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健康日記「鬱っぽい父ちゃんから、鬱の人を理解してあげて、というお願い」 Posted on 2022/03/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ここのところ、なぜか元気のない父ちゃん。
毎月一度は家事を投げ出したくなる持病?のある父ちゃんだけど、なんだか、それとも違う何かに見舞われている。
今一つ調子が出ない。
原因はいろいろと考えられるけれど、一言でいうなら、心が疲れているのだと思う。
自分を鼓舞する方法が思いつかないくらいに・・・。
ツイートでは「精一杯生きたろう」と書かせてもらっているのだけど、自分の思いと身体が一致しないというのか、がんばりたいのは山々なのだけど、身体が動かない、みたいな状況なのである。やれやれ。

健康日記「鬱っぽい父ちゃんから、鬱の人を理解してあげて、というお願い」



「鬱」の苦しみって、本人にしかわからないからね、鬱って、曖昧なものだから、家族とか仕事場ではなかなか理解してもらえないのである。
ぼくの場合、もしかしたら、更年期障害の傾向があるのかもしれないけど、原因不明の落ち込みに時々見舞われる。
こうやって、書かせてもらうことで実は自分を維持しているようなところはあるかもしれない。
頭が痛い息子の進学問題、単調な家事、ストレスの多い仕事などを抱えながら、なんとか乗り切ろうと頑張ってきたけど、容量オーバーになって、動かなくなる・・・。
ぼくは今、「自分は多少鬱傾向にあるのだから、そこんところは大目に見て生きていこう」と自分に言い聞かせて日々を乗り切っている、と思う。
身体は元気でも、心が苦しい人の一番の問題は、周囲から理解してもらえないこと、だ。



きっとぼくが、ここにこうやって書いているのは、自分を維持させるための、落ち着かせるための、写経のようなものじゃないかな、と思う。
息子に「パパを助けてよ」とは言えないし、相談できる人はいないし、なかなか、ぼくのようなガッツだけが取り柄の人間の心の問題って、説明自体が難しく、信憑性も曖昧で(笑)、理解してもらえないことの方が多いような気がする。
鬱って普段元気な人の方がかかると厄介なものかもしれない。
ともかく、傍にいる息子には理解してもらえないと思うし、仮にわかってくれても、子供だから、どうしていいかわからないだろうなぁ。
で、何が言いたいのか、というと、あなたの周辺に、鬱っぽくて、悩んでいる人がいるなら、どうぞ、理解をしてあげてくださいね。見えない敵と戦っているのだから。
そう、病とはいえず、でも、普通でもなく、・・・。
周囲の理解が彼らを救うのです。

はい、
ここまで、読んでくれてありがとう。
同じような心の状態を持っている皆さん、気を楽にして、がんばらないで、がんばりましょう。
人生は長いのだから、休み休み行けばいいのです。
えいえいおー。

健康日記「鬱っぽい父ちゃんから、鬱の人を理解してあげて、というお願い」



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