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パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」 Posted on 2021/03/07 Design Stories  

ここ最近、パリの風景に変化が出た。
これまで主流だった中国製の薄青色のサージカルマスクにくわえ、ここのところ、薄ピンク色のマスクが登場し、とくに、若い女性たちに大人気なのだ。
殺風景だったパリの景色に変化が出て、春を間近に感じることが出来るようになった。

オシャレに気を使うパリジェンヌ達の間で、一時期、流行りつつあったスッキリとしたデザインの日本製ウレタンマスクや、手作りの色柄鮮やかな布製のマスク。
これらは、今年に入って施行された新たな法律によって、大きく様変わりした。
そこで、今回は、現在のフランスでのマスク事情について、紹介したい。

パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

※以前、街角のキオスクで見かけた色柄華やかなマスクは認証マークがなかった。

 
そもそも、新たな法律とは、マスクの性能を定義づけたもので、2つのカテゴリーに分けられている。
カテゴリー1は「3ミクロン以上の微粒子を90%カットできるもの」、カテゴリー2は「3ミクロン以上の微粒子を70-90%カットできるもの」としている。
マスクのカテゴリーは、フランス労働安全衛生研究所(INRS)によって認証されるが、今は、カテゴリー2の使用は推奨されなくなった。
ちなみにサージカルマスクの平均的な濾過率は95%といわれている。
現在、フランスの学校および企業では、サージカルマスク、もしくはカテゴリー のマスクのみ認められている。

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パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

※カテゴリー1の認定マーク

 
まずは、一般企業において、マスクの支給は雇用者の義務であると、フランスの経済・財務省は提言している。
昼食の前後での交換を想定し、1日分、2枚のサージカルマスクの支給を理想としている。
とある企業では、既にサージカルマスクを装着していた場合でも、会社支給のマスクでのみ入館を認め、その場で付け替えさせる方針をとっていた。
そうなると、マスクでオシャレをすることはもはや不可能で、みな一様に青いサージカルマスクをしている。企業によっては、社内入館の際、非接触体温計での計測に加えて、コロナの兆候がないという宣誓書へのサインが求められる。



パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

では、ファッションの世界ではどうだろうか。先シーズンのファッションショーは、コロナ禍でも、衛生状況に配慮しつつ開催され、黒いマスクが人気だった。
来場者は受付でマスクを渡されるのだが、同じ黒いマスクを身につけることで生まれる統一感。
観客たちもショーの背景として、通常時よりも芸術的な印象すら受ける。
元来、黒い服を好むパリジェンヌが多い中、黒いマスクはコーディネートにまとまりが出るのだ。

また、フランス人の間で話題なのが、スポーツ用のマスクの開発だ。
東京オリンピックの開催の有無について気になっている日本人としては、その後、パリ開催を控えているフランスでも競技者用に開発か!? と思いきや、室内スポーツジム用のマスクだそう。
いくつかのスポーツジムは、オンラインレッスンに切り替えて対応しているが、やはり仲間たちと集って共に運動する魅力には代
えられず、専用マスクの開発が熱望されている。
いくつものスポーツメーカーが開発に乗り出しているが、先陣を切ったのはスキー用品でおなじみのサロモン(Salomon)。夏用と冬用、季節に合わせた2種類は、共にカテゴリー1の認証を受けている。
スポーツマスクの特徴としては、楽に呼吸ができることと、激しく動いてもズレないことがあげられる。
呼吸をラクにするために、素材自体を通気性の良いものにしてしまうと、カテゴリー1の認証を受けることができない。
そこで、布の気密性は保ちつつも口元に空間をつくることで、息苦しさを解決した。また、繰り返し洗っても性能が落ちないことも重要だ。

パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

※サロモン公式サイトより

 
次いで注目を集めているのが、フランスのスポーツブランドメーカーのデカトロン(Decathlon)。同社のプレスリリースによると、スポーツ省(le Ministère desSports)とフランス規格協会(AFNOR)と連携を取りつつ開発を進めている。
現在、カテゴリー1の認証を目指し、プロトタイプで試験中だ。



パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

※デカトロンプレスリリースより

 
デカトロンのマスクといえば、数年前、フルフェイスタイプの水中用シュノーケリングマスクが大ヒット。水を怖がる子どもでも気軽に使えるとあり、大変な人気を博した。

パリ最新情報「オシャレパリジェンヌたちの最新マスク事情」

※デカトロンサイトより

 
コロナ用ではなかったが飛沫防止になると、フランス、イタリア、特にスペインでは1万個が医療従事者に提供された。マスク開発への定評はあるようだ。高性能な室内スポーツ用のマスクの販売が待ち遠しい。(ウ)

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