズは帰国してからゆっくり入れることができました。
DS 今はその当時ほどパリに日本人観光客が来なくなりましたが、では、現在のパリミキの売りは?
パリミキ 今はフランス、ヨーロッパ製品と日本製品の両方を扱っていますので、「パリで日本製のメガネが手に入る」というところを売りにしています。
DS パリにはたくさんメガネ店がありますが、パリミキの他店とは違うところはズバリ、なんでしょう?
パリミキ それは胸を張って、「日本のサービス」と言えます! 買っていただいて終わりではなく、メガネの細かい調整やクリーニングなど、お客様と長くお付き合いする店だということがパリミキ一番の特徴です。お顔に合わせて、お鼻のパーツを追加加工したり、ずれてこないようにきちんとフィッティングさせて頂くのが得意です。他のメガネ店で御購入されたメガネやサングラスのちょっとした修理や調整も可能です。
また、フランスもメガネは社会保険や任意保険で払い戻しがありますが、なかなかややこしいので・・・、そこもしっかり、払い戻しが完了するまでサポートしています。
DS それは日本人にとっては有難いですね。日本人とフランス人、お客さまの割合はどれくらいなのでしょうか?
パリミキ フランス人のお客さまもじわじわと増えて、今は日本人とフランス人のお客さま、半々の割合です。フランス人のお客さまの中には親子3代でパリミキに通ってくださっている方もいらっしゃるほど愛されるようになりました。
DS フランス人はどうしてパリミキに来るのでしょう?
パリミキ カメラや望遠鏡など、日本のオプティック製造のクオリティが高いのはフランスでも有名ですね。そのイメージもあり高品質のメガネを求めてパリミキ に御来店されるフランス人の方が多いです。その際に日本製のフレームを手に取り、日本製チタンフレームを御購入されるという方も多いです。
DS 日本製のフレームでは、どのようなものが人気なのでしょうか?
パリミキ パリミキオペラ店で扱っているのはMASUNAGA(増永眼鏡)、EYEVAN、福井県鯖江市の自社工場で製造している色々な自社ブランドです。その中でもDIGNA classicはパリミキのオリジナルブランドで、2009年に誕生しました。日本には原宿にDIGNA HOUSEがありますが、パリではパリミキでしか手に入りません。
DS 日本製のメガネの魅力はなんでしょう? やはり、チタンですか?
パリミキ そうですね、日本のチタン製造技術は世界のトップレベルですので、ヨーロッパのブランドもチタンのモデルのみ日本で作っているのです。チタンは軽くて金属疲労が起きにくいので長持ちしますし、肌アレルギーも起こしにくいですね。弾力性もあるので細くしてもパキッと折れたりしないです。
DS パリミキはこれからどういうビジョンをお持ちですか?
パリミキ 日本とフランスの融合というのがパリミキのコンセプトで、2020年に改装をした内装はベルエポックをテーマにしています。画家のモネなどが活躍した1900年前半、パリで初めてジャポニズムが起きましたが、その頃のイメージのまま、これからも日本の良さをフランスに知ってもらいたいと思っています。
DS 最後に、クリスタル・クラブというのは何ですか?
パリミキ リタイヤされた方々のためのパリミキフランス法人のオリジナルサービスです。年齢を重ねると保険の賭け金が高くなったり、会社にいた時の払戻額からガクッと落ちたりするので、パリミキでは62歳以上の方を対象にレンズをプロモーション価格で購入できるサービスなどを無料で提供しています。例えば、他の店で購入されたフレームを持ち込まれても、レンズは半額になります。
DS 62歳以上ということは辻編集長も対象だ・・・。
パリミキ えええ、62歳!? 信じられないです!!
DS 三城ホールディングスの澤田現社長は音楽がお好きだそうで、お店にはとても素敵なギターが飾られていますね。
パリミキ 改装後のパーティーでは社長が来て弾き語りをしました。音楽がとにかく好き。ロカビリーとか好きみたいです。いつかパリ店で辻編集長にもライブをしてもらいです!
DS いいですね。もうすぐ50周年、これからもパリでがんばる老舗日本企業として、頑張ってください。ご活躍を応援しております!