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パリ最新情報「休校はあるのか? コロナ禍収まらぬままフランス、新学期近づく」 Posted on 2021/08/23 Design Stories
新学期が近づき、デルタ株の蔓延が若者中心に広がっていることなどから、学校は大丈夫なのか?と、不安を抱える人は少なくない。
フランスでは、従来株のみが蔓延していた頃は「子供同士、または、子供からの感染は少ない」と、政府は子供たちの登校を何よりも優先させた。
ところが、英国由来のアルファ株が蔓延し始め、従来株の時には見られなかった子供間での感染が目立ち始めると、新たな感染対策を見直さざるを得なくなった。
「教育が最優先、休校はしない」と繰り返していた政府も、子供の感染者続出で学級閉鎖、または学校閉鎖の数が爆発的に膨らみ、春休みを前倒しする形で一斉休校に踏み切った。
一斉休校とロックダウンの効果で夏休み前には感染が落ち着きを取り戻したが、今、新たにデルタ株の出現でフランスの感染状況は悪化の傾向にある。
そんな中、新学期からの学校感染対策が注目されている。
現在、フランスは12歳から17歳の子供へのワクチン接種を急いでいるが、8月21日、教育相は学校関係者へのワクチン、学校内での衛生パスの義務化はないと発表した。
教育従事者の接種率が比較的高いことや、学校は全ての人が条件なく集える場所でなければいけないという理由からこの決定となったようだ。
そして、今のところ、カレンダー通り、新学期は9月2日から始まる。
教育相は現在の衛生措置レベルを2と設定し、学校生活では、室内でのマスク着用、換気(CO²探知機の設置)の強化、グループ分けをし、密にならないようにするなど、夏休み前と変わらない措置で学校を再開させる。
9月から新しく取り組まれる措置は、ワクチン接種可能な12歳以上のクラスで感染者が1人出た場合、ワクチンを接種している生徒は引き続き登校、ワクチン未接種の生徒は1週間遠隔授業(自宅で)というもの。
(12歳以下の中学生、小学生、幼稚園では、これまで通りクラスに感染者が1人出たら、1週間、自宅遠隔授業に切り替えられる)
課外授業については、9月30日からは12歳以上の子供も大人と同じように衛生パス(ワクチン完了証明、または、72時間以内の陰性証明)が必要になる。
中学や高校では学校でのワクチンキャンペーンも行われる予定になっている。
コロナ収束のためワクチン接種にかけるフランスは、ワクチン接種者と未接種者を分け、社会、教育とも、止めずに効率的に回していく作戦に出ている。
とはいえ、新学期になり感染が爆発的に広がれば、また一斉休校もあり得る。コロナ禍の教育現場でのいたちごっこは続く。(井)