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速報・パリ最新情報「集団免疫獲得に何%の国民が抗体を獲得する必要があるのか」 Posted on 2021/03/01 Design Stories
フランスは感染状況の酷いカンヌ、ニースなどがあるアルプ・マルチーム県とベルギーとの国境近くにあるダンケルク市が部分的ロックダウン(週末のみのロックダウン)に入った。
そして、先日の首相の会見で、現在、パリ近郊を含む20地域が最大警戒地域に指定されており、感染がより悪化するようであればこの地域も3月6日から部分的ロックダウンに転じるとの発表があった。
フランス政府はロックダウンにならないために国民の自粛を促したが、しかし、この週末は快晴だったため、パリ市内、セーヌ川沿いなどはすごい人出となった。
思い返せば、昨年のロックダウン直前も快晴が続き、全く同じ光景が広がっていた・・・。
インタビューに答える人々は口々に「もうすぐまたロックダウンになれば家から出れなくなるので、自由を満喫している」と話し、満喫しなきゃ損という人々の考えに、専門家からは失望のため息がこぼれた。
残念ながら、パリに関しては、週末ロックダウンは避けられないムードになりつつある。
フランス保健省の総局の1つであるDirection générale de la santéの元代表であるウイリアム・ダブ氏はBFMTVに出演し、驚くべきことに、集団免疫ができるまでには80%の国民が新型コロナの抗体を持つ必要があると発言した。
これまで従来株では55%から65%で集団免疫ができると言われていた定説を覆す意見である。
ダブ氏は語る。
「感染力の強い変異株の出現が大きな要因です。そして、これからも新しい変異株が次々出現することを想定し、60%前後ではウイルスの蔓延を止められないでしょう」
これを裏付けるように、昨日、ニューヨークでこれまでに見つかっていなかった新たな変異株ウイルスが発見されたという報道があった。
ワクチン接種にコロナ収束の唯一の希望を託しているフランスは、現在、全土ロックダウンは行わず、なるべく経済や教育に影響の出ないような夜間外出禁止令と部分的ロックダウンという措置を取り、ワクチンが行き渡るまで感染を緩やかに抑え込む作戦をとっている。
しかし、フランスのワクチン接種はまだ国民の5%未満という水準なのだ。
9月までに全国民の接種を目指しているが、まだまだ現実的でなく、気の長い話である。
しかも、このワクチンの有効期間はまだわかっていないのである。
ワクチンを接種しても半年から1年未満で抗体がなくなる可能性も高いので、全員がワクチンを打ち終える前には、最初に打った人々の抗体は消えている可能性が高い。
「ゼロ・コロナ」はまず不可能だろう。
また、「健康(ワクチン)パスポートの発行で以前の生活に戻ることができるのか?」という質問に、ダブ氏は、このワクチンは有効率が100%ではないので、ワクチンを打ったからと言って完全にコロナにかからない訳では無く、ワクチンパスポートを作って安心してしまうのはとても危険だ、と指摘した。
FranceInfo最新版によると、コロナに限らず、動物由来で人間に感染し得るウイルスは世界に80万種ほど存在するという。
コロナが収束したとして、また違うウイルスが出現する可能性も高いのが現実である。このことはWHOも指摘している。
ウイルスとの闘いは、新しい形の世界大戦の様相を呈してきた。
果たして、人間はウイルスに勝てるのだろうか。