JINSEI STORIES
退屈日記「今日の雑感。どうでもいい、どうでもよくないこと」 Posted on 2021/06/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、朝はいっぱいのコーヒーからはじまる。
コーヒーを飲みながら、あれやこれや考えるのがぼくの一日の始まりである。
パリは雨である。晴れる日もあるし、雨の日もあるので、雨がなければ晴れもないのだ、と思うとこの曇り空が愛しくも思える。
いつものコーヒーなのに、苦く感じる。
同じものでも美味しいと思ったり、美味しくないと思うのは生きているのだから、毎日が違うという証拠であり、それはそれで有難いことだと思う。
息子はまだ寝ている。すっかり夜型人間になりやがった。
ぼくは仕事場のソファに座り、今これを書いている。
朝は、ツイートを一本打ち、それから退屈日記を書くのが日課だ。
起きてすぐだいたいやる。日記はとくに脳のウオーミングアップに適している。
それからメールのチェックをする。大和書房の八木さんから「父ちゃんの料理教室」が5刷りが決まったとの報告あり。
新しい帯にするということで「あさイチで話題」みたいな帯になっていて、しばらくなんと返事すればいいか、悩んだが、本はそれを売る営業の方々の仕事だから、空模様と一緒で感謝しかない。
一冊の本も編集者、校正者さん、営業マン、書店の店員さん、取次の方、運送屋さんなど大勢の人が関わってるのである、有難い。
小田急電鉄の橋本さんから、ぼくが書いた企画書に「大変感動しました」というお返事を頂く。
第5回目になる新世代賞を「下北沢駅」を舞台に計画中で、コラボが実現するかもしれない予感に満ちたメールであった。有難い。
下北の駅改札は35年前、ZOOの歌詞を作った場所である。
25歳くらいのぼく自身を思い出しながら、原点に立ち返って下北沢から発信したいと考えている。
今、田舎のアパルトマンの管理組合というところから、会議を開くので参加するように、というメールが届いた。
カイザー髭が言っていた管理組合のようだ。実在するのだ、と驚いたが、仏語なので、息子が起きたら、翻訳してもらう。
パリでライブを計画中で、フランスは一昨日の感染者数が500人を下回った。(ちなみに今、見たら最新は2000人)
しかし、フランス全土で明らかに感染者が減っている。
来月頭からクラブやディスコなども再開されるらしい。有難い。
ライブハウスもいけそうなレベルまで日常が戻ってきた。
もっとも油断はできない。ぼくはマスクを着け続けるつもりである。ずっと・・・。
次回27日日曜日の地球カレッジがチーズの回なので、チーズを買いに行かなければならない。これからオペラの久田までチーズを買いに行く。予行練習かねて。
ぼくは牛のクリーミーなチーズが好きだ。
フランスではカフェなどで暖かいヤギチーズ、シェーブルショーのサラダが出されるが、これも美味い。有難い。
初心者にもわかる、フランスチーズの大特集にする意気込みで準備中である。チーズ大好きだ。
その後は、7月17日あるいは18日に(11日の予定だったが、管理組合の会合がありそうで)文章教室の第二回をやりたいと思う。
夏の間は地球カレッジ、月一になるかな・・・。
文章の構成とかアイデアの出し方、どうやって書き出すか、など文章の書き方、構築の仕方などをやろうかな、と計画中。楽しみである。文章教室という名前の人生教室ね。
セーヌ川ライブの音源、全曲、デジタル・マスタリングが終わった。
東京のエンジニアから届いた音源を確認したが、素晴らしい。
あの日のぼくが実際に耳で聞いていた音像そのものに戻っている。
ライブ直後にアーカイブで流したものは配信の最中に音がやはりくぐもっていたのが、生配信だから仕方ないけど、気に入らなかった。
でも、ずいぶんと時間がかかったけれど、マスタリング作業によって、目の前で演奏しているような迫力が出た。有難い。
さて、コーヒーもなくなったことだし、出かけることにしよう。
※地球カレッジからのお知らせです。
*6月27日の地球カレッジは・・・
久田恵理さん
「チーズってなぁーに? パリジャン風チーズの選び方」
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*定員になり次第、締め切らせていただきます。