PANORAMA STORIES
ステイホームは窓際癒し計画に最適期間! Posted on 2021/04/24 岡本 文子 フローリスト パリ
パリは三度目のロックダウン中。家に居ることに慣れてしまっても、やはり少しの変化がないとつまらない。我が家は二人のやんちゃ坊主が家でウロチョロしている上にフランス人の夫はなんと去年の一度目のロックダウンからまったく会社に出勤せず、家でテレワークをしている。正直、家庭内も殺伐とした雰囲気になることは多い。そこで、「暮らしに何か工夫をしなくては!」と思い立ち、植物に癒しを求めるようになった。フローリストという職業柄、家に花や植物を置いている方だけど、それでもまだ足りない!
そこで、子供たち用に子供でも簡単にお世話できる植物を用意し、毎日観察させることにした。すると毎朝「あ、芽が出てきた」「あ、蕾になった」「背が高くなった」と植物に触れながら、子供たちも植物が生きているということを実感しているようだ。毎朝自分で植物の調子をみて、話しかけ、水やりをし、花が咲けば喜んで、花が散ってしまうと悲しそうにしている。子供達が植物に対してそんな気持ちを持てたのは、ロックダウンというこの環境のおかげかもしれない。
パリジャンたちも小さいアパルトマンに癒しを求めている。ロックダウンに入って、小さいバルコニーやお庭などの仕事が増えた。「全くの素人だから全部お任せ」と依頼するパリジャンたち。だけど私は必ず家に迎える植物を一緒に決め、なぜその植物なのか、どのように変化していくかなどを理解してもらってから現場仕事に取り掛かることにしている。なぜなら、「すべてお任せ」だと「お世話もお任せ」になってしまうから。植物を家に迎える以上、犬や猫を飼育するのと同じようにお世話してほしいと思っている。
意外にも、パリジャンたちは知らないことに関して素直に言うことを聞いてくれるので、スムーズに事が運ぶことが多い。普段憎たらしいパリジャンたちが素直に聞き入れる姿はなかなか可愛らしくもある(笑)。
小さなアパルトマンでも癒しを得ることができる、「窓際グリーン計画」もなかなか好評である。「目で見て楽しむ」「少しの手をかける」という課題を与え、それをロックダウン中の楽しみにしてもらおうという作戦はパリジャンたちにもウケた。
窓辺に癒しを求めるパリジャンにもっぱら人気なのが、野の花系の素朴な草花ガーデニング。 やはりパリジャンはこの続く規制生活に疲れているのか、最近は派手で華やかな花よりも、見ていて癒され心落ち着く草花がダントツの人気なのだ。ソージュやガウラが風にそよそよ吹かれ揺れる姿・・・それを見て癒される・・・。ギリギリの精神状態の人も多い気がする(笑)
とにかく、「ションペトル(田舎風の)で自然な感じ!」という依頼がたくさんある。それはガーデニングだけでなく花束の注文も同じで、リクエストはたいてい「ションペトル(田舎風)シルブプレ」なのだ。
草花ガーデニングの次に人気なのがハーブの寄せ植え。
香りも楽しめる、そして料理にも使えるハーブ類を窓辺に、またはキッチン回りに置いて、見ても可愛い、香りもよし、更には食べても美味しいという好条件。植物は料理好きなパリジャン必須のガーデニングアイテムとなっている。中でも特に人気なのが、ハーブティでおなじみのベルベーヌ。花も野の花のような白、 または紫の花を咲かせこれまた癒しの王道。パリの園芸店でも、数種類のハーブを店先に並べると、あっという間に売り切れてしまうという。
ベルベーヌと同様人気なのがコリアンダーの花。こちらは食べてもよし、飾ってもよしという優れもので、フローリストにも大人気の切り花なのだ。小さい白い可愛らしい花が細い茎から今にも折れそうな儚い感じで咲くが、 実は見た目と違いかなり頑丈!というところも人気の一つ。野の花系の切り花でこんなに持つ花は珍しい!
私の仕事のモットーは、たった一つの花束のご依頼も「受け取る方を想像して作る」ということ。依頼して下さった方が満足していただけるように心を込めて花を束ねたい。だから、バルコニーや室内グリーンも同じく、家族構成など、その空間にいるメンバーややスタイルを理解してから作り上げる。今、ステイホームで楽しみもなく、心がお疲れ気味の人がいたら、ぜひ窓際ガーデニング、「ションペトル風」で癒しを求めてみてほしい。
次回、5月9日の地球カレッジに岡本さんが登壇します!
チケットをお申し込みされた方は、ご自宅のベランダや窓際の植物などの写真をお送りください(チケット購入後に送り方が表示されます)。
岡本さんが皆さんの写真を見て、目から鱗のアドバイスをくださる予定です!
岡本文子 × 辻仁成 「フランス流、窓際のガーデニング術」
この授業に参加されたいみなさまはこちらから、どうぞ
チケットのご購入はこちらから
*定員になり次第、締め切らせていただきます。
Posted by 岡本 文子
岡本 文子
▷記事一覧Atelier Carmin fleurs(アトリエ・カーミン・フラー)主催。
2016年、ブルターニュ出身フランス人と神戸出身日本人によってアトリエ・カーミンが誕生。パリのコンセプトストア『Merci』のフローリスト部門で出会った二人は、その後もトップフローリスト『Orivier Pitou』や『Yannick Suznjev』、『Les mauvaises Graines』にて経験を重ねる。そんなパリを代表するフラワーメゾンを経験した二人は、季節感を大切にしたグリーン使いにこだわりを持っており、枝ものや葉ものを積極的に取り入れた”シャンペトル スタイル”、いわゆる”田舎風”の雰囲気に二人の遊び心を交えた個性的なコンポジションを得意としている。イベント装花では旬の花木をふんだんに使い、テーマに沿って繊細なものからボリュームのあるコンポジションまで数々提案。最近では園芸における意識改革にも挑戦しており、フランス人と日本人が持つそれぞれの感覚を活かし、新しいスタイルの園芸、装花を目指している。 現在、テラスやバルコニー、庭などステイホームで楽しめるグリーン使いを発信中。パリの小さいアパルトマンでも楽しめる室内グリーンがパリジャンに浸透中。コロナ渦でナタリーは故郷ナントに戻りナントでアトリエカーミン・ナントを、パリは岡本文子が中心に活動をしている。