欧州最新情報
ロンドン最新情報「英国型変異株に関する最新レポート」 Posted on 2021/01/28 Design Stories
イギリス国家統計局(ONS)が27日、イギリスで最初に見つかった変異株の症状の傾向を発表した。せき、のどの痛み、倦怠感、筋肉痛が顕著で、味覚や嗅覚の喪失は少ないものの従来株に比べると抜きんでるような大きな変化はみられない。
ONSの報告書では、2020年11月〜2021年1月16日にコロナウイルスの検査で陽性となり、イギリスのケント州で昨年9月に見つかった変異株に感染していた人(無症状の人も含む)が自ら訴えた症状について、従来株の場合と比較している(対象は市中感染や家庭内感染による陽性者で、病院や老人ホームなどの施設内で感染した人は含まれていない)。
この結果、変異株の陽性者のうち何らかの症状を訴えた人は53%(従来株の陽性者の方は48%)、せきの症状を訴える人は35%(28%)、倦怠感は32%(29%)、のどの痛みは22%(19%)、筋肉痛は25%(22%)と、いずれも従来株に比べて目立って多い。また、発熱は22%(19%)、頭痛は32%(30%)で、若干多い傾向にある。
一方、変異株の陽性者のうち味覚の喪失を感じている人は15%(19%)、嗅覚の喪失は16%(19%)となり、これらの症状を訴える人は従来株よりも少なかった。また、下痢(7%)、嘔吐(10%)、息苦しさ(12%)についてはほとんど違いが見られなかった。
また、コロナウイルスに関する研究とアドバイスを行う科学者の独立グループ「インディペンデントSAGE」は27日、コロナウイルスの長期的症状についてのレポートを発表。これによると、数週間から数か月に渡って倦怠感などの長期的症状が見られる人は、感染者の5〜10%に達すると推定される。また、どの年齢層の人にも、感染した当初は症状が軽かった人にも長期的症状が発生する恐れがあり、慢性的な障害が残る場合もあると考えられる。
イギリスは26日にコロナウイルスによる死者(検査で陽性となってから28日以内の死者)が1万人を超えた。感染力が強い可能性も指摘されている変異株が猛威をふるい、ロックダウンの効果もほとんど上がっていない。今回のロックダウンでは、クリティカルワーカーの子どもやリモート授業を受ける家庭環境にない子どもなど一部を除いて、すべての学校が休校となった。学校に行けない子どもたちを「失われた世代」と呼んで、教育や発達に対する長期的影響を懸念する声が高まっている。また政府は学校に通常のカリキュラムを完全にこなすため、1日3〜4時間のリモート授業を義務づけている。多くの親が、在宅勤務と子どもの世話や学習のサポートを両立させるため、早朝や深夜に仕事をするなど、疲弊とストレスを募らせている。
規制緩和への計画を発表するよう与党保守党内からも圧力が高まったのを受けて、ボリス・ジョンソン首相は27日、国会に対してロックダウン緩和の最初のステップとなる学校の再開は最も早い場合で3月8日になり、2月の最終週にデータを判断した上で計画を発表すると述べた。イギリス政府は現在、重症化リスクが特に高い高齢者などの4つの優先グループ1500万人へのワクチン接種を2月半ばまでに完了させることを目指している。(清)