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パリ最新情報「癒しを求めてパリ式ガーデニング」 Posted on 2021/08/12 Design Stories
コロナ禍のロックダウンをきっかけに、世界中で観葉植物人気が盛り上がっている。
フランスは、今までも植物を育てる人が多い国ではあったが、更に拍車がかかった。
パリの街を歩けば、これまで植物を取り扱っていなかったセレクトショップや、インテリア雑貨店、そして家電量販店にも観葉植物が並ぶようになった。
庭がないパリの住宅事情にあわせた特有のスタイルをいくつかみかけたので、紹介したい。
まずは、ミニ植木鉢。これは本当にあちこちでみかける大ブームだ。
小さな鉢も一緒に売られていることが多く、プラスチックの薄い鉢から植え替えずにそのままスポッと着せ替え可能。
ミニ鉢は、陶器、ブリキ、籐など、本物素材で出来ているので、小さいながらも存在感がある。
そもそも、この小さい植木は、テラリウム(terrarium)というガラス容器の中で育てる、箱庭のようなものを作る材料。
テラリウムも大変人気で、自分で好きな植物を組み合わせて、自作する人も増えてきている。
瓶の中で水分が循環するので、長期間水やりの必要がなく、手軽に小宇宙を楽しめる。元は19世紀のイギリスで考案されたものだが、箱庭や盆栽のイメージが強いのか、フランスでは日本のものと思われている節もある。
日本のものといえば、盆栽や苔玉も人気だ。
こちらもパリ市内で、手作り体験ワークショップがいくつも開かれている。
「盆栽の種」というものを園芸店でみつけた。
予想するに、苔の種ではないかと思う。
苔を育てる植栽自体も、フランス人にとっては「BONSAI」という括りになるようだ。
また、苔玉のように丸く整えた植物をアクアリウムに浮かべて、水中と地上を合わせて切り取ったような表現も最近は見かける。
そして、食にこだわるフランス人のハーブ栽培。
フランスのキッチンには、ちょっとしたハーブの鉢植えがある。
友人宅でのアペリティフのカクテルに、キッチンでちぎったミントが添えられていたのにはフランスらしさを感じた。
実はスーパーの野菜コーナーで売っていて、使い切った後は新しいものを買うことが前提だ。
切り売りの生ハーブよりも日持ちし、もちろん育てることも可能だが、日当たりいい場所確保や、水やりの手間、収穫までの時間などを考えると、割に合わない。
そんな使い捨てに抵抗感を持った人たちに支持されているのが、水耕栽培型のLED卓上家庭菜園キットだ。
本体は、家電量販店やネットストアで販売されていて、種が含まれたカプセルをセットするだけ。
種カプセルのバリエーションは何十種類とあり、最近、日本のハーブ、紫蘇もラインナップの仲間を入りした。水やりは、水かさが減ってきたときに足す程度で済む。
LEDの効果もあり、日当たりを気にせず、育つのも早い。セントラルヒーティングが普及したパリの住宅は、冬でもとても暖かく、季節を問わず良く育つのだ。
ちなみに、今フランスはバカンスシーズン真っ盛り。
長期不在時にはどのように水やりを管理しているかといえば、主流は、日本でもおなじみの機械式水やり装置、そしてペットボトル型。
日本であまりみないものとしては、貯水型の植木鉢がある。
これは底の部分に水が貯められる構造になっていて、水耕栽培と同じ要領で、根腐れを気にせず一度にたくさんの水をあげることができ、水やりの回数を減らすことができる。
ただし、植え替えてから根が底に到達するまでの成長期間、およそ12週間は待たなければいけないので、事前の準備が必要だ。
SNSでは、インフルエンサーならぬプラントフルエンサー(Plantfluencers)と呼ばれる人も出てきていて、育て方や、素敵な飾り方の提案をしている。(ウ)