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パリ最新情報「フランス人はどうみた? 東京オリンピック開会式」 Posted on 2021/07/25 Design Stories
東京オリンピックの開会式に対しての、フランスメディアの様々な反応をお伝えしたい。
まずは、開会式直前の様子を報じていたFRANCE 24。現地レポーターは、東京の街の様子を「東京の中心地は、奇妙なことに、地球上で一番大きなスポーツの祭典が行われる準備ができている都市とは思えない静けさ。世論に気を使った主催者の小さく控えめにという意志を感じる」と表現。
有料チャンネルのEUROSPORTでは、開会式の冒頭、ひとりがスポットライト浴びつつ、ランニングマシーンで走る演出について、「女性から始まった。演者は男女混合である」と、今年2月に問題になった森前会長の女性蔑視発言に触れた。そこからの反省として、女性にスポットライトを当てたと感じているようだった。大坂なおみ選手が聖火の最終点火者として台にたった際も、「今の日本において、理にかなった人選」とコメント。
Franceinfoのサイトでは、開会式の一番のハイライトのひとつとして、1824機のドローンがオリンピックのロゴから地球に形を変えていった演出を、バレリーナに例えて絶賛。「素晴らしい、衝撃的、信じられない」と、動画で解説者はひたすら称賛の言葉を述べていた。
最後に、筆者の近所に住むフランス人から届いたメッセージが、この開会式を総評のようにも思えたので紹介したい。
「デジタルなのにとても詩的で、伝統と革新が混ざり合う日本を表現するものであり、更にあなたの国を知りたいと思った」
海外から画面を通じてみた開会式を、このように受け取った人がいたことに、日本人として嬉しかった。
ちなみに、セーヌ川を隔てたエッフェル塔の対岸にあるトロカデロ庭園に、オリンピック開催期間中、パブリックビューイング「Live the Game」が設置されている。開会式があった23日は、パリ市長も駆けつけ挨拶。入場には、衛生パスポートもしくは、48時間以内の陰性証明がなければ入れないという、7月21日から始まったルールが適用されている。
筆者のワクチン接種はまだ1回のみで衛生パスポートはなく、中に入ることは難しいだろうと覚悟しつつ向かった。すると、入場口の横の、無料の簡易検査場に案内された。その場で抗原検査ができ、15分以内に結果と衛生パスポートの代わりになる陰性証明のQRコードが、携帯電話に届く仕組みだ。実際は、検査場からパブリックビューイングの入り口に向かう、ほんの数分で結果を受け取ることができた。
訪れたのは、開会式翌日の土曜の日中だったが、中に入ると家族連れが多く、穏やかな雰囲気だった。もしかしたら、衛生パスポートが来場のハードルを上げているのかもしれない。また、パブリックビューイングの広場には、子どもたちがミニスポーツをできる空間があり、大画面に映し出される憧れのオリンピック選手をみながら、選手に成り切って楽しめるようになっている。
実は、パブリックビューイングを訪れた際、すぐ横のトロカデロ広場で、パリだけでも11万人が参加という大規模な衛生パスポート反対デモが行われていた。皮肉にもその人数と歓声は、パブリックビューイングを大きく上回るもので、会場を遠くから見た時点では、オリンピックがずいぶん盛り上がっているものだと勘違いしたほどだった。衛生パスポートの提示が求められるパブリックビューイング会場の横で、それを反対するデモが行われていたのは、非常に象徴的であった。(う)