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ロンドン最新情報「コロナ出口か、それとも第三波か? 英国の未来」 Posted on 2021/06/23 Design Stories
サッカーの欧州選手権「ユーロ2020」に出場中のイングランド代表、メイソン・マウント選手とベン・チルウェル選手が、コロナウイルス関連の規制から1週間の自主隔離となり、少なくとも今日のチェコ戦には出場できないことが決まった。
マウント選手とチルウェル選手は、スコットランド代表ビリー・ギルモア選手とチェルシーでのチームメートで、18日のスコットランド・イングランド戦の終了後に抱き合って話す姿が報道された。
その後、ギルモア選手がコロナウイルス検査で陽性となった。
イギリスでは感染力の強いコロナウイルスのデルタ株が主流となり、若者を中心に感染者が増えている。
先週から18歳以上の成人全員がワクチン接種の対象になり、各地に予約の必要のない大規模接種会場を設けるなど、急ピッチで接種が進められている。
これまで政府は重症化のリスクが高い50代以上の2回目の接種と、それ以下の年代の1回目の接種をできるだけ早く進める方針で、1回目と2回目の接種の間隔は12週間までとしていたが、間隔の目安を8週間に短縮する方針も発表された。
40代の筆者は4月に1回目の接種を受けたが、同時に予約した2回目は12週間後にあたる7月初めだった。
「ワクチン2回目の予約が1回目から8週間よりも後に入っている人は、2回目の予約を早めるように」と政府が勧めているというニュースが流れた直後、NHS(国家医療サービス)のウェブサイトにアクセスすると、すぐに直近の日時に変更できた。
新しい接種日となった今日、予約時間よりも10分早く会場に着いたが、すぐに受付に通された。
予約番号を伝え、「コロナウイルスの症状はありますか」という質問に「ノー」と答え、1回目の時にもらった接種記録カードの2回目の欄に今日の日付を書き込んで返してもらい、受付終了。
1回目の人用の接種のブースは7つで、2回目の人用のブースは1つだけ。
1回目の接種を待つ若者たちが20人ほどいたが、2回目の待ち人数は0人だった。
ブースで待っていたのはアジア系のお医者さん風の男性2人。
「アストラゼネカの2回目ですね」と確認した後、今日の体調、発熱の有無、「過去28日間にコロナウイルスに感染したか」に加えて、住所、携帯番号、人種(日本人は「その他のアジア人」に分類される)を口頭で聞かれた。
また、「接種の後、自動車を運転する予定はあるか」も尋ねられたが、前回に引き続き、今回も接種後会場にとどまるようにとの指示はなかった。
1回目の時に接種してくれた若い女医さん風は、ぶすっと力強く思い切って針を刺したが、今回は慎重に針を入れ、時間をかけて接種してくれた。
前回に引き続き、痛みも出血もなかった。接種後の注意事項が書かれたリーフレットを、今回も手渡された。
接種してくれた男性に尋ねると、「今日はこの会場だけで、8人がかりで450人くらい接種する予定」という。
「これでも少ない方で、週末は1日あたり1000人くらい接種した」とのこと。
大変なお仕事ですね、感謝しますとお礼を言ってブースを後にした。
ワクチン接種会場の出口には、「EXIT」と大文字で2回書いてあった。
空に向かう青い矢印と、「出口」という文字に、ワクチン接種によってコロナ禍からの脱出を目指したいという祈りが込められているように感じた。
イギリスでは1日の新規感染者が再び1万人を超えるようになり、コロナウイルスの第3波が始まっていると科学者は警告している。
それでも1週間あたりの死者の数は100人未満で、昨年8月末から9月初めにかけての週以来、最低の水準まで減少した。
マット・ハンコック保健相は、22日にはBBCラジオ4のニュース番組で、入院患者は「ゆっくりと上昇している」ものの、「死者が非常に少ないレベルで推移していることから、ワクチンが効果を発揮していることが明らかだ」として、データから「7月19日に予定されている規制緩和にも希望が持てる」と話した。
またハンコック保健相は、21日にはスカイニュースに出演し、観光目的での海外旅行の解禁に向けて「ワクチンのおかげで、人々の安全のために制限されていた自由を取り戻せるように」検討していると明らかにした。
具体的には、現在世界の国ごとに3段階で規制されている海外渡航について、最も安全な「青」に加えて中間段階の「黄色」の国(日本も含む)についても、ワクチン2回の接種を済ませたイギリス在住者は帰国時の検疫を免除する方針だという。
在外邦人の間では「今度いつ日本に帰省できるか」というのが何よりの関心事だ。
イギリスの状況以上に、東京オリンピック・パラリンピックの影響が不安材料で、これについてはイギリス人の間でも関心が高まっている。
21日の選手村のメディア公開を受けて、BBCのルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員は現地リポートを行い、選手が滞在する宿泊室が2人部屋であることによる感染リスクを指摘した。
またトレーニング室でのマスク着用を義務づけていることや、感染がわかった選手が自主隔離するための部屋の小ささを紹介し、感染対策の現実性に疑問を呈している。