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退屈日記「カモメの生態を調べたら、思わず、全てが一致し、感動の巻」 Posted on 2021/07/27 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今朝の滞仏日記で書いた「赤ちゃんカモメミーミーのことをカイザー髭さんが息子に教えた」話し、朝、起きて、フォロワーさんから「ヒナは25日で孵化し、45日ほどで巣立つ」という返信があったので、ぼくも調べてみたら(今頃?)いろいろと思い当たることがあり、なるほど、となった。
まず、繁殖期は春から夏なのだそうだ。
そして、繁殖期になると、カモメたちはコロニーを形成するのだそうだ。集団繁殖地のことである。
それ、うちの屋根に毎年コロニーが形成されるのだ、と思い当たった。
どおりで、大勢のカモメたちが集まって騒がしかったことも頷けた。
カモメ同士でこのコロニーをめぐり、縄張り争いも起こりやすい。けがをしたら負傷して動けなくなるカモメもいるのだとか、・・・思い当たる。
過去記事の写真だが、ご覧頂きたい。
うちの「天窓」のガラスの上で、おとなのカモメ同士が戦ってるとしか思えないような争いをしていた日が続いたことがある。
これは縄張り争いだったのである。

退屈日記「カモメの生態を調べたら、思わず、全てが一致し、感動の巻」



退屈日記「カモメの生態を調べたら、思わず、全てが一致し、感動の巻」

地球カレッジ

では、なぜ、カモメはコロニーを作るのだろう?
で、調べてみたところ、これは赤ちゃんを守るためや、子供の餌を探し回っている時に、天敵のキツネやカラスなどの外的から赤ちゃんを守るためだというのである。
思い当たることがあった。先の日記でも書いたことだけど、カモメが、カラス数匹を追い払っていたのだ。それは果敢だった。
急降下して、接近し、かなりの攻撃をしかけ、さすがのカラスも大きさが違うので、逃げ回っていた。
巣にいるひな鳥を守るための行動だったといことになる。
親は立派で、すごい。カモメに人生を教えられる恰好となった。

退屈日記「カモメの生態を調べたら、思わず、全てが一致し、感動の巻」



あと、もう一つ、思い当たることがあった。
ぼくが窓をあけ大声で歌の練習をしはじめると、真上に巣があるからか、驚いたカモメたちが、警戒をし、親鳥たちが飛び立って、歌に反応をして、空を埋めるほどの大群が建物を覆うことがある。大げさじゃなく、本当にすごい眺めなのである。
ぼくが歌うと赤ちゃんカモメたちが、ミーミー、騒ぎ出すので、親は飛び立ち、ぼくが何者か、探ろうとしているのであろう。
前回の日記でそれは書いたが、20羽くらいのカモメが、空を低空飛行し、ぼくのアパルトマンの窓目掛けて、突っ込むような行動をとることもある。
ぼくはカモメたちがカモメ王国の国王の歌に感動をして、歓迎の舞いをやってくれているもの、と勝手な勘違いをしてしまったのだが、えへへ、違った。
こんなに騒がしい物件を買ったことを大変後悔した6月7月だったが、カイザー髭の昨日の息子への説明で、むしろ、ここがカモメたちの、愛をはぐくむ場所であり、赤ちゃんたちにとっては成長の場所であり、そして巣立ちの場所であることを知ることが出来、感動することになった。



退屈日記「カモメの生態を調べたら、思わず、全てが一致し、感動の巻」

道を歩いていると、ぼくの前に降り立ち、時に一緒に歩いてくれる人懐っこいカモメ。
人間を怖がらないので、マルシェなどは追い払ってもやってきて、食べ物をとっていくカモメに苦慮している、というのを聞いたこともある。
なんとも、まあ、人間的な鳥であろう。

ミーミーたちも、いずれ、ここを巣立っていく。ぼくは窓をあけて、「鳥の王」という自分の歌を高らかに歌うのである。
ちなみに、カモメの寿命は20年と言われている。

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