地球カレッジ DS EDUCATION
「チコ・シゲタさんに、辻さんって水のような身体してますね、と言われた。」 Posted on 2021/01/24 辻 仁成 作家 パリ
10年ほど前、ぼくはパリで話題のホリスティック・ビューティの第一人者、チコ・シゲタさんに身体と心の調整をお願いしたことがある。
拙宅にやって来たのは小柄で明るくパワー弾ける女性だった。
初対面ではあったけど、どこか懐かしい感じがあり、ぜんぜん、違和感がなかった。
仕事場にマットを敷いて、ぼくはごろんと転がったのだ。
イザベル・アジャーニとか名だたるフランスのセレブのケアをしている人と訊いていたのでけっこう凄い(ゴージャスな)先生が来るのかな、と思って身構えていたら、超気さくな、気遣いの必要ない、超元気な日本の女性だった。
10年前だから多分、チコさん、30代半ばくらいだった、と思う。
寝転がっているぼくの横にちょこんとすわり、背中に手を当てた。
「わあ、辻さん。全身が湧き水ですね。あふれる水で、びっくりしました」
というようなことをいきなり言った。
ふむふむ、とか言いながら、ぼくの身体を少し前後左右に揺さぶって、
「水の惑星です」
と付け足した。
「水の惑星ですか、なんか、それは褒められているのでしょうか?」
「ええ、ピュアということですから、褒めています。もっと水が清らかに流れることが出来ると思います」
かくして、1時間ちょっと、施術が続いた。指圧でもマッサージでもない。物凄く静かな時間が流れていった。ほわっとあったかい。
今回、地球カレッジの7回目にご登壇頂くことになった。
タイと日本とフランスを繋いで行う講座に出演していただくことになり、まずは回線チェックを兼ねて、打ち合わせをやったのだ。
ZOOM開始時間に回線を繋ぐと、出て来たのは原っぱの映像だった。
ぼくらスタッフは、一同驚きの声を発した。
「うわあああ。ここはどこ?」
すると間もなく、チコさんが画面に登場し、
「すいません、庭です。家の中に移動させます」
と言ったので、
「チコさん、移動させないで、ここでやりましょうよ」
と慌てて制止したのだ。
「ええ。この向こう側がゴルフ場なんです」
「そこはどこ?」
「タイの海沿いの村でーす」
明るい。
ますます、若返って、明るくなっている。
コロナ、感染拡大中のフランスのパリからするとあまりに羨ましい光景であった。
「辻さん、この芝生の上からでいいですかぁ?」
「そこからがいいです。どんなことやりましょうか?」
「自宅で簡単にできるセルフケアを集中してお教えしたいと思います。顔をきりっとさせるセルフケアとか」
「リフトアップですね? やりたい」
「あと、片頭痛に効くセルフケアとか」
「ああ、それ、ぼくやりたい! やりたい!」
「心を穏やかにするためのケアとか、いろいろとです」
「皆さんからもチャットで聞いて、その場で答えて実践してもらえますか?」
「もちろんでーーーす」
明るい!
回線チェックと打ち合わせが終わると、ぼくらはチコさんの家の中を案内してもらったのだけど、ひっくりかえるほど、広い。
小さな海沿いの村に、大豪邸を構えたチコさん。
パリではなかなかこの規模の家には住めないけど、タイでなら可能なのだという。行きたい。息子さえいなければ、飛んでいくのだけど、
「老後は、タイに住みたいです」
と思わずもらしてしまった。
「辻さん、ここに来て、太陽を浴びて、ますます健康が大事だとわかりました。いつか、まず、遊びに来てください。うちの家族も待っています」
その時、カメラの向こうを小さい娘さん(双子さん)たちが駆け抜けていった。
ぼくが仏語で、ボンジュール、と言ったら、手を振ってくれたのだ。
その子たちを追いかけるようにご主人が登場した。
うちにも来てくれたことがあったので、わあああ、ムッシューーー、お元気ですかぁ、という話しになった。
4人家族、皆さん笑顔で羨ましかった。
きっと芝生をバックに素晴らしいセルフケアの回になるのは間違いなさそうである。
さて、そのチコさんが講師を務める地球カレッジが次の日曜日に迫ってきました! ご興味のある方は、こちらから、どうぞ!!!!
チコシゲタ × 辻仁成 「いつものセルフケアをプロ並みの効果にする極意」
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*定員になり次第、締め切らせていただきます。
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。