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退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」 Posted on 2021/02/21 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ぼくは大のコーヒー好きで、コーヒーがないと生きてはいけない。
一日に、3度、必ず飲む。3回以下はなく、3回以上もとらない。
朝のいっぱい、昼食後のいっぱい、夕食後、寝る前のいっぱい、と決めている。
で、いろいろと試したけど、今はコーヒーはネスプレッソで落ち着いている。これは宣伝ではない。試した結果、なのだ。
フランスだと各社がネスプレッソマシーンに対応するカプセルを販売している。
illyやスターバックスや各社様々な工夫をこらしてネスプレッソ業界に参入しているけど、ぼくはやはり本家本元のネスプレッソを買うことが多い。
中でも近年とってもバランスのよくとれた「ペルー」を愛飲している。
でも、コーヒーは嗜好品なので、気分でやはり様々な味を求めてしまう。日本に行くとドリップコーヒーが美味しいので、それはそれで探したり選んだりするのが楽しい。
ワインと一緒で好みの味を常に探しているという感じである。
しかし、昼食後のコーヒーには必ず付随するお菓子があって、これだけは譲れない。
これが午後のコーヒーにおける重要な条件となる。

退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」



イタリアのビスコッティというトスカーナ地方発祥の硬い庶民的な焼き菓子がある。
小麦や砂糖、チョコレット、アーモンドなどのナッツ類を入れて焼き上げたイタリアン・ビスケットなのだけど、トスカーナでは「カントッチ、cantucci」と呼ばれて親しまれている。ヴァン・サント(甘口ワイン)やエスプレッソなどに浸して、ちょっと湿らせ柔らかくしてから食べるのが最高なのだけど、(有名かどうか知らないが)、「MARABISSI」というメーカーがあって、たまたま、イタリア食材店で見つけて、買ったら、びっくりするくらいに美味しかったので、ハマった!!!

退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」



だいたい、ビスコッティというのは歯が折れそうなほど硬いのが多いのだけど、ここのカントッチも硬いが、適度に柔らかく、その上、カントッチ・アル・チョコラートと呼ばれるものには、なんと、ぼくの大好物のミルク・チョコレートがかけられている。
これを先の「ペルー」にちょっと浸して、口に頬張った瞬間の、ああ~、幸せといったらない。

退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」



今日は息子がいないので、昼も適当にワインとパンに生ハムみたいな世界で終わらせた後の、コーヒーとカントッチが素晴らしかった。
ちょっとチョコを食べたくて、ちょっとコーヒーを舐めたくて、ちょっと硬いビスケットを柔らかくして食べたい、日曜日の昼下がりに、小説世界に没頭する合間の、最高のお供が、こいつ、なのである。

何をあくせく生きる必要がある、と思い出させてくれる、このコーヒータイム。
嬉しくなるのであーる。イタリア、大好き!

退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」



退屈日記「一日を豊かに彩る、コーヒータイム、最高のお供とは?」

※日本でも売ってるといいのだけど、…。

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