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パリ最新情報「非難殺到!結局、蓋を開ければ、腰砕けのロックダウン」 Posted on 2021/03/20 Design Stories
金曜日、パリから逃げる人々で各高速道路が大渋滞となった。
300キロも渋滞が続いた高速道路もある。
しかし、逃げ出さなくても、何も変わらなかったのじゃないか、と残留組が皮肉っている。
金曜日深夜から始まった4週間におけるフランス16地域のロックダウン(ほぼパリ首都圏を中心とする地域、日本でたとえると関東一都三県のような地域を指す)だが、蓋を開けてみると、これをロックダウンと呼ぶのか、と思わせる名ばかりのロックダウであることが分かってきた。
まず、出歩ける時間に制限はない。
しかも、10キロ以内は自由に移動が出来る。
パリの大きさは世田谷と同程度の広さしかなく、北から南へ歩いても、東から西に歩いても10キロ程度なのである。
つまり、パリ市内はだいたいどこでも歩いていくことが出来、しかも、携帯のアプリの外出理由をマークしておけば、太陽が昇っている間はほぼ一日中外を歩けることになる。
※要は郊外の人たちがパリ市内には入れなくなった。それが一つの狙いなのであろう。パリ郊外が確かに感染拡大がとまらないのも事実なので、パリを防衛するための措置ととることもできる。
しかし、10キロ範囲内であれば、散歩がてら、友達の家によって食事をしてもわからない、という非常に中途半端な内容の制限となった。
しかも、夜間外出禁止時間が、夏時間への移行が間近という理由で、禁止時間が18時から19時へと伸ばされており、朝の6時から夜の19時までは好きなだけ外を歩けるというのだから、…。
じゃあ、いったい夜間外出禁止令との違いは何か、と問われるなら、商店の閉鎖が最大の目的の第三次ロックダウンであったことになる。
これには商店主たちから猛抗議が寄せられ、ロックダウン開始直前まで政府が対応に追われ、結局、「床屋美容院、本屋、レコードショップ、チョコレート屋、花屋と靴の修理屋、車のディーラー(予約のみ)、不動産の内見」の営業がばたばたと認められることになる。
パリ市内中心部にあるブランド、ZARAの前は最後の買い物を目指す人々で溢れかえり長蛇の列ができた。
4月中旬にはランチの営業が認められるのじゃないか、と噂が広まっていた飲食業団体の落胆も激しい。
補償金の支払いも滞っているようで、今年に入って数百€程度の補償しか支払われていないと訴えるレストラン営業者もいる。
昨夜の各ニュース番組では、論説員たちが口を揃えて、政府が提案したロックダウンの真価を疑う強い批判が相次いだ。
出演していた医師たちは、この程度のぬるいロックダウンでは4週間先も結果が出ないだろう、と断言していた。
結局、ブティックなどの商店だけが閉まっただけで、学校も開いているし、スーパーや日常品の店はどこもあいているので、美容室にも行ければ、運動も出来、いったいこのロックダウンにどんな意味があるのか、という意見が相次いでいる。
来年、大統領選挙を控えたマクロン政権の選挙を見越した国民への忖度が、強い態度に出られない最大の理由かもしれない。(中)