フランスの新幹線、TGV。
パリとフランスの地方や隣国を高速でつなぐこの電車には、バーがある。
グルメの国フランスと言われる割には、国を代表するこのクールな電車のバーで、作りたての料理が味わえるわけでもなければ、美味しい駅弁が買えるわけでもない。
電車にまとめて運ばれた作り置きの軽食が温められるなどして買えるだけだ。
そして高いわりに量が少なく、お味もイマイチ…な印象が拭えない。
フランスを旅した方の中には同じ印象を持った方も少なくないだろう。
それでも車内での退屈さ（電車を降りてからの忙しさと比べて！）とお腹の空きに負けて買ってしまうものだった。
 

 
しかし、今月中旬新しく生まれたメニューには期待できるかもしれない。
その名も「シェフの定食LE MENU DES CHEFFES」。
この命名、“シェフ”＝ CHEFFESがポイントである。
まず複数形。
そしてシェフは女性の場合も不変の名刺で、普通ならCHEFSだが、FEをつけて、女性二人のシェフが創っていますよ、というメッセージを付加している


（蛇足だが、フェミニスト運動が高まり、男女差別撲滅が叫ばれているが、こういうところで女をうたうのはなかなか興味深い現代の傾向だ。
そしてメニューの写真に関して、優しく柔らかなタッチがとてもフェミニンだ、と書くのはよいことなだろうかと戸惑う…）
 

 
ともあれ、二人のシェフとは、 アレクシア・デュシェンさんとニナ・メタヤェールさん。
新世代の創造的な料理人と名高いアレクシア・デュシェンさんは、料理の腕を競う有名なテレビ番組「トップシェフ」で発掘されて以来、革新的なフランス中の料理プロジェクトに今や引っ張りだこ。
エコセンシビリティーも高く、評判の創作ベジタリアン料理は、TGVでも「レーズン・野菜パルメザン・マッシュルーム・バターナッツ等のベジタリアンサラダ」半茹でキャロット・胡桃クリーム・マスカルポーネ・コンテチーズ等のミックストースト」で10月中旬から味わえる。
「シェフの定食」では、フランス産の季節の野菜を使ったシンプルな逸品「鴨コンフィ・ポテトピューレ等のアシパルモンティエ」を創り出した。
繊細なお菓子作りで評判のパティシエールのニナ・メタヤェールさんは、新作チョコレート・ブラウニー・サブレで、TGV乗車客にひとときの幸せを与えているようだ。
 

 
　全てのTGVで味わえるわけでなく、またあっても売れきれの可能性もある。
TGVのサイトを開いて、「 BAR」をクリックすれば、自分の乗るTGVに「LE MENU DES CHEFFES」があるかどうかわかる。
そして事前に予約をしてネットで支払いを済ませておけば、乗車後、バーに出向けば、並ぶこともなく、 即座にあなた用に作られたメニューが差し出される（と、言われている）のだから、次回のフランスのTGVの旅ではぜひ試してみよう。
またトゥーサンの休暇にTGVに乗るというフランス在住の皆さんにおいてはすぐにでも！
（ア）