PANORAMA STORIES
q.b.レシピのないレシピ帳~ズッキーニのフリッタータ~ Posted on 2021/04/15 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア
4月も半ばに差しかかりましたが、カンパーニア州のレッドゾーン措置は解除されず、相変わらず自宅中心の生活が続いています。
日毎に鮮やかになってゆく山の緑を家から見ていると、冬の間はさほどでもなかった外出制限の不自由さを、より実感するようになりました。
カラッと晴れた日には「今日はピクニック日和だね」なんて口癖のように呟いたりして。
そこで、今回は去年の初春に行ったハイキングコースを写真で振り返り、皆さんとエアピクニックを楽しみたいと思います。
最後にはお弁当にも最適な、ズッキーニの卵焼きをご紹介しますので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
行先はイスキア島で最も日当たりの良い、パンツァという地域にある丘です。
お弁当と水筒を持って、帽子をかぶって、準備はいいですか?
それでは早速出発しましょう。
さあ、ここが入り口です。
上にはパンツァの山の小径、下にはペラーラの入り江の小径とあります。
山といっても子供でも簡単に歩ける緩やかな傾斜なのでご安心ください。
海に突き出た小高い丘のようなところです。
道は途中で2つに分かれ、1つはペラーラの入り江に続きますが、そちらへは次回ご案内します。
始めは平坦で長閑な田舎道が続きます。
新鮮な空気を胸いっぱい吸いましょう。
鳥たちも気持ちよさそうに鳴いていますね。
鮮やかな黄色に目を奪われます。道端の可憐な花々にも足を止め、ゆっくりと歩きましょう。
今回のコースはこちらですよ。
間違って入り江に向かわないでくださいね。
なんだか体がポカポカしてきました。
僕のように、コロナ太りの訛った体にはちょうど良い距離かもしれません。
意外と滑りやすいので気を付けてくださいね。
そして、この短い坂を上ると、、、、
視界が一気に開け,絶景を楽しみながら歩くことができます。
真ん中に見えるのはサンタンジェロという陸繋島で、その奥にはカプリ島が浮かんでいます。
そしてカプリ島の左側に目をやると、アマルフィ海岸でも有名なソレント半島があります。
ここから先は岬に向かって歩くことになります。
もう、すぐそこですよ。
さあ、ここが最後の短い坂です。お疲れさまでした、着きましたよ!
目の前に広がるのは真っ青な海と空。
耳をかすめる心地よい潮風。
実は今から200年ほど前、ある著名人がこの場所を訪れました。
それは、「赤と黒」「パルムの僧院」などで知られるフランスの作家スタンダールで、僕もつい最近知り驚きました。
イタリア全土を幾度にも渡り旅したスタンダールはイタリア紀行を出版しているほどですが、ここイスキア島に滞在した記録も残されています。
滞在中、彼は地元の農民たちと親しくして過ごし、このパンツァの山にもロバに乗って訪れたそうです。
左側にはこんな景色が広がっています。
スタンダールの時代には家もまばらで、更に牧歌的だったことでしょう。
一番手前の崖の下にはソルジェートという、海に湧く温泉があります。
斜面に見えるジグザグの階段を下りて行くことができる、人気のスポットです。
一方、右側には雄大で荒々しい景色が広がっていて、切り立った崖に思わず足がすくみます。
この後に向かうペラーラの入り江はこの真下にありますが、一旦ここでお昼にしましょう。
皆さん、思い思いの場所に座ってお弁当を広げてくださいね。
僕はズッキーニのフリッタータ(卵焼き)をはさんだパニーノを持ってきたので、ここで作り方をご紹介したいと思います。
ズッキーニのフリッタータ
★材料(約4人分) 20cm前後のフライパン
○ズッキーニ 約250グラム ○卵 6個 ○塩胡椒オリーブ油 q.b.(適量)
○パルミジャーノチーズ q.b. ○お好みのハーブなど q.b.
★作り方
①ズッキーニを適当な大きさに切り、オリーブ油をひいたフライパンでしんなりするまで炒め、軽く塩を振ります。お皿にとって粗熱を冷まします。ズッキーニを小さく切りすぎたり、火を通しすぎると食感が損なわれるので注意しましょう。
②卵をボールに割り入れ、塩胡椒、パルミジャーノチーズ、ハーブ類、先ほどのズッキーニを加えてかき混ぜます。(ついていた花も生のまま切り刻んで加えました)
③フライパンにオリーブ油をひいて熱し、卵を入れ全体を大きく何度か混ぜます。ここまでは強火で、その後は蓋をして弱~中火で火を通します。(ズッキーニを炒めたフライパンをキッチンペーパーでさっと拭き、ほんの少しだけ油を足しました)
④4~5分して表面が半熟くらいになったら、蓋あるいはお皿の上にひっくり返し、そのままフライパンにスライドさせます。火傷しないよう気を付けてください。蓋をしてもう数分焼いて出来上がりです。
パンにサラダ菜などと共に挟んでパニーノにしても美味しく、ピクニックにはぴったりです。
また、小さく切ってワインのつまみにもできますので、ぜひ試してみて下さいね。
イスキア滞在中はニワトリに餌もあげていたというスタンダール。
もしかしたら彼もこのパニーノを持ってここに来たのかもしれない、そう考えると何だかわくわくしますね。
それでは次回、ペラーラの入り江でお会いしましょう。
※タイトルのq.b.とは適量を意味するイタリア語quanto basta(クワント バスタ)の略です。細かいことは気にせず臨機応変に、あなたなりのレシピにして頂けたらという思いを込めて。
Posted by 八重樫 圭輔
八重樫 圭輔
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シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。