欧州最新情報
パリ最新情報「日本承認前夜、モデルナ社のワクチン、最新情報」 Posted on 2021/05/05 Design Stories
フランスでは、ワクチン接種が開始された直後、モデルナ社のワクチンはファイザー社のワクチンについでに二番目のワクチンとして承認され、広く知れ渡っている。その後、アストラゼネカ、その後、ジョンソンエンドジョンソン、と現在までにフランス国内で接種が認められているのは4社のワクチンである。
ジョンソンエンドジョンソンの接種に関しては、一時、米国で問題が発生し、デンマークでは5月3日にジョンソンエンドジョンソンのワクチンを承認しないことを決定している。(一万人に一人の割合で血栓が出たという調査報告を元に)
フランス国内では、4月24日から薬局への配布がはじまっているが、今後、欧州各国の状況をみて、方向性が変わる可能性がある)
アストラゼネカも血栓などの副作用が出て、欧州では現在、慎重な接種が行われている。その中で、モデルナのワクチンはファイザー社のワクチンと同様、今のところフランスでは問題で出ておらず、接種を希望する人もすくなくない。
日本はモデルナ社のワクチンの承認がまだ行われていない(*5月20日に承認された)が、先日、一足先に関西空港にモデルナワクチンが到着した。
承認されていないワクチンが到着したことに疑問や不安を感じた人も多いと思う。
フランスでもファイザーワクチンがあまりにも有名でモデルナを選ばない人が多いと一時期ニュースになったこともある。
しかし、日本で承認されているファイザー社と今回承認目前のモデルナ社のワクチンはどちらもmRNAワクチンで臨床的な観点からこの二つのワクチンの効果はほぼ同じなのである。
ファイザー/BioNTechのワクチンは43,000人を対象とした第3相試験がされ、2回の投与で95%の有効性を達成。
モデルナ・ワクチンは30,400人を対象とした第3相試験がされ94%の有効性が確認されている。
2つの違いは、ファイザー/BioNTechのワクチンは-80度で最大半年、2度から8度(冷蔵庫)で5日間保管可能なのに対し、モデルナのワクチンは-20度で最大半年、2度から8度(冷蔵庫)で30日間保管できる。
モデルナのワクチンの方が現時点では、保管条件が良い。
フランスのメディアインタビューに答えたモデルナ社の代表は、
「コロナウイルスは消滅せず残り続けるウイルスだと考えられるため、秋から冬にかけてまた新しい変異株が猛威を振るう可能性もあり、コロナワクチンは長いタームで必要になると予測される。モデルナはその変異株に素早く対応すべく、ワクチンに修正を加え生産していく」
と語った。
2021年はEUだけでも約1千万回分のワクチンが既に輸入され、今年中に3千5百万回分が輸入されることになっているが、同社は2022年までに生産量を大幅に増やし、30億回分のワクチン生産を予定している。
ちなみに、フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相(41)は新型コロナワクチンの2回目を接種した。
しかし、2回目のワクチンは1回目に接種したアストラゼネカ社製ではなく、モデルナ社のワクチンであった。
フランスではこれまで、ワクチンのミックス接種は認めてこなかったが、アストラゼネカ社のワクチンの副作用が問題となり、(現在フランスではアストラゼネカ社のワクチン接種は3月9日より55歳以上の人に限られている)、55歳以下の、すでにアストラゼネカ社のワクチンを接種した人に対し、2回目はファイザー社、またはモデルナ社のワクチンを接種するよう、指示している。
新型コロナのワクチン接種、まだまだ、このようなささやかな混乱は続くものとみられる。
来年の今頃、変異株に対応したワクチンが続々と登場し、私たちの生活必需品となっているのかもしれない。新しい世界を、不安と期待で眺めつつ、・・・。(み)