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パリ最新情報「カフェ&レストラン閉鎖中、フランス人は外出の際 に、どこで食事を取っているのか?」 Posted on 2021/02/25 Design Stories
現在、コロナ禍で、カフェもレストランも全面的に閉鎖しており、店前の街路際にテーブルや椅子が並ぶ、いかにもフランス的な風景は街から消えている。ならばフランス人は、外出の際、どこで食事したり、休憩しているのか。
週末といえば、出かけるのが大好きなフランス人だが、外出前に1日の行動を計画するようになったという人が多い。以前なら、なんとなくフラッと出かけて、疲れたらカフェに入るということができたが、今では、ちょっとトイレに行くのもままならない。そのために午前中に用事を済ませるか、昼食を家で食べてから出かけるか、半日のみの外出が増えているらしい。
そんな状況でも、パリジャン達はルールをギリギリ守りつつ、あの手この手で、「外食」をする。フランスの街中で見かけた、新しい食事風景をお伝えしたい。
まずは、パリ市内で一番、人が集まる場所になったのが、セーヌ川沿いの遊歩道。周辺のレストランのテイクアウトやスーパーでサンドイッチを購入し、川沿いで食べるのだ。店先でのワインの提供を始めたレストランもあり、プラスチックのコップに入ったワイン片手に、セーヌ川に繰り出すのだ。
春に向けて、天気が良い日も増えてきていて、先週末はたくさんの人が集まっており、屋外とはいえ感染拡大のリスクも懸念される。
また、郊外の大型ショッピングセンターでのとある風景。
現在、売場面積2万㎡を超える大型ショッピングセンター自体は閉鎖しているものの、その施設内のテイクアウトができるレストランやフードコートは営業している。ただし座席を伴う食事の提供が禁止されているので、全てのテーブルと椅子は片付けられている。
昼時になると係員が、そんな巨大なホールのそこかしこにマットを敷き始めた。すると、テイクアウトを買った人たちが、そこに座り食べ始めたのだ。想像するに、昼時に床にじかに座って食べる人が続出したため、店舗側の配慮でこのようなことになったのではないか。
特に、このショッピングセンターの横には、アウトレットモールも併設されており、1日中滞在する人も多いので、このような対策がされたのだろう。ちなみにアウトレットモールの方は、屋外に小さな路面店が連なった町並みのようなつくりになっているので、「大型ショッピングセンター」という枠からは外れ、小型商店という扱いで営業を続けることができているそうだ。
次いで人気なのがマクドナルドのドライブスルー。店内営業禁止で店自体は空っぽなのに、昼食時になると、車が長蛇の列をなす。
ある日、注文の画面が壊れていてメニューがわからなかったのだが、それから2週間後に行ったときにもまだ壊れていたのはフランスらしい。商品を買った後は、家に持ち帰らず、そのまま駐車場で食べるのが、最近のドライブスルーのトレンド。駐車場は満車で、隣も向かいも、みな車に乗りつつ、ハンバーガーをほおばる姿は、さながらドライブインシアターのごとし。
最後に変わりダネをひとつ、現在フランスは、スキーバカンスといわれている学校休みの期間で、本来であればスキーシーズン真っ盛り。
コロナ禍では、リフトの稼働は禁止されているが、ゲレンデのみ開放されているスキー場がいくつかある。主に子どもの教育を目的とし、自分の足で登れる範囲までなら良いそうだ。ソリ遊びをしたりする親子も。
そんな中、サヴォア地方のとあるスキー場では、ゲレンデで食事ができるよう、雪上車がフードトラックに改造されて、話題を集めている。
場所そのものではないけれど、少し前に話題になったのが、「オフィスの自席で食事をとることを禁止」していた法律がなくなったこと。それまでは特に注目されていなかったルールだったが、コロナ禍で在宅勤務が増え、会社の食堂が閉鎖し、多くの社員たちが手弁当を余儀なくされたために、この法律の改正が認められた。
もともと、この法律ができたのには「衛生上、雇用者は被雇用者の食事をとる場所の準備を怠ってはならない」という意図があり、デスクで食べることで細菌が増加するという研究結果に基づき設定されていた。現在はコロナ感染拡大防止のため、食事の前後にきちんと机の消毒を行うというルールができたので、それも解決したとみなされたようだ。食べることを大事にして、食べる場所にもこだわるフランスらしい、ちょっとおかしくも思える法律だったのに、なくなってしまったことは少し残念でもある。(ウ)